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喜劇俳優のサシャ・バロン・コーエンが、ザッカーバーグは「人類史上最大のプロパガンダ装置」を運営していると批判

喜劇俳優のサシャ・バロン・コーエンが、ザッカーバーグは「人類史上最大のプロパガンダ装置」を運営していると批判

カザフスタン出身の「ボラット」という架空の人物に扮して、アメリカ文化をコミカルに皮肉った映画を覚えている人もいるだろう。邦題は『ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習』であり、2006年に全米公開された。そのボラット役を演じたユダヤ系イギリス人俳優のサシャ・バロン・コーエン氏が、フェースブックの創設者マーク・ザッカーバーグ氏(ユダヤ系アメリカ人)を痛烈に批判した。

 

コーエン氏はその後の作品でもアメリカ文化の風刺を続けており、最近ではアメリカの有料テレビ・チャンネルSHOW TIMEで『Who Is America?(アメリカとは誰か?)』というコメディー番組に出演している。

 

Photo courtesy of Fox Japan

 

コーエン氏は、ザッカーバーグ氏のことを「世界の人々が閲覧する情報の大部分を決める6人のうちの1人」と批判し、特に大衆に情報を拡散するプロパガンダ活動にとって最終的責任がある人物と糾弾した。

 

ユダヤ人に対するヘイト活動から彼らを守るために、1913年に設立された反ヘイト組織ADLがある。この団体が、顕著な活動を行った人物たちに贈る『ADL国際リーダーシップ賞(ADL International Leadership Award)』を今年受賞したコーエン氏が、その授賞式のスピーチの中でこうした発言を行った。特にフェースブック、ツイッター、YouTube、グーグルなどを名指しし、これらが「人類史上最大のプロパガンダ装置」だと厳しく批判している。

 

ニューヨークで開催されたこの授賞式で、多数の授賞式参加者たちを前に、アメリカの大手ソーシャル・メディア企業たちは、何十億人という人々に影響をもたらす能力があり、ヘイトや嘘、そして「私たちのさもしい本能をくすぐる」メッセージを拡散しつつ、しかしこれら企業が気にするのは売上だけであると語った。

 

さらにコーエン氏は次のように語った:

 

ほんの一部のネット企業が、今のあらゆるヘイトや暴力を拡散し、これら企業は人類史上で最大のプロパガンダ装置になっている。

 

考えてみて欲しい。フェースブック、YouTubeとグーグル、ツイッター、その他の企業は、何十億人もの人々に影響を及ぼしている。これらプラットフォーム企業が利用するアルゴリズムは、意図的にユーザを駆り立てるような種類のコンテンツを拡散している。つまり、私たちのさもしい本能をくすぐるような報道、そして怒りや恐怖を引き起こすような報道だ。

 

そして2016年の大統領選挙がきっかけとなり、それ以来、長年議論を巻き起こしている問題について触れた。コーエン氏はフェースブックが事実確認をせずに政治広告を掲載していると批判している。彼はフェースブックを第2次世界大戦中のドイツの「第三帝国」になぞらえてもいる。

 

もしお金さえ払えば、フェースブックはどのような「政治的な」広告でも掲載する。それがたとえ嘘の内容であってもだ。

 

フェースブックは、最大の広告効果が得られるようこれら嘘をそのユーザに対してミクロ・レベルで細かく標的にする支援までも行うだろう。この倒錯した論理に従うと、もしフェースブックが1930年代に存在していたとしたら、同社はヒットラーが「ユダヤ人問題」の「解決策」を説明する30秒広告を掲載することを許可していただろう。

 

このコーエン氏のスピーチについてコメントするツイート:

【訳】サシャ・バロン・コーエンは、シリコンバレーの6人のビリオネアたちは、「民主主義を守ることよりも、彼らの会社の株価を上昇させることに」ご執心であると語った。ザック(ザッカーバーグ)の髪型について冗談を言い、彼を現代のカエサル大帝と呼ぶ理由について説明した。しかし真面目に、彼の全スピーチを絶対見るように。全スピーチはここに投稿されている。

 

コーエン氏は、そのスピーチの中でさらに衝撃的な発言をしている。大手ソーシャル・メディア上で選挙介入につながるようなメッセージを許可したり、世界各地で大量虐殺につながるメッセージを許可している企業のCEOたちは、投獄されるべきだとも語っている。

 

コーエン氏は、ザッカーバーグ氏が以前、フェースブックは「表現の自由」のよりどころであると主張していることについても批判した。

 

偏見を持つ人々や小児性愛者たちに、彼らの意見を拡散したりその犠牲者たちを標的にするための無料のプラットフォームを提供するべきではないということに、私たちは全員一致した意見だと思う。(略)

 

ネット企業は、小児性愛者たちが子供達を標的にするために彼らのサイトを利用することに対して責任を負わされている。これらのサイトを利用して人種や宗教上の理由で子供達の大量虐殺を喧伝しているユーザに対しても、これら企業に責任を追わせようではありませんか。罰金だけでは十分ではないと思います。マーク・ザッカーバーグやこれら企業のCEOに対して、こう言う時が来ていると思います:あなた方はすでに一つの外国勢力に私たちの選挙へ介入することを許した。あなた方はすでにミャンマー(*)における大量虐殺を手助けした。もう一度それをしたなら、あなた方は刑務所へ行きます、と。

 

【訳】私はスピーチの中で、もしマーク・ザッカーバーグや(他の)テック企業のCEOたちが、外国勢力に私たちの選挙に(再び)介入することや(ミャンマーのような)新たな大量虐殺を許したなら、彼らはおそらく投獄されるべきであると語った。私が行った全スピーチはここ

 

ザッカーバーグ氏が「表現の自由」を盾に反論していることについて、コーエン氏は次のように異議を唱えている:

 

これは人々の発言の自由に制限を加えるものではない。地球上で最も非難されるべき人物も含め、人々に対して、世界の人口の3分の1に影響を与えるという人類史上最大のプラットフォームへのアクセスを与えることに関する問題だ。表現の自由は、影響力の自由ではない。残念なことに、世の中には常に人種差別主義者、女性差別主義者、反ユダヤ主義者、そして幼児虐待者たちがいる。

 

そのため次のようなことが良い行動基準になる:フェースブックは、政治広告を掲載する前に事実確認を行いなさい。ミクロ・レベルでユーザを細かく標的にして嘘を表示するのをやめなさい。そしてもし広告の内容が誤りだった場合、広告費用を返金しそれらを掲載するのを拒否しなさい。

 

コーエン氏の全スピーチはここで視聴することができる:

 

 

(*)ミャンマー国内におけるベンガル系イスラム教徒(通称ロヒンギャ)に対する虐殺について指している。しかしそもそもその歴史的な原因を作ったのはイギリスである。19世紀〜20世紀にかけて、ミャンマーを植民地化したイギリスが、国内の分断を利用して統治するいわゆる「分割統治(devide and rule)」と呼ばれる手法を実施する一環として、隣国バングラディシュからミャンマーにロヒンギャ(ベンガル人)が入植することを承認したことが現在の民族紛争の遠因を作ったと言われている。つまり、ロヒンギャはイギリス植民地時代の犠牲者でもある。イギリス人であるコーエン氏は、このイギリス人としての歴史的な責任を無視して、ソーシャル・メディアだけを非難するというのは欺瞞以外のなにものでもない。

 

Screenshot via ADL’s YouTube

 

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