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オールドメディアが伝えない海外のニュース

元国務長官ヒラリー・クリントンの電子メールが中国の企業名がついたGメールに自動転送されていたことが政府文書で判明

ヒラリー・クリントンがオバマ政権で国務長官だった時代、政府が承認していない私設のメールサーバーを公務に利用していたことは広くメディアで報じられている。その際に送受信した3万490通のメールのほとんど*が、中国系企業の社名がつけられたGメールに自動転送されていたことが、8月15日に公開された政府文書で明らかになった。(*3万490通のメールのうち、4通のメールだけは転送されていない。)

 

しかし、全米の大手メディアはこの新事実を一切報じていない。ヒラリー・クリントンの電子メール問題は、いまだにくすぶり続けている。

 

以下はこのニュースを最初に報じたジャーナリストによるツイート:

 

 

(訳)ヒラリー・クリントンの電子メールのメタデータに、中国企業の名前を使ったGメールが含まれていた: 昨日、上院委員会が公表した文書によるとこのメール、”[email protected]

 

諜報コミュニティー監察官(ICIG)の弁護士であるジャネット・マクミリアンは、連邦議会に対して、この中国企業の名前が使われた電子メールは、クリントンの全メールを保存する「リアルタイムのドロップボックス(クラウド・サーバ)」として機能していたようだと証言した。

 

ヒラリー・クリントンが私設メールサーバーで国家機密を扱っていたのかFBIが捜査したが、彼女が使っていた8台の携帯端末は1台も回収されず、その私設メールサーバーで送受信された全メールは、裁判所から提出するよう召喚状が発行されているにも関わらず3000通しか検証されていない

 

しかし、クリントンの私設サーバで送受信されたメールのほとんどである3万486通が、Gメールに自動転送されていたことが判明した。

 

 

 

(訳)マクミリアン氏は、連邦議会に対して、クリントンの電子メールのメタデータに含まれていたCarter Heavy Industriesという名前のメールアドレスは、たとえ送信先が別のアドレスであっても、リアルタイムで送受信される電子メールのコピーを受信するよう設定されていたと証言した。

 

議会に提出された報告書によると、諜報コミュニティー監察官(ICIG)の捜査官であるフランク・ラッカー氏がこの異常に気がついた。彼は「Carter Heavy Industries」をネット検索したところ、掘削機や重機を製造している中国企業である山東カーター重機産業(Shandong Carter Heavy Industry Co., Ltd)に行き着いたという。

 

諜報コミュニティー監察官(ICIG)のラッカー氏とマクミリアン氏は、この異常について2016年2月18日にFBIとのミーティングで報告している。そのミーティングには、FBI捜査官であるピーター・ストロック氏も参加していた。ストロック氏は、同捜査を指揮するセクション主任として、ヒラリー・クリントンの電子メール問題の捜査を担当していた。

 

ストロック氏は、不倫関係にあったFBIの弁護士リサ・ペイジとテキスト・メッセージをやりとりしていたことで悪名を馳せている。この二人は、当時、2016年の大統領候補であったトランプ氏に対する偏見と、クリントン候補を支援する内容をテキストメッセージで数千通もやり取りしていたことが明らかになっており、それが原因でストロック氏はFBIを解雇されている

 

中国政府がクリントンの電子メールにアクセスしていたという匿名の情報源を引用したメディア報道を受け、2018年12月4日、上院財政委員会、上院国土安全保障委員会、および上院政府活動委員会がマクミリアン氏とラッカー氏へ質問を行なった。これら上院委員会は、機密情報を含まない、一部が「黒塗り」で隠された証言記録と数件の付属資料を8月14日に公開した(PDF)。

 

公開された文書には、クリントンと彼女のスタッフが送受信したいくつかの電子メールが含まれており、それら電子メールのメタデータとしてCarter Heavy Industriesのアドレスが受信者として含まれていることが示されている。

 

* * *

 

司法省監察長官であるマイケル・ホロウィッツ氏は、諜報コミュニティー監察官(ICIG)がFBIへ情報提供していたことを知っていた。しかし、同氏が主導して発表した、FBIと司法省による568ページにのぼるクリントンの電子メール問題に対する捜査を扱った報告書では、そのことについて言及していなかった。

 

ホロウィッツ氏は、1年前、FBIが本件を捜査するために何を行なったのか調査し報告することを連邦議会に約束していた。今回新たに公表された文書には、ホロウィッツ氏による調査結果が含まれている。ホロウィッツ氏は、チャック・グラスリー上院議員(アイオワ州選出共和党)とロン・ジョンソン上院議員(ウィスコンシン州選出共和党)に対して、2019年4月9日付けの書簡で調査結果を報告していた。

 

この書簡で、ホロウィッツ氏と諜報コミュニティー監察長官(ICIG)のマイケル・アトキンソン氏は、Carter Heavy IndustriesのGメールアカウントは、Platte River Networksの社員であるポール・コンベッタ氏(冒頭の写真)が開設したと報告している。ポール・コンベッタ氏は、クリントンのメールサーバーを管理していた。コンベッタ氏は、「ダミーのメール」としてCarter Heavy IndustriesのGメールアカウントを2012年8月20日に開設したという。コンベッタ氏は、2014年初旬、クリントンの2台目の私設メールサーバに保存されていた電子メールを、Platte River Networksのサーバに転送するためにこのメールアドレスを利用していたという。

 

コンベッタ氏が、2012年〜2014年の間にこのGメールアカウントで何を行なっていたのか、そして転送された電子メールに誰がアクセスしていたのかについては謎のままである。FBIがこの件について捜査をしたかに関して、司法省も諜報コミュニティー監察官も詳細を一切公表していない。

 

ホロウィッツ氏が連邦議会に提出した調査報告書の中で、コンベッタ氏がこのGメールアドレスを利用していたことが言及されているが、単に「ダミーの電子メール」とだけ言及されており、実際のアドレスは明らかにされていなかった。ホロウィッツ氏とアトキンソン氏は、なぜコンベッタ氏がGメールアドレスに中国企業の名前を使ったのか説明していない。コンベッタ氏の弁護士は、ホロウィッツ氏に対して、Carter Heavy Industriesの電子メールは創作した名前であり、コンベッタ氏は中国企業であるShandong Carter Heavy Industry Co., Ltd.とは一切関係ないと語っている。

 

上院議員へ提出された調査結果の書簡によると、コンベッタ氏は弁護士を通して、本件について司法省の監察官によるインタビューを受けることを拒否している。本件について法廷が召喚状を発行しているが、その召喚対象となる文書をコンベッタ氏は持っていないとも語っている。

 

ホロウィッツ氏は、コンベッタ氏の弁護士が主張していることと矛盾する証拠は見つかっていないと書簡で報告している。

 

冒頭でも紹介したように、ヒラリー・クリントンは、8台の携帯端末を使って私設メールサーバへアクセスしていたが、その携帯端末は1台も回収されず、その私設メールサーバーで送受信された全メールは、裁判所から提出するよう召喚状が発行されているにも関わらず3000通しか検証されていない。

 

今回の発表で、クリントンが国務省長官時代に私設メールサーバでやり取りしたほとんどのメールが、Gメールのサーバに転送されていたことが判明した。果たして、FBIや司法省は、グーグルに対してこれら証拠の提出を求め捜査するのだろうか。全米の主要メディアは本件を黙殺し、一切報道していない。

 

Photo: Screenshot/C-SPAN

 

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