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世界銀行が台湾出身の職員たちに対して中国のパスポートを取得することを義務化していた

世界銀行が台湾出身の職員たちに対して中国のパスポートを取得することを義務化していた

David R. Malpass: Screenshot via Twitter

世界銀行は、今年、台湾国籍を持つ現職および将来の世界銀行職員に対して、中華人民共和国が発行した旅券を提示することを義務付けていたことが明らかとなったとAxiosが報じた

 

最近、中国は、台湾およびその国民に対して、国際的なコミュニティーからの締め出し政策をますます積極的に行っている。しかし、世界銀行が職員をこのような方法で締め出すことは、世銀の雇用規則に違反している。

 

世界銀行の人事部関係者たちは、台湾国籍を持つ職員らに対して、中華人民共和国が発行する身分証を保持しなければ世銀は彼らを雇用することができないと伝えていた。

 

しかし、台湾の法律では、台湾国民が中国との二重国籍を保有することを禁止している。これが意味することは、台湾国籍を持つ職員たちは、世界銀行が内部告知する方針に従うために、世界銀行での職を諦めるか、実質上の中国国民となり台湾国籍が剥奪される危険にさらされるかのどちらかを選ばなければいけないということである。

 

台湾は自治を行っているが、中国は台湾を独自の領土の一部と主張しており、何十年にもわたり台湾を国際機関から締め出すことに成功している。実際、台湾は世界銀行の加盟国には含まれていない。しかし、世界銀行は、長年、台湾国籍の職員を雇用してきている。Axiosが世界銀行にコメントを求めると、世銀は、台湾国籍の職員に対して世銀内部で取られた行動について遺憾の意を表明している。

 

世界銀行の広報担当者は、Axiosに対して次のようにコメントしている:

 

最近、世銀の上層部に対して本件が知らされると、すぐさまこの(雇用に関する)ガイダンスを改訂するよう手続きが取られた。加盟国、もしくは世銀グループが活動する国の出身ではない職員らは、引き続き現在の雇用関係を維持できる。・・・

 

職員の雇用に関する我々の原則では、職員を公平に扱うことを義務付けている。この過去に行われた習慣では、一部の職員に対して雇用されるために、その加盟国(訳者注:中国)の国民として(出身国とは)別の国のパスポートを取得することを要請することになったのは遺憾である。これは我々の組織の価値観とは相容れないことであり、これは現在は改善されている。

 

その一方で、世界銀行は、加盟国出身者や世銀グループが活動する国々の出身者を雇用することを長年、優先しているとも付け加えている。

 

* * *

 

今月初め、世銀の職員らは、台湾出身の職員たちに対して最近、世銀内部で起こされた行動について懸念を表明していた。全職員が参加する予定のタウンホール・ミーティングで、世銀総裁であるデービッド・マルパス氏(冒頭の写真)に対して行われる質問の受付が、11月初旬、オンライン・フォーラムで行われていた。そこで最も職員の関心を集めた質問の一つが、台湾に対する世銀の方針についてであった。

 

以下はAxiosが入手したその質問内容である:

 

世銀は、なぜ台湾国籍のスタッフ(コンサルタントを含む)に対して、隠密にしかし組織的に、彼らの(台湾の)パスポートおよび台湾国民であるという主張を放棄させ、これら職員らに強制的に中国のパスポート(そして実質上の中国国籍ステータス)を受け入れさせようとするのか?なぜ(世銀の)幹部層は、加盟国の一つが世銀の職員の人権および尊厳を踏みにじることを許しているのか?世銀は、どのような道徳上および倫理上の根拠に基づけば、そしてどのような基準に基けば、このような嫌悪されるべき扱いを自身の職員たちに対して行うことを擁護できるのか?

 

マルパス総裁は、後に開催されたタウンホールで、この質問には直接言及していない。

 

* * *

 

2019年3月、世界銀行の内部サイトに「台湾出身の中国国民に関する採用」というタイトルで掲載された投稿では、以下のような採用ガイダンスが掲示されていた:

 

中国の台湾からの出身者である候補者たちは、中華人民共和国のパスポートを保持している場合にのみ、世界銀行のコンサルタントもしくは他のいかなるポジションに採用することが可能である。中華人民共和国のパスポートを保持していない台湾人応募者たちは、ワシントンDCにある中国大使館においてそれら(パスポート)を申請することができる。(世銀の)人事部は、中国の台湾出身者のスタッフを採用する場合は常に、中国担当事務局に連絡するべし。

 

しかし世界銀行は、「技術的なエラー」によってこれは内部サイトに投稿され、現在では削除されていると語っている。

 

世界銀行はAxiosに次のように語っている:

 

我々の内部サイトに掲載されていたこのガイダンスは、1999年まで遡ることができる。世界銀行は、これを方針として決して採用はしていなかった。また、それは、我々の機関の職員雇用に関する原則にも、我々の契約書の条項にも基づいていなかった。

 

「中国が世界の舞台でますます自国の主張を強めるようになる中、台湾およびその国民たちが直面する状況は、いっそう不安定化し危険な状況に追い込まれている」とAxiosの記事は結んでいる。

 

しかしこのニュースは、世界銀行の内部(特に人事部)が、中国出身者たちによって占拠されようとしていることを示しているとも取れる。国連の人権委員会が、ウィグルやチベットの人権問題には触れないように。(参考:「米、国連人権委員会を離脱『政治的偏向のはきだめ』と」- BBC 

 

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