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【Part 1】中国共産党は欧米の機関投資家たちが資金を国外持ち出しすることを禁止:しかしMSCIとBloomberg/Barclaysのインデックス・ファンドは逆に中国への投資を急拡大している

中国共産党は欧米の機関投資家たちが資金を国外持ち出しすることを禁止

先月この記事でも紹介したアメリカの投資アドバイザリー企業One River Asset ManagementのCIO(チーフ・インベストメント・オフィサー)、エリック・ピーターズ氏(冒頭の写真)が、中国共産党の驚くべき実態を伝える記事を発表した。以下にその抄訳版を紹介しよう。

(Photo via AB’s YouTube channel)

世界の機関投資家向けポートフォリオの組み立てを行なっている投資企業経営者は、次のように語った:

「彼ら(同社のクライアント企業たち)は自分たちの資金をもはや持ち出すことができない。過去5年〜10年の間に中国大陸のプライベート・エクイティに投資を行った分散投資家たちは、今では刑務所に閉じ込められてしまっている。「刑務所に閉じ込められている」というのは比喩表現ではなく、文字通り、それら投資を売却して得られた現金を中国国外へ持ち出すことが許されていない。この問題は広く蔓延しており、その合計金額は巨額で、これら分散投資家たちが為替リスクをヘッジできるよう、私たちは社内の人間たちをこの事案に集中させている」。(太字強調は訳者。以下同様。)

ただ単に投資資金が外国で「牢獄」に入れられた状態であるだけでなく、資金を移動できない状態を解決しようと対策を練っている最中に、その資産価値が下がってしまう可能性があることがさらに事態を悪化させている。

「投資が満期を迎え、プライベート・エクイティ企業が人民元をその顧客に配分する段階になっても、その投資資金を中国国外へ持ち出すことができない。そのため、プライベート・エクイティ企業は、彼らのクライアントに対して自社の(中国国内の)最新ファンドに資金を再投資するよう依頼するしかない状態である」と冒頭の投資企業経営者は語っている。

世界で最も洗練された機関投資家たちが、彼らの投資資金が北京政府によって人質にとられている状態であることを目の当たりにしてもなお、リテール向けに退職後の蓄えを運用するパッシブ・ファンド(インデックス・ファンド)は、ますます多くの投資資金を中国株および中国債券へ流入させている。

2019年3月、MSCIは、複数提供しているインデックス・ファンドにおける中国のオンショア株式の比率を4倍に拡大した。この拡大により、世界の個人資産の800億ドル〜1250億ドルが中国大陸の株式に強制的に投資させられることになったと見積もられている。MSCIは、この中国大陸株比率をさらに拡大する予定であり、パッシブ運用の株式ファンドへの投資資金をさらに1600億ドル〜2500億ドル、中国大陸の株式に配分する予定である。

また、ブルームバーグ・バークレイズ・グローバル総合インデックス(Bloomberg Barclays Global Aggregate index)は、今年3月に初めて、13兆ドル規模の中国国内の債券市場へ同インデックスの6%の資産を配分投資している。これにより、同ファンドからは1250億ドル〜1500億ドルの投資資金が中国国内の債券市場に投入されたと見積もられている

もし他のインデックス・ファンドの提供会社がブルームバーグ・バークレイズの動きに追随すれば、世界中の個人の投資資産から、さらに1250億ドル〜1500億ドルが中国国内の債券市場に流れ込むことになる。

ここ数十年の間に、国境を越えて移動する世界の資本は増え続けてきた。しかし、各国に出入りする資本は、権力の座にある人物たちによる許可があって初めて可能であることを忘れてしまうことは容易である

「西側と東側の間でますます高まる衝突の最中にあって、機関投資家たちは自分たちの資金を引き出すことが制限される状況に直面していることが明らかとなっている。それでもなお、MSCIとブルームバーグ・バークレイズのインデックス・ファンドの取締役会が、世界の個人年金の運用資金を中国共産党に強制的に投資させているというのは驚愕である」。

スティーブ・バノンが、「中国共産党は西側のエリート(ウォール街)が作り上げた怪物」と語る理由がよくわかる。

Part 2へ続く

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