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米政府が台湾政府に半導体チップをファーウェイへ販売することを停止するよう要請

TSMC

アメリカ政府は台湾政府に対して、即刻、台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング・カンパニー (TSMC)が半導体をファーウェイへ輸出することを禁止するよう要請した。これに対して中国政府が激怒することは必至で、米中貿易交渉の緊張を高めることになるのは避けられない。

 

アメリカ政府と中国政府は、まもなく「第1弾(フェーズ1)」として貿易交渉の一部合意にサインするだろうと複数のメディアが報じているが、先月末、ブルームバーグは「第1弾(フェーズ1)の貿易交渉の一部合意は、まもなく破綻すると中国政府の高官が密かに疑っており、両国が包括的な最終合意に至る可能性は実質上ゼロである」と報じている

 

アメリカの政府関係者たちは、台湾の外交官らに対して、TSMCが製造した半導体でファーウェイに販売されたものが、台湾に照準を合わせた中国のミサイル誘導装置に利用されていると語った。このことをファイナンシャル・タイムズ(FT)紙が次のように報じた

 

「アメリカ政府当局者たちは、台湾の対話相手と、安全保障および彼らの技術サプライチェーン(によって製造された製品)の最終用途について、頻繁に対話する機会を設けている。我々は、他の関係国とも似たような一般的輸出管理規制と不拡散について対話している。特にこの事例では、我々のパートナー国が中国からの直接的な軍事的脅威にさらされており、また、このパートナー国は、中国が自国の軍事的野心を支援するのに必要な特定技術を製造している数少ない場所の一つとなっている」とアメリカ政府当局者は語った。

 

クレディー・スイスで地域的半導体調査部門のトップであるランディー・エイブラムス氏は、アメリカ政府がファーウェイに対して、米国内の主要市場で製品を販売することを制限して以降、TSMCの売上は若干上昇している状態であると語っている。

 

エイブラムス氏は、第3四半期におけるTSMCの売り上げのうち20%を中国市場が占め、そのうちの少なくとも半分がファーウェイからの売り上げであると語っている。「台湾政府が、TSMCに対してファーウェイへの販売を強制的に停止させる場合、株式市場はネガティブな反応を示すだろう」と同氏は語っている。

 

一方、技術分野の専門家たちは、アメリカ政府がどこまで台湾政府に対して自由市場に介入し、TSMCが半導体をファーウェイへ販売するのを停止させることができるかについて、それは難しいだろうと語っている。

 

「アメリカ政府が中国との競争に集中している状況や、5Gや高度な軍事能力に対して半導体が果たす役割について考えた場合、現政権や連邦議会は、先進的な半導体チップが台湾や、日本、韓国といったその他の国々から中国へ輸出されることにますます監視を強めることが予想できる」と、ビーコン・グローバル・ストラテジーズの副社長、エリック・セイヤーズ氏は語っている。

 

アメリカ政府は、中国の周辺諸国からユーロ圏に至るまで世界を周り、中国脅威論を広めている。アメリカ政府による目的は明らかだ。それは、中国とその他世界を「デ・カップリング」することである。しかし、中国はすでに世界の市場に深く組み込まれており、アメリカのミッションが成功する可能性は低い。

 

中国が消えて無くなることはなく、アメリカ政府やアメリカの企業は、世界のスーパーパワーとしてアメリカが一人勝ちしていた世界から、多極化した世界という新構造に慣れていかなければいけないのかもしれない。(ただし、中国は消えなくても、中国共産党政権が消えて無くなることはあるかもしれないが。)

 

Photo via TSMC

 

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