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中国からキャピタル・フライトが急増:裏口から海外へ資金が流出とWSJ紙

China Southern Airlines

中国人民銀行が発表する統計データでは、中国から海外へのキャピタルフライトは起きていない——少なくとも政府発表ではそういうことになっている。しかし、本当に中国政府はその強制力によって、中国国内の資産が海外へ流出する勢いを抑制できているのだろうか?

 

ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙は、そうではないと報じている。今年4月末と比較して人民元の米ドルに対する価値が最近6%も下がったことを受け、中国国内にある資本はますます「裏口から逃げ出している」。2018年中頃と比べると、人民元は米ドルに対して10%も下落している。

 

もしこの裏口から逃げ出す国内資産がさらに増えれば、パニックが起きるのを防ぐために、中国政府は再び外貨準備金の大部分を売る必要に迫られる。資本の海外流出を制限し、為替操作を行うことで維持している中国の通貨「防衛」制度に亀裂が生じることを恐れているということも、中国政府が積極的な金融刺激策を行うことに慎重になっている理由の一つだろう。

 

またこれが理由で、中国政府は、何の罪悪感もなく統計データの捏造を行なっている。そうしなければ、つまり悪い事態が起きているという事実を否定しなければ、予言が自己実現するようにさらに通貨の切り下げが必要になり、さらなるキャピタル・フライトを引き起こすことになる。

 

中国政府は、不都合な事実から目を逸らすような、完全に捏造された統計データを発表しているが、その裏で、実際に中国国内から逃げ出している資産をトラッキングする単純な方法がある。それに関係する数字は、中国政府の国際収支表(BOP)の項目の一つである「誤差脱漏(errors and omissions)」であると、WSJが指摘している。

 

 

これはつまり、どういう理由か不明ながら中国の国境を越えてしまった資本のことであり、正式な記録が行われていない資本の流出を指す。

 

中国政府の国際収支表:1998年3月〜2019年6月までの誤差脱漏

Source:CEIC

 

ほとんどの国では、この「誤差脱漏」と言われる項目の数字は比較的小さい。しかし2014年以降、中国政府は米ドルに対する人民元の値上がりを阻止する決定を下しており、この項目の数値が「永続的かつ不思議なことに、多額のマイナス(流出)である」。ローディアム・グループやその他機関のアナリストたちは、この項目が示しているのは記録されていないキャピタル・フライトであると長年疑ってきた。

 

この裏口から流れ出ているキャピタル・フライトの金額は、2018年中は並の程度であったのが、最近になって急増している。今年になって、「誤差脱漏」に記載されている金額が年初来の6ヶ月間としては史上最高の1310億ドルを記録したとWSJ紙は報じている。同紙は国際金融協会(IIF)のジーン・マー氏を引用して報じており、前回、多額のキャピタル・フライトが発生した2015年から2016年には、年初来の半年間で平均800億ドルの資本流出だったが、今年はそれを大きく上回っている。

 

現実に起きているキャピタル・フライトは、2015年に起きた通貨の切り下げ以降の金額の2倍規模であることを示している。さらに、キャピタル・フライトを防ぐために数年前に導入された政策は、一見効果的なように見えたが、実際は非正規の手段を使った資本の海外流出が増えており、中国がいまだキャピタル・フライトの危機にさらされていることを意味している。また、中国政府は第3四半期の統計データをまだ発表していない。8月初めには人民元の価値が大きく下落し、過去10年間で初めて対ドルで7.00人民元を下回った。

 

こうしたことは、次の2つを意味している。

 

一つ目は、WSJ紙が指摘するように、中国は貿易戦争による経済圧力を自国通過によって相殺しようとしており、それが中国のこれまでの主な生き残り戦略となっている。しかし、「大量の資金の流れが中国の堤防をかいくぐり、新たな抜け穴を見出している。さらに、国内の食糧価格が制御できないほどインフレを起こしていることも、この賭けを危険なものにしている。この中国による生き残り戦略はさらにリスクが高くなっている」。

 

二つ目は、すでに資本が中国から流出しているなか、中国経済を刺激するために行われる将来の財政政策は、それがどのようなものであってもすぐにしっぺ返しを喰らうということである。これは世界各国の経済がなぜ景気後退に突入しているかも説明している(関連記事)。

 

前回の金融危機が発生して以降、中国が最大の経済成長エンジンとして世界経済を牽引してきた。その背景には中国国内の膨大な「クレジット・インパルス(GDPに対する与信の伸び率の変化」のおかげであった。しかしこの超巨大な信用拡大のメカニズムが終焉を迎えようとしている。

 

Source:FXEmpire

 

中国政府は、国内経済を刺激しようと、人民元のさらなる切り下げを実施すれば、キャピタル・フライトが制御不能になるリスクを抱えている。

 

結論:中国政府による公式統計データには現れていないが、細かい項目を注意深く読み込むことで、世界経済が崩壊の崖っぷちに立たされているかもしれない、ということが示されている。

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