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オールドメディアが伝えない海外のニュース

【抄訳】CIA職員によるトランプ大統領の越権行為の疑惑に対する告発文−「私が直接目撃したわけではないが・・・」

Adam Schiff

ロシアゲート疑惑に続き、新たに起こされたウクライナゲート疑惑でトランプ大統領に対する弾劾裁判を始めるための審理が今週、正式に開始された

 

日本の一部大手メディアはこれを次のように報じている:

 

毎日新聞 「米政権、隠蔽画策か 電話記録機密扱い ウクライナ疑惑

 

中日新聞 疑惑「隠蔽」とトランプ政権非難 米下院議長、大統領電話記録巡り

 

TBS  トランプ氏のウクライナ疑惑、政府高官が隠蔽か内部告発文公表

 

西日本新聞 疑惑「隠蔽」とトランプ政権非難

 

AFP トランプ氏の選挙介入要請、米政権が隠蔽か 告発文公表

 

時事 トランプ大統領がクビになる?=米下院、弾劾調査へ-ニュースQ&A

 

 

「隠蔽」や「クビ」、「選挙介入」というおどろおどろしい文言が並ぶ。しかしこれら日本のメディアは、またしてもアメリカの左派メディアの偏向報道に踊らされている。(彼ら自身も左派メディアであるため、意図的に追随していると言うべきか。)

 

 

下院諜報特別委員会は、9月26日、この「疑惑」の根拠とされる政府職員による告発文を公表した。

 

これが原文となる。一部は黒塗りされている。

Unclassified09.2019 – 092519 by Washington Examiner on Scribd

 

 

告発文の一部抄訳

 

この告発文の一部を以下に抄訳する:

 

私の職責を通して、私は複数の米国政府職員から、アメリカ合衆国大統領がその職務権限を利用し、2020年の米国選挙に外国を介入させることを勧誘しているという情報を受け取った

(太字強調は訳者。以下同様。)

 

直近の4ヶ月間で、6人以上の米国政府職員がこの行為に関する様々な事実私に伝えた

 

この時点で、この告発文の信憑性はかなり低い。とにかく伝聞が多すぎるのだ。

 

以下に説明する行為は、『深刻なもしくは目に余る問題、乱用、法律もしくは大統領令の違反』に当たると私は深く憂慮している

 

一職員の憂慮という非常に主観的な判断だけで大統領を弾劾するには、根拠が弱すぎる。しかもこの告発を行った職員は民主党の党派色が強いことが既に報じられている

 

 

まず最初に電話会談を公的に認めたのはウクライナ側だ。7月25日夜、ウクライナ大統領のウェブサイトに公式声明が公開され、そこには以下の文言が含まれていた(原文のロシア語による公式声明からの翻訳):

 

『ウクライナ新政府は、迅速にウクライナのイメージを改善することができ、ウクライナと米国の協力関係を阻害していた複数の汚職事件について捜査を完了することができることに、ドナルド・トランプは確信していると表明した。』

 

上記で言及されている、バイデン家族および2016年の米国選挙が関与していると噂されている『事件』の他に、他の『事件』は討議されていないとホワイトハウスの職員から私は聞かされた。

 

電話会談後の数日内に、私は複数の米国職員らから、複数のホワイトハウス高官が電話通話の全記録を『封鎖する(lock down)』ために介入したことを聞かされた。特に、ホワイトハウスの政府当局者が電話通話の全記録を『封鎖する』ために介入した。特に、それは通常ホワイトハウスの危機管理室によって作成される、電話通話の内容を正式に一言一句記録したものだ。この一連の行為は、ホワイトハウス高官がこの通話において起きたことの重要性を理解していたことを、私には明確に示している

 

 

この一箇所を取り上げて、冒頭で紹介した日本の一部メディアはトランプ政権が「隠蔽を画策」と一斉に報じている。

 

しかし大統領顧問のケリアン・コンウェイ氏は、本日公共放送局PBSのニュース番組に出演し、「大統領が外国の首脳と行う電話会談の記録は、そもそもが全て機密情報なのです」と語り、この内部告発社が主張している「ホワイトハウス高官が電話通話の全記録を封鎖するために介入したことを聞かされた」というのは、完全な事実誤認であると説明している。

 

もしこの内部告発者が、そもそも機密情報である大統領と外国の首脳の電話会談記録にアクセスする権限が与えられていたにも関わらず、今回、それらへのアクセス権限が全て「封鎖」されて見られなくなったというなら彼の主張の正当性をある程度理解できる。しかしそうとは書いていない。また後半で詳しく紹介するが、この内部告発者は「この通話内容についてブリーフィングを受けるべきではなかった人物」と元CIA分析官が指摘している。

 

コンウェイ氏が出演したニュース番組はここで視聴することができる:

 

 

ホワイトハウス高官は、私に対して、彼らはホワイトハウスの弁護士によって、通常、通信記録の保存場所であるコンピュータ・システムから、電子版の通信記録を削除するよう「指示された」と話した。

 

これと同じ時間枠において、我が国の大統領とゼレンスキー大統領との間で会談もしくは電話通話を行うには、ルツセンコ氏とジュリアーニ氏によって世間に報道された問題についてゼレンスキーが『ゲームに参加する』意思を示すか否かにかかってくると、ウクライナの首脳陣は信じ込まされたと、私は複数の米国政府職員から聞かされた。(注記:これは、米国政府職員が5月末から7月初旬にかけて私に伝えた情勢に関する一般的理解だ。私は、このメッセージをウクライナの首脳陣に誰が伝えたか、またいつ伝えたかは知らない。)

 

ゼレンスキー大統領の就任式の後、間も無くして、ジュリアーニ氏がウクライナの政府関係者2名と面会したことは世間一般に報じられている。その2名は、ウクライナの特別反汚職検事であるナザール・コロディニツスキー氏、そして前ウクライナ大使のアンドリー・テリゼンコ氏である。両氏ともにルツセンコ氏の味方であり、上記で言及したThe Hill紙の一連の報道記事において類似の主張を行っていた。

 

 

告発文の全体を通して、ジャーナリストや弁護士が書いたような文体である。しかもNYタイムズ紙をいくつも引用していることなどからも、この告発文の信頼性がますます疑われる。この告発文を読むと、事実誤認もさることながら、とにかく他の政府高官や職員から聞かされた話や、左派メディアによって報道された話という説明があまりに多いのだ。

 

NYタイムズ紙が偏向報道機関であることはこれまでにも報じてきた:

朝日新聞以上にニューヨークタイムズ紙が迷走中

 

NYタイムズ紙、「ロシアゲート疑惑がダメなら人種差別でいこう」と編集長が発言:社内会議の音声データが漏洩

 

 

 

告発文の中で特に興味深いのは次の文章だ:

 

ここで説明した出来事のほとんどについて、私は直接の目撃者ではない。しかし、私は私の同僚によるこれら出来事の説明は信用できると受け取った。

 

 

そしてNYタイムズ紙は、この告発者の身元を知る3名からの情報として、告発者がCIA職員であると報じている

 

NYタイムズ紙は、この告発者の経歴を考慮すると、彼の告発内容はますます信憑性が高まると報じているが、果たしてそうだろうか?ロシアゲート疑惑でも、反トランプ勢力であることを認めていたFBI捜査員ストロック氏が捜査を主導していた(彼は後にFBIを解雇された)。告発者が現職のCIA職員と知って、彼の告発内容を疑うアメリカ国民の方が多そうだ。

 

 

トランプによる電話通話の中身を捏造する民主党

 

しかしこの告発文を受け取った民主党は、水を得た魚とばかりにトランプを一斉に非難している。その先頭を行くのが、下院諜報特別委員会のアダム・シフ議長(カリフォルニア州選出・民主党)だ(冒頭の写真)。

 

昨日木曜、同委員会で公聴会が開かれたが、その冒頭のあいさつの中で、シフ議長は、この内部通報の内容を元にトランプ大統領とウクライナのゼレンスキー大統領の間で行われた電話通話の内容を紹介した。しかし、その捏造ぶりがひどいと一部ニュースになっている。

 

 

【訳】ワオ。

驚きすぎて開いたアゴが床についた。

「諜報」委員会のアダム・シフは、火の気もないところからトランプ大統領とウクライナの大統領との電話内容について捏造した。

 

彼がここで述べたことは一言も真実ではない。一言もだ。

このダークなお祭り騒ぎは悲しいことだ。錯乱したオレンジ色の男。

改悪された二次創作。

 

 

具体的には、トランプの発言としてシフ議長が引用した次の内容が捏造と判明している:

 

私の言うことが理解できないなら、私はさらに7回同じことを言う。私の政敵に関する醜聞をでっち上げてほしい。たくさんあることを私は知っている。

 

しかし、ホワイトハウスが公表した大統領の電話会談の内容を文字起こしした文書にはそのようなやり取りがあったとは書かれていない。

 

 

【訳】私は人生のなかでこのようなことは一度も目にしたことがない。

下院委員議長が、彼自身の党派色のストーリーに当てはめるために、アメリカ合衆国大統領の発言内容を捏造した。

このことは、全アメリカ国民が深く憂慮すべきことである。

これは、第3世界のイカサマ裁判で起きるようなことだ。

 

世界が見守るテレビ・カメラの前に座って、アメリカ合衆国大統領の言葉として「数十件もの」捏造を行う人物というのが、どれほど精神破綻し、倒錯し、腐敗した人物であるか想像できるだろうか。

 

しかもその人物は下院諜報特別委員会の議長職に鎮座しながら。

 

さらに、(原本である)通話記録文書を自分の手に持っていながらである。

道化師だ。

 

 

この公聴会終了後、シフ議長はCNNに出演し、次のように語っている:

 

もちろんトランプ大統領は、『私の言うことが理解できないなら、私はさらに7回同じことを言う』などとは話していません。私が言いたかったのは、ウクライナ大統領は、そういうニュアンスで彼の言葉を受け取ったということです。(中略)大統領による通話内容を紹介した私のサマリーは、部分的にはパロディーのつもりでした。

 

シフ議員は全く悪びれる態度を見せず、CNNのインタビューにこのように語っている。その動画はここで視聴できる:

 

 

 

これに対して、トランプ大統領が激怒したのは想像に難しくない。

 

【訳】アダム・シフ議員は、何百万人もの人々が見守る連邦議会で、私がウクライナの大統領と行なった電話会談を、存在しもしないバージョンにして詐欺的発言をした。彼は、通話内容を文字起こしした記録を、正確に読むことが求められていた。しかし彼はその文言を完全に変え、通話内容がひどいものであったかのように見せ、私が有罪であると聞こえるようにした。彼が自暴自棄になって行なった行為がバレてしまった。これにより、アダム・シフは連邦議会に対して虚偽の発言を行い、アメリカ国民を騙そうと試みた。彼はこれを2年間も続けている。この詐欺行為を根拠に、私は彼が即刻、連邦議会から退任することを要求する。

 

さらにトランプ大統領の怒りは収まらなかったようで、さらに次のツイートを行った:

 

【訳】アダム・シフ議員は、私がウクライナの大統領と行った会話を完全にでっち上げ、それを連邦議会と何百万人もの人々に読み上げた。彼は辞職し、捜査されなければいけない。彼はこんなことを2年間も行い続けている。彼は心が病んだ人間だ。

 

また、トランプ大統領が、昨日、各国の大使とのカンファレンスで講演を行なった際、「あれはスパイに近い」と、内部告発者を非難している動画がリークした。これは言い過ぎだと、トランプ大統領への批判を招いている。

 

 

裏切り者の共和党議員には「ブーメラン」が直撃

 

さらに共和党議員の中からも、トランプ大統領を非難する人物がいる。それはユタ州選出のミット・ロムニー議員だ。彼は一度大統領選挙に出馬したことがあるため日本でも知られた存在だろう。

 

トランプ大統領がウクライナ大統領と行なった通話内容の記録を読んで、ロムニー議員は次のように非難するツイートを発信した:

 

【訳】もし大統領が、ウクライナの大統領に自分の政敵を捜査するよう直接でも自身の個人弁護士を通してでも依頼もしくは圧力をかけていたならば、非常に深刻な問題となる。事実が明らかになることが重要となる。

 

しかしロムニー議員には早速「ブーメラン」が返ってきており、自身も間接的にウクライナの汚職事件に関わっている可能性があることが指摘されている。

 

それは、彼が2012年に大統領選挙に出馬した際、国家安全保障アドバイザーとして彼の選挙陣営が迎え入れた元CIAベテラン職員のコーファー・ブラックという人物が、現在、ウクライナの天然ガス大手ブリズマ社(Burisma)の役員に就任しているという事実だ。このブリズマ社というのが、バイデン元副大統領の息子であるハンター・バイデンが、月額5万ドルという「給料」を受け取っていた会社でウクライナ汚職疑惑の渦中にある存在。そして、偶然にも、コーファー・ブラック氏は、ハンター・バイデンがブリズマ社の役員を退任した6ヶ月後の2017年2月、同社の役員に就任している

 

Via Burisma-group.com

 

この事実を最初に突き止めたのはこのツイッターである:

 

 

【訳】元CIAの対テロ・ディレクター出会ったブラック氏が、ブリズマ社の役員に就任。彼はロムニーのアドバイザーだった人物。

 

 

 

元CIA職員が告発内容には不自然な点が多いとツイート

 

今回の告発者のように、トランプを「裏切る」CIA職員がいれば、この告発内容が不自然だと声を上げる元CIA職員がいる。元CIA分析官で国家安全保障会議の官僚であったフレッド・フライツ氏は、告発内容について彼独自の見解をツイートしている:

 

【訳】

1/ 元CIA分析官で国家安全保障会議の元官僚として、私はアメリカ大統領が外国の首脳と行う電話会談の記録を編集していた。今回公表された内部告発者による申し立てに対する私の考えはこうだ。

 

2/ 本件は諜報案件ではない。これは政策案件であり、申し立ては政策に関する違いに関するものだ。大統領が行う電話通話は、諜報機関が懸念する事案ではない。諜報機関の職員がこれら電話通話を記録しているという事実は、諜報機関の監察長官(IG)に対してこれら電話通話に対する法的権限を与えない。

 

3/ これら機密の電話通話に関する情報へアクセスすることを制限している規則が破られたように見える。この政府職員はこの通話に参加しておらず、これを流布することが許可された人物リストにも掲載されておらず、この通話内容についてブリーフィングを受けるべきではなかった人物。

 

.3/ この申し立てが書かれている様子からすると、執筆した人物は多くの手助けを受けていることを示している。私が下院諜報特別委員会のスタッフとして勤務した経験から知っているのは、多くの内部告発者たちは諜報監視委員会に直接訴えるということだ。この内部告発者は、まず最初に下院諜報監視委員会メンバーと会ったのだろうか?

 

4/ ゆえに、連邦議会はこの申し立てがどこから来たものなのかをはっきりさせることが重要だ。下院および上院諜報特別委員会の民主党議員メンバーとスタッフたちは、これについて何を知っていたのか、そしていつ知ったのか?彼らは、この申し立てを指揮する手助けをしたのか?

 

5/  私の見解では、この内部告発者による申し立てはあまりに都合が良すぎるもので、典型的な内部告発者から出される申し立てとしては完璧すぎる。他の諜報機関の職員たちも関与していたのか?大統領と対抗する外部勢力が関与していたのか?

 

6/ この申し立ては、今後何年間にもわたって諜報機関とホワイトハウスの関係を損なうことになるだろう。なぜなら、諜報機関職員は、大統領が外国政府の人間と電話通話する内容を政治問題化し、大統領や彼のホワイトハウスでの活動に彼らがアクセス権限があることを政治問題化しているように見えるからだ。

 

7/ 最悪なのは、この諜報機関職員(そしておそらく他の人間も)が、一線を超えて政策に介入した。諜報機関職員の中核となる職責は情報を伝えることであり、政策を作ることではない。彼はこの中核となる職責に違反している。

 

8/ これは諜報機関とホワイトハウスの間にある信頼に対する危機的な裏切り行為である。諜報機関職員が、(今後)大統領が外国政府の人間と行う電話通話に対して、あらゆるアクセス権を剥奪されても私は驚かない。

 

 

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