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米株価が再び史上最高値を更新:現状で株価を追いかけるのは狂気とトレーダーが警告

米株価が再び史上最高値を更新:現状で株価を追いかけるのは狂気とトレーダーが警告

連日、アメリカの株式市場は史上最高値を更新している。ただし、大きくブレイクアウトするのではなく、ほぼ横ばいの状態でわずかに上昇するという値動きを続けている。

しかしトランプ大統領は史上最高値を更新したことを喜ぶツイートを今日も投稿している:

【訳】株式市場は本日大きく上昇した(*)。新記録だ。皆、楽しめ!

(*)本日11月7日、ダウは0.66%、S&P500は0.27%、ナズダックは0.28%の上昇だった。「大きく上昇」は誇張だ。

一方、株価の上昇を受けて、為替がドル高に振れていることはアメリカ経済にとって良いニュースとは言えない。また、金(ゴールド)の価格は3ヶ月前のレベルにまで急落し、30年もの米国債の金利は急騰している。

このように連日、史上最高値を続けるアメリカの株式市場であるが、いずれメルトダウン(融解)が近づきつつあると多くの市場関係者が噂していると、NorthmanTraderの設立者でマーケット・ストラテジストのスベン・ヘンリック氏は語っている

ヘンリック氏は、「株式市場は鍵となる歴史的レベルの抵抗線に到達しようとしており、株式が過剰買いされていることを示す合流点に到達しようとしている。それと同時に、史上最高値を更新し続ける現在の株式相場の性質は、非常に脆い構造の上に成り立っている」と分析する。

ヘンリック氏は、今後アメリカの株式市場が融解するだろうと予想する。そう予想する根拠として、同氏はアメリカ株式市場のチャート分析を行っている。

【訳】FRBはそれをどうとでも呼ぶことができる。しかし、現実は、「量的緩和ではない量的緩和」を導入してから、市場の動きは根本的に変わってしまった。日中の価格変動幅は狭い。かつて量的緩和が行われていた時のように、株価の動きはギャップ、傾き、(ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析など)立場による分析に完全に支配されている。

現在の値動きの性質が、オーバーナイト(先物取引)で生じたギャップに大きく左右され、日中の価格発見を無効にしているため、多くの指標が極端な状況になってしまっているとヘンリック氏は言う。その一つの例として、『CNN Fear & Greed index(CNN恐怖&欲望指標)』は高い数値をつけており、現在の市場が「極端に強欲」であることを示している:

さらにヘンリック氏は次のように指摘する:

FRBが必死に金利をコントロールしようとしているため、「TINA効果」(**)が市場に戻ってきている。そのため、あふれた投資資金は株価が高騰している状況でも株式に配分する以外にほとんど行き場を失っている。この夏、利回りが大幅下落した際、年金基金は記録的な金額の資産を株式に配分せざるを得なくなった。総資産の47%をリスク資産に配分しており、これは2007年以来、最大である。株式のようなリスク資産が、リスクゼロ資産であるかのような扱いを受けている。

(**)TINA(There Is No Alternative)効果:満足いく手段ではないがそうする以外に方法がない状況。

【訳】アメリカ株式市場の時価総額はGDPの145%に達した。公的年金は総資産の47%まで米国株への投資を増大させており、これは2007年以来最大のエクスポージャーとなっている。

当サイトでも報じてきた通り、FRBは金融市場(レポ取引市場)を落ち着かせる必要に迫られ、市場には歪みが生じている。そしてFRBは、量的引き締め(QT)から、量的緩和(QE)へと金融政策を逆戻りさせた。しかしFRBは、この政策の変更を「量的緩和(QE)」と呼ぶことを否定しており、再開した実質上の量的緩和(QE)がもたらすインパクトを認めようとしない。

上のツイートでヘンリック氏が指摘するように、今週、アメリカの株式市場の時価総額はGDPの145.8%に達した。時価総額はGDP比でさらに拡大する可能性がある。これは、まさにあらゆることが歪んでしまっていることを表しているとヘンリック氏は言う。株式市場の時価総額が拡大していることは、問題を先延ばしにしているに過ぎないのではないか?株式市場が史上最高値を更新するたびに、貧富の格差がさらに拡大するのを祝福していることになる。(反トランプ派の民主党にとっては、現在の株高は経済成長をもたらさず、単に貧富の格差を拡大させているにすぎない忌まわしい出来事ということになる。)

ヘンリック氏はFRBによる金融政策についても辛辣に批判している:

FRBはそれを認めないが、彼らはその仕組みが目の前で崩壊してしまうことを恐れている。

しかしFRBはそれを止めることができない。その理由は、彼らはこれが起こることを決して予想していなかったからだ。彼らは10ヶ月前、全く異なることを予想していたため、金利を引き上げ、量的引き締め(QT)を自動運転で行なっていた。しかしそれを突然反転させ、大型の量的緩和と金利引き下げを再開させた。彼らには大局的な計画もコントロール能力もない。彼らは単に目の前の状況に反応し、ファンダメンタルズを追い求めて負債を拡大しているにすぎず、そこから得られる成長はますます低減している。

ヘンリック氏は、現在のバブル状態を解決するには、そのバブルを弾けさせるしかないと言う:

2016年の状況が繰り返されることが望まれることだ。・・・(略)・・・

しかし現実は、金利が自然な市場原理に沿って動くとすれば、今とは逆の方向へ進みたいと思っている。FRBの介入がなければ、オーバーナイトのレポ取引市場の金利は、今よりもずっと高いものとなり全てを変えてしまう。まさにこの理由から、連銀は日々のレポ取引市場への介入を行っている。

表面的に市場は安定しているように見えるが、より大きな市場を動かす力は構造的な苦しみに呻いている状態である。

そのため、唯一の解決策はかつてなく巨大化したバブルを弾けさせることである

それではいつ、バブルは弾けるのだろうか?

価格が投資家心理を誘導する。常にそうだ。現在、市場は史上最高値にあるため、人々は再び強気になり始めている。決算発表の内容が良いからでも、成長性が高いからでもなく、ファンダメンタルズに関することとは一切関係ない。価格が高くなっているからという理由だけで投資家心理は強気になっている。では、なぜ価格が高騰しているのか?理由は簡単だ。それは単に連銀の(量的緩和の)おかげである。

それでは、これ(連銀の金融政策)が失敗だといつになったらわかるのだろうか?こうした金融政策の結果、成長に劇的な改善が見られないことが判明したときだ。(***)

金融政策の「効き目」という問題に終始する。現在のところ、その効き目は、「わずかな株価の記録更新(marginal new highs)」を達成できている。2〜3%の上昇というのはわずかな記録更新だ。昨年から今年にかけて私たちが目撃したように、3〜3.5%の上昇というのは株の売却を意味する。同様の株式市場の行動パターンが再び起きるとすれば、S&P500の株価は3119〜3134まで上昇する可能性がある

構造的に、現在の株式市場はここ数ヶ月間に経験してきた動きと同じシナリオに沿って動いている。つまり、連銀が将来の金利引き下げを約束すると(株価は)下げ止まって底を打ち、実際に金利が引き下げられると値幅の狭い株価上昇が続き、しかし最終的に株は売却され株価は下落する。

(***)日銀が行ってきた長年の量的緩和にもかかわらず、日本の経済成長に劇的な改善は見られない。つまり、ヘンリック氏によると、日本の金融政策の失敗はすでに判明しているということになる。

ヘンリック氏は現在の株式市場のテクニカル分析を次のように行っている:

しかし現在の「量的緩和ではない量的緩和」は、これまでの株式市場のダイナミズムを変えてしまっている可能性がある。というのも、現在の株価はすでにトレンドラインを超えているからだ。

テクニカル分析の観点から言って、現在のパターンはブレイクアウトする必要がある。そしてブレイクアウトはテストされ、そのテストをパスして防衛される必要がある。これまでのところ、まだ株価のテストはされていない。

現在の株価の上昇基調は、オーバーナイトのギャップ(日中の株価と夜間の先物取引の価格差)によって生じているということが主な懸念事項である。1回や2回のギャップ程度なら良いが、5回、6回、7回、8回というギャップは埋まらない。

さらに、あらゆるトレンド・ラインがここにきて収斂しつつある。線形(リニア)チャートでもそれが見て取れるし、対数(ログ)チャートでも同様である

故に、株式市場の融解が起きるという主張を(現時点では)疑っている。当然それは間違っている可能性がある。株式市場に投入されたこれほどの巨額の流動性マネーを考えると、それは起きうる。しかし現時点では、株価の史上最高値がさらに更新されても驚くべきではない。

ただし、現在の環境で株価を追いかけることは狂気である。

ヘンリック氏は、1999年11月にも同様の分析を発表していた。そして当時の株価は2000年3月まで史上最高値の更新を続けた。振り返って考えると、当時株式市場はすでに過熱状態であった(グリーンスパン元FRB議長やロバート・シラー教授は、これを「根拠なき熱狂」と呼ぶ)。

ヘンリック氏は、現在の「根拠なき熱狂」がいつ終わるのか予言はできないと言う。

現在のトレンドが終わることを確証するサインを見つけるのは容易ではない。ただし、マクロソフト株(MSFT)のテクニカル分析を行ってみると、超過のサインがあらゆるところに現れている。市場が過剰買い状態であり市場のセンチメントが貪欲さを示しており、長期の抵抗線に到達している。前回につけた史上最高値をたった2%しか上回っていない状況にあり、このような文脈こそが、株式が融解すると危惧する状況である。

2019年の株式市場は、連銀による金融政策と貿易戦争に関する楽観論を材料として拡大してきた。この市場が融解するには、株価の根拠となる企業収益を無視し続け、ここ10年のトレンド・ライン上でブレイクアウトし、そして複数の長期トレンドラインを超えたところで破綻する必要がある

実際、現在の株価は、根拠となる企業収益を無視し続けている・・・

【訳】$SPX(S&P500)は、2019年第3四半期の収益が前年比でマイナス-2.7%であると報じた。これは同指標にとって、前年比で3四半期連続のマイナス成長である。

【訳】$SPX(S&P500)は、2019年第4四半期の収益が前年比でマイナスになると予測している。

ヘンリック氏は、こうした要因が組み合わさることにより、現在の市場が非常に危険な環境下にあると結論づけている。連銀により人工的に投入された流動性マネーにより、株式市場は融解を引き起こす方向へと進んでいる。2000年以来、株式市場の時価総額は最大規模へ膨れ上がっており、いずれ、それに見合った規模の結末に市場は直面することになる。

Photo via Sven Henrick’s official Twitter

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