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元ドイツ銀行の上級幹部が自殺:ドナルド・トランプへの数百万ドルの融資に関わった人物

元ドイツ銀行の上級幹部が自殺:ドナルド・トランプへの数百万ドルの融資に関わった人物

ここ数年間で、欧米の銀行員たちが立て続けに自殺で亡くなっている。しかも一介の銀行員ではなく、大手金融機関の上級幹部たちによる自殺が続いている。ニューヨーク・ポストは、2016年6月に、『なぜこれほど多くの銀行員が自殺しているのか?(Why are so many bankers committing suicide?)』という見出しでこの問題を正面から報じる記事を掲載している。そして、社員の中から自殺者を出している金融機関の中で、最も上級幹部の自殺者を出しているのがドイツ銀行だ。

 

全ての始まりは2014年1月26日に起きた。当時58歳であったドイツ銀行の元上級幹部、ウィリアム・ブロークスミット氏は、ロンドンにある自宅で首を吊って亡くなっているのが発見された。同氏はドイツ銀行内部のリスク業務に携わっており、同行の上層部に対してアドバイスを行う立場にあった。彼が亡くなった後に見つかった遺書によると、彼は「自分が関わっていた銀行内部の業務について、複数の政府当局が捜査を行なっていたことが不安だった」と記している

 

ブロークスミット氏による自殺を契機に、この年、かつてないほどの銀行員が立て続けに自殺している。その中には、複数の連銀の元職員たちやJPモルガンのトレーダーたちも含まれている。2014年10月には、また別のドイツ銀行のベテラン行員が自殺した。米連邦証券委員会(SEC)の元執行弁護士で、ドイツ銀行の次席法務顧問であったカロゲロ・“チャーリー”・ガンビーノ氏(41歳)が、2014年10月20日朝、自宅の階段の手すりから首を吊って亡くなっているのが見つかった。

 

それから5年以上たった今月19日(先週火曜)、ドイツ銀行の元幹部で、米国の個人顧客向け資産管理部門のトップであったトーマス・バウワーズ氏が、カリフォルニア州マリブーの自宅で首を吊って亡くなっているのが見つかった。バウワーズ氏は55歳だった。地元検死官事務所がウェブで公表明らかとなった(以下はそのキャプチャ画像)。

 

 

バウワーズ氏の自殺を最初に報じたのはNYタイムズ紙のデービッド・エンリッチ記者である。エンリッチ氏は、現在、書籍『ダーク・タワーズ(Dark Towers』を執筆中であり、冒頭で紹介したドイツ銀行の元幹部ウィリアム・ブロークスミット氏の自殺について、彼の息子バル・ブロークスミット氏から得られた詳細な証言などと合わせて独自の調査結果を書籍化する予定である。

 

出版社の予告サイトによると、この書籍は2020年2月18日に出版される予定。副題には、「ドイツ銀行、ドナルド・トランプ、そして崩壊についての壮大な痕跡」と添えられている。また、この書籍の要旨を次のように紹介している:

 

世界で最もスキャンダルに満ちた銀行についての暴露本の力作。この銀行とドナルド・トランプのビジネス帝国との暗い繋がりを暴く

 

2014年の雨が降る日曜、とあるドイツ銀行の上級幹部が、ロンドンの自宅で首を吊っているのが見つかった。ビル・ブロークスミットは、150年の歴史がある金融機関を世界的な巨人にまで成長させるのに貢献した。彼の突然の死は不可解であり、ドイツ銀行が彼の自殺への捜査を妨害しようとしたことがさらに謎を呼んだ。後に、ブロークスミットは知りすぎた男だったことが判明する・・・(略)

 

・・・アメリカ市場への参入にますます躍起となったドイツ銀行は、世界のほとんどの銀行が関わるには危険すぎると考えていた、自己宣伝に長けた不動産王、ドナルド・トランプとのビジネス関係を開始した。それから20年以上にわたって、ドイツ銀行の幹部たちは、トランプ、クシュナー家、そしてジェフリー・エプスティーンのようなスキャンダルまみれの顧客に対して数十億ドルもの融資を行った。

 

『ダーク・タワーズ』は、ドイツ銀行が、いかに無謀な金融機関、そして銀行犯罪の世界的代名詞となったかについて、決して語られたことのない壮大な物語である。これは、企業にとっての「大量破壊兵器」と呼べる内容である。また、この銀行で目撃してしまったことに恐れ、その恐怖心に疲弊してしまった男と、彼が握っていた秘密を突き止めることに取り憑かれた彼の息子の物語でもある。

 

以下はトーマス・バウワーズ氏の自殺を報じるデービッド・エンリッチ記者のツイート:

 

【訳】ドイツ銀行の元幹部、トーマス・バウワーズ(55歳)がカリフォルニア州マリブーで先週亡くなっていることを知った。私は彼と知り合いだった。非常に悲しいことだ。

 

バウワーズ氏の経歴によると、彼はボストン大学出身で、直近ではStarwood Capital GroupのCOOとして勤務していた。

 

また、2015年にStarwood Capital Groupに転職する前は、ドイツ銀行内で南北米の資産管理部門の共同責任者であった。彼は2005年からこの部門での勤務を開始し、米国とラテン・アメリカにおける資産管理事業の責任者を務めていた他、ドイツ銀行の南北米における個人向け資産管理部門と同機関投資家向け資産管理部門とを統合することに関する共同責任者でもあった。バウワーズ氏は、ドイツ銀行証券の取締役でもあった。つまり、もしドイツ銀行内部で不正や違法行為が行われていたとしたら、彼はそれを最もよく知る人物の1人だったと考えられる。

 

注目に値するのは、バウワーズ氏もブロークスミット氏も共通して、ドイツ銀行の米国の資産管理部門における重要な役割を担っていたと考えられるということだ。特にブロークスミット氏は、不透明な「ドイツ銀行信託会社アメリカズ(DBTCA)」を通して活動していた。

 

さらに興味深いのは、先に紹介したNYタイムズ紙のデービッド・エンリッチ記者が今年3月、バウワーズ氏はトランプに対する個人的な担当銀行員であるローズマリー・ブラブリック(以下の写真)の上司だったと報じたことだ。NYタイムズ紙は、ローズマリー・ブラブリックは、トランプが大統領に当選する前、数年にわたって3億ドル以上の融資を行う手助けをしたと報じている。

 

 

2006年9月にドイツ銀行が発表したニュース・リリースで、ブラブリック女史がバンク・オブ・アメリカのプライベート・バンク部門から引き抜かれて採用されたことを公表している。その中で、バウワーズ氏は、「ローズマリー(・ブラブリック)は、アメリカ国内の超富裕層コミュニティーの間でトップのプライベート・バンカーの1人として広く知られている」と記している。ブラブリック女史を確実に引き抜くために、ドイツ銀行は彼女に300万ドルの報酬を支払うことを確約したと報じられている。2006年当時、資産運用のプライベート・バンカーに300万ドルという金額を払うのは破格の扱いである。

 

NYタイムズ紙によると、ブラブリックは「従来のようなプライベート・バンカーではない。ドイツ銀行における彼女の上司たちは、彼女にアグレッシブになるよう発破をかけていた」と報じている。彼女のキャリアを通して、ブラブリック女史は、トランプと彼の不動産会社に対して数百万ドルの融資を提供するための橋渡し役を担っていた。さらにNYタイムズ紙は、トランプが「ドイツ銀行から得られた融資を、高層ビルやその他の高級物件への資金として利用した」と報じている一方で、「ドイツ銀行は、トランプの(不動産)プロジェクトを利用して投資銀行部門を構築したことや、トランプが預け入れた資産から保管手数料を徴収し、また、有名人である彼を利用して顧客を集めていた」と報じている。

 

ブラブリック女史とトランプがいかに近しい間柄であったかを示す証拠として、2017年に行われたトランプの大統領就任式で、フェンスで囲まれたVIPセクションにいる彼女の姿が目撃されている。

 

ドイツ銀行に関する疑惑について、その闇が深いことを伺わせる一端として、ForensicNewsのスコット・ステッドマン記者は以下のツイートを発信している。

 

【訳】連邦政府の捜査官たちは、バウワーズ氏と彼が保有していたと思われる資料について質問していると、FBIによるドイツ銀行への捜査について直接知る人物が語っている。

 

ステッドマン記者は、さらに次のようにツイートしている:

【訳】ドイツ銀行の内部組織を知る別の情報源の人物は、バウワーズ氏が、ドイツ銀行の中で最も裕福な顧客たちに関する金融情報の門番だった可能性があると語った。

 

ブラブリック女史の元上司だったバウワーズ氏は、ドイツ銀行がトランプに対して行った融資に関わっていたのか?そして彼がドイツ銀行による秘密の不正行為を知っていたために、FBIの捜査対象になっていたのだろうか?また最も重要な疑問として、彼の自殺はこれらの疑惑と関係があるのだろうか?

 

現時点では、これら疑問への答えは明らかとなっていない。しかし先述のエンリッチ記者は次のように報じている:

 

トランプが2016年の大統領選挙に勝利すると、ドイツ銀行は「被害を最小限に抑えるためのモード」に切り替わり、世間の好奇の目にさらされる準備を行なうようになったと、ドイツ銀行の内部で行われた対応に関わった複数の人物が語った。

 

 

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