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NASDAQが中国の小規模企業によるIPOを厳格化

NASDAQ

今年前半、ウォール街のリサーチ部門は、今年の夏が終わるまでに米中貿易戦争は合意に至るだろうと予想していた。また、それ以外は米国の経済は順調であるため、株価も史上最高値をつけるだろうというのがウォール街の大方の予想だった。しかし有名大学で博士号を取得しているエコノミストたちは、米中貿易戦争の展開をことごとく見誤っていた。

 

経済合理性の観点からすれば、米中貿易戦争を長引かせることは両国にとって得策ではない。そのため、エコノミストたちは両国の政治家が早急に手を打つだろうと予想していたのだろう。しかし両国間の貿易戦争は、最近になって文化戦争にまで発展している。明らかにこれは経済問題にとどまらない、米中間の覇権争いであり文明闘争へと発展している。

 

その影響がようやくウォール街にも届くようになっている。おそらくアメリカ政府からの通達があっただろうと思われるが、中国の小規模企業がアメリカ国内の取引所でIPO(新規株式公開)を行うことに対して条件を厳しくしている。中国語新聞のm.21jingjiが報じた内容によると、NASDAQは、IPOを行うための承認基準を厳しくすることで、中国の小規模企業が米国内でIPOを実施することに制限をかけようとしているという。

 

中国のフィンテック企業の責任者であるとある人物は、株式公開ルールが改定されたことで、「米国でIPOを行うのがより困難になった」と語っている。

 

この企業は、米国の株式市場で1億ドル規模のIPOを計画していた。しかし上場ルールが改定されたことで、この会社は「小規模企業」のカテゴリーに入ることになったという。この会社は、改定後の新基準をクリアするために2億ドルの資金調達を行わなければならず、もしその目処が立たなければ、同社のIPOは延期させられるか却下されることになる。また、NASDAQは、同社の中国人投資家の比率が高すぎるため、IPOを「延期」するよう同社に依頼してきたという。

 

某アメリカ投資銀行の社員は、新たなルールのために中小の中国企業がNASDAQで上場することは、これ以降、非常に困難になると語っている。

 

「中国の中小規模に該当するフィンテック・プラットフォーム企業にとって、これは米国で株式公開することを間違いなく難しくする」とこの銀行員は語った。

 

いくつかの中国フィンテック企業の経営者らは、ここ数ヶ月で、NASDAQが制限を加えたIPO件数が突然急増したと語っている。

 

この新たな規制について詳しい別の投資銀行社員は、この先、数四半期にわたって、中小規模の中国企業によるIPO件数は急減すると語っている。

 

直近の6ヶ月間で、いくつかのアメリカの投資銀行が、中国のフィンテック企業によるIPOの引受業務を辞退している。

 

また別の銀行員は、新たな制限により、中国企業は基準を満たすためにさらに追加資金を調達しなければいけないと語っている。少なくとも、アメリカの投資家たちから25〜30%の資金を調達しなければならず、取締役員にアメリカ国籍の人物を指名しなければいけない。

 

こうした新たな規制が導入されたことで、すでに数件のIPOが延期されている。これらIPO案件は、新たな基準を満たすために、資本配分プランを変更しなければいけない。

 

NASDAQで株式上場を計画していた中国企業に対して新たに制限が課されたことにより、これら企業はニューヨーク証券取引所のような別の市場へ移る可能性がある。当然、NASDAQ以外のアメリカ国内の株式市場にも、同様に中国企業に対するIPO規制が今後数カ月以内かそれよりも早く、義務付けられる可能性がある。そうなれば、IPOを目指す中国企業はアメリカを去り、他の国で上場することになる。

 

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