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GEが巨額の粉飾決算か:「いつ倒産してもおかしくない」とマルコポロス氏が発表

アメリカを代表する大企業のGE(ゼネラル・エレクトリック社)が、何十年にもわたって多額の粉飾決算を行なっていると、ヘンリー・マルコポロス氏が本日(米国時間8月15日)、報告書を発表した。

 

報告書はこのサイトからダウンロードすることができる。

 

マルコポロス氏は、人類史上最大の金融詐欺事件である「バーナード・メイドフ事件」を暴いた人物として知られている。そのため、数千人もの金融アナリストたちは、マルコポロス氏が大企業のGEで粉飾会計が行われていると警告する報告書を発表したことに大きな衝撃を受けている。粉飾金額は400億ドル(4兆2000億円)近くにのぼるという。

 

GE内部で行われている粉飾決算は、「エンロンとワールドコムを合わせた金額より大きい」と述べている。粉飾のほとんどはGEの保険事業と原油およびガス事業で行われているという。同保険事業部門は185億ドル分を現金で補強する必要がある他、同原油およびガス事業における会計処理方法に過失があるという。同社の会計処理問題は、合計で380億ドル、つまりGEの複合企業体が持つ市場価値の40%を占めると同氏は語っている。

 

マルコポロス氏は、今日、金融系ケーブル・チャンネルCNBCに登場。同氏の主張に懐疑的な司会者らから厳しい質問を投げかけられた。マルコポロス氏がどこの投資企業と協力しているのかという質問に対して、守秘義務があり具体的な社名を出すことを拒否。しかし米国が拠点の中規模ヘッジファンドとGEの粉飾決算の調査について協力していることを認めている。(マルコポロス氏とこのヘッジファンドが、GE株に対して空売りを仕掛けていることが当然予想できる。)

 

マルコポロス氏は出演したCNBCの番組で次のように述べている:

 

何年も前、ボストンのアナリストたちとの昼食会の席で、全員がGEについて粉飾決算をしているのではないかと話していた。というのも、ジャック・ウェルチやその後任のジェフリー・イメルトの統治の下で、GEは一度も四半期ごとの目標売上金額を下回ったことがなかったからだ。

 

皆、GEはS&P 500の3%を占めると言っているが、我々はそれをベンチマークしなければいけない。というのも、もし1%しか占めていなければ、2%分足りないことになる。その2%分は嘘の数字によって急上昇した市場価格ということになる。

 

しかしGEの財務諸表は、ウォール街において多数のアナリストが分析している。こうした数多くのアナリストが見逃していることは何なのか?という質問に対して、マルコポロス氏は次のように述べている:

 

数字が欠落している。GEはトップラインである総収入とボトムラインの収益については報告しているが、その間に報告されるべき支出、R&D、販売費用、一般管理費について報告していない。キャッシュ・フローも報告されていない。GEは運転資金について報告していない。事実、同業界で運転資金について報告していないのはGEだけである。実際、(私たちの計算では)GEの運転資金はマイナス230億ドルである。現在の財務比率は0.67。これは最新の年次報告書で財務比率を検索しても出てこない。このような企業は他にない。これは会計学の基礎的なことだ。

 

 

 

「GEの粉飾決算はどれほど深刻なのか?倒産するほど深刻なのか?」という質問に対しては次のように述べている:

 

GEは2018年1月、長期介護に150億ドルの引当金を計上している。引当金に早急に現金が必要だとしてさらに185億ドル、そしてGAAP会計処理に現金以外の引当金が105億ドルあり、それらを埋める必要がある。これは損失計上されるためGEの自己資本比率は壊滅的となる。そして新たな会計ルールが導入される2021年第1四半期までにそれらを埋める必要がある。

 

さらにマルコポロス氏は、GEの取引先である8つの再保険会社について、これら再保険会社が行なっている長期介護分野について、法令で定められている報告書を調べたと説明している。2013年〜2018年分の報告書を調べたところ、「全ての損失がGEの会計簿に落ちる」ようになっていたという。「GEが受け取る保険料1ドルにつき、GEは5.27ドルを損失している」という。

 

 

 

これら損失は壊滅的であり、急激に増加している。この損失はどうすることもできないため、おそらくGEは破産を宣言することになるだろう。

 

「もしGEの保険債務が数十年にわたって発生していたとして、なぜ今、それが問題となるのか?」という質問には次のように回答している:

 

通常、保険会社は事前に積み立てを行い、その資金を債券市場に投資する。そこから得られる投資回収資金で満期を迎える保険金を支払う。保険会社のUnumと比べてみた場合、2018年の同社の損害率(loss ratio)は90%だった。これはつまり、同社が1ドルの保険料を受け取り、90セントの保険金を支払ったことを意味し、Unumは利益を上げている。Prudentialの場合は損害率が81%である。そしてGEは、損害率が527%であり、同業他社に比べて何倍も高い。これは壊滅的であると同時に、同社が支払う保険金は今も増大し続けている。

 

「エンロンとワールドコムの粉飾決算スキャンダルが発生してから、多くのことが変わった。監査法人や取締役会、こうした人々は重要なことをまた見逃していたのか?」

 

その通りだ。門番はまた過ちを犯した・・・金融危機の時の格付け会社を思い出してほしい。

 

マルコポロス氏は、報告書を発表するにあたり、事前にGEに話をしていないという。その理由は、同社が証拠隠滅をし始めないようにするためとしている。

 

この報告書の発表を受けて、GEは終日、嫌疑を否定する発表を行なっている。同社CEOのラリー・カルプ氏は、マルコポロス氏の報告書が「事実に関する虚偽の申し立て(false statements of fact)」を含んでいるとしている。

 

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Photo via CNBC

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