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WeWorkの競合企業は歓喜:IPO失敗により恩恵を受けるシェア・オフィス業界

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WeWorkがIPOの申請を撤回したことは必ずしも悪いニュースではない。この「朗報」に歓喜している人たちがいる。それはWeWorkがその豊富な資金にまかせて打ち負かしてきた、シェア・オフィス業界における中小の競合企業たちだとブルームバーグ紙が報じている

 

「ハッピー・バースデー・トゥー・ミー」と歌うのは、匿名を希望しているシェア・オフィス会社の重役だ。

 

WeWorkが株式上場の一歩手前で歴史的な大ゴケをした後、IWG PlcやConvene、Industrious、Knotelなどの競合企業は、シェア・オフィス業界で、自分たちこそずっと安定した事業を行なっていると売り込んでいる。

 

実際、アメリカ国内の大手不動産企業3社が、Novel Coworkingに打診しており、これら不動産企業がWeWorkにリースしている建物を購入するか管理することに興味がないか照会してきている。

 

「誰もが非公開で議論を行なっている。皆、プランBやプランCを模索している」と、NovelのCEO、ビル・ベネット氏は語っている。

 

* * *

 

ハーバード・ビジネス・スクールの上級講師であるノリ・ジェラルド・リーツ氏は、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙に対して次のように語っている

 

どんなに大目に見ても、彼ら(WeWork)のアプローチはずさんだ。なぜなら、多くの重要な数字が合わないのだから。悪く言うと、それは目くらましで行われていた可能性がある。単にずさんなだけだったと私は思いたいが。

 

WSJ紙によると、WeWorkの社員たちも、同社の新株発行(IPO)目論見書は異様であり、誰もそれを真剣には捉えていなかったと報じている:

 

We(WeWorkの親会社)の現職そして元の社員の多くが、同社の新株発行目論見書がいいかげんに作成されており、同社の事業についてぼかした玉虫色のメッセージを伝えることになっていたと考えている。彼らは、同目論見書に「Weの力――私たちの誰よりも大きく、しかし各自の内にある力――に捧ぐ」と書かれていたことに言及している。

 

ウォール街の金融機関や、Skadden Arps Meagher & Flom LLPやSimpson Thacher &Bartlett LLPなどの一流弁護士事務所が、この新株発行目論見書を作成することに関わっていた。しかしニューマン氏は、金融機関が提示するアドバイスをしばしば却下していた。同氏は、計画していたIPOの準備期間中、主幹事会社としてJPモルガン・チェースとゴールドマンサックス・グループのみを選定した。

 

IPOの目論見書では、同社の6000億ドルに上るプライベート・ジェット(現在は売却されている)には言及しておらず、その他の単純な質問にも回答していない:

 

目論見書は、同社の財務状況についていくつかの基本的な質問にすら回答していない。例えば、今年前半、Weは何件のワークステーションを追加したのか?8月に提出された目論見書には27万3000件とある。しかしそれから1ヶ月も経たずして修正された目論見書には10万6000件とある。グロスの総コストはいくらだったのか?8月、Weは13億ドルと発表していた。しかし9月には8億ドルとなっている。これほど大幅な変更が行われる理由は、最初の発表が間違っていたからだと、本件に詳しい複数の人物は語っている。

 

* * *

 

目論見書は、企業統治に関するいくつかの点についても不明瞭だ。昨年提出された草稿段階の目論見書では、ニューマン氏は2017年にWe社の報酬委員会メンバーだったと記載されていた。これは、同氏が自分の報酬について意見できる状態だったことを意味する。8月に提出された目論見書では、ニューマン氏が2018年に同委員会メンバーだったとは一言も書いていない。

 

もしWeWorkが再びIPOに挑戦することになったとしても、そのハードルはさらに高くなることが予想されている。コロラド大学法学部のエリック・ガーディング教授は、「次にIPOを準備する際、規制当局がWeWorkを事細かく審査するだろう」と語っている。

 

WeWorkはIPOを撤回しただけでなく、同社の創業者がCEO職から辞任し、さらに運転資金が早ければ来年春頃に枯渇する可能性がある。当然、WeWorkに物件をリースしている不動産オーナーたちは、こうした事業の不安定性に気付いている。ロンドンにある2件のオフィス物件で、そのほとんどがWeWorkにリースされている契約案件は、現在、危機にさらされている。また、同社はダブリンにあるオフィス・スペースを借りる契約交渉から撤退している。ニューヨークやロンドンのオフィス物件オーナーらは、「いつでも需要が急激に下落する」可能性に備えている。

 

不動産オーナーたちは自分たちの資産を守るために奔走しているが、その一方で、WeWorkの競合企業たちはこれを「マーケット・シェアを奪う」絶好の機会と捉えている。

 

ニューヨークを拠点にしたConveneのCEO、ライアン・シモネッティ氏は次のように語っている(Conveneは、打ち合わせ、イベント、オフィスのためのスペースを柔軟に提供することに特化している):

 

WeWorkは、ナッシュビル、サンフランシスコ、ロンドン、そしてボストンの市場を狙う競合企業だった。しかし彼らが(SECに)S-1申請書を提出して以降、彼らはもはや競合ではない。これにより、我々にとっては絶好の機会が生まれている。既存の不動産オーナー顧客たちだけではなく、潜在的顧客に対しても、自分たちの強みを訴え、自社のビジネス・モデルがいかに異なっているかを示す良い機会が生まれている。

 

Quest WorkspacesのCEO、ローラ・コゼルゼック氏は次のように語っている:

 

私は、この業界がずっと必要としていた現実主義がようやく戻ってきたと見ている。WeWorkが事業を後退することで、多くの不動産所有者や家主には混乱が起きるだろう。しかし絶好の機会もいくつか生まれるだろう。

 

IndustriousのCEO、ジェイミー・ホダリ氏は次のように語っている:

 

Industriousにとってこれが良いことなのは疑いの余地がない。WeWorkは、依然として手強い相手であり続けるだろう。しかしWeWorkは、堅実な契約を結び収益性を高めようとする方向に進む中で、企業が運営するときに受ける一般的な制約に基づいて行動するようになるだろう。WeWorkはそのような大手競合企業になる。

 

Industrious社は、オフィス物件を自社でリースして貸し出すビジネス・モデルを改め、不動産オーナーと物件のマネジメント契約を結ぶビジネスへ転向している。

 

Convene社のCEO、ライアン・シモネッティ氏はさらに次のように語っている:

 

家主たちは、新規にリース契約を結ぶのではなく、より積極的にパートナーシップ形態を検討するようになってきている。業界で起きている『ノイズ』により、家主たちは「ユニット単位であなたの会社の収益性はどれくらいか?」というような、現実的な質問をせざるをえない状況になっている。

 

一方、WeWorkの新CEOの2人は、傷ついてしまった同社の評判の被害を最小限に抑えようとしている。両CEOは、同社のクライアント企業に対して、「これは一過性の小さな問題(bump in the road)」でしかないと語り安心させようとしている。また、同社はかつての積極的なマーケティング活動を再開している。例えば、TribesのCEO、エド・シャップマン氏は、彼の潜在顧客の数社がWeWorkから大幅な値下げの提案を受けたと語っている。そのWeWorkが提示した価格というのが、Tribesが潜在顧客に提示している価格のたった30%だという。シャップマン氏は、2016年の時点でWeWorkへ投資することを却下していた。

 

Knotelの不動産部門グローバル主任で最高投資責任者(CIO)のユージーン・リー氏は、次のように語っている:

 

彼らは何十億ドルもの資金を投じてシェア・オフィス施設を建設してきた。何百万マイルにも達するガラスの間仕切りは、彼らが自慢するものだった。しかし今では、それら間仕切りを無くしてしまうことができず、邪魔でしょうがないお荷物となってしまっている。

Photo from WeWork’s Press Kit

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