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武漢コロナウィルスが世界経済を崩壊に導くまでの4つのシナリオ:ブルームバーグ・エコノミクスによる予想モデル

武漢コロナウィルスが世界経済を崩壊に導くまでの4つのシナリオ:ブルームバーグ・エコノミクスによる予想モデル

第4のシナリオが起きた場合の各国の経済成長率・予測値(Graph from Bloomberg Economics)

過去40年間かけて相互に深く絡みついた世界のサプライチェーン。そんなグローバル化した世界に潜むリスクが、中国経済の機能停止により露呈しつつある。世界経済は、最悪の場合、中国経済の崩壊により2兆7000億ドルの損害をこうむる可能性がでてきた。

ブルームバーグ・エコノミクスは、中国経済が活動停止したことにより全世界にとって深刻な影響が見込まれる中、具体的にどういったことが起きるか4つのシナリオを想定している:

第1のシナリオは、中国経済が下落するも、アジア太平洋の国々、欧州、そして米国に中程度の経済的余波が起きるというケース。中国は、多国籍企業にとって需要の源泉であり、もし中国が早急に経済活動を再開できれば、悪影響は最小限に抑えることができる。このシナリオの場合、「前半では深刻なショックが起きるが、後半には回復期が到来する。世界全体、そして米国などの主要経済国にとっては、1年間の全GDPデータにもたらす影響は限定的となるだろう」と記している。

第2のシナリオは、COVID-19の感染拡大が悪化すると想定する場合である。そして中国経済は中断したままの状態であり、V字回復するという希望がU字の落ち込みへと一変する。そしてこのことは、アジア太平洋諸国そして欧州にとって地域的な経済の中断を引き起こす結果を招く。

「たとえ工場が再開したとしても、全ての問題が解決するわけではない。多くの工場が十分な在庫があるわけではなく・・・サプライ・チェーンにおきた障害により生産能力が低く抑え込まれてしまう」とMade-in-China.comのマネジャーであるリー・レイ氏は語った。

このシナリオでは、中国国内の工場が閉鎖されるため中国からの部品が不足することで、韓国や日本などのアジア太平洋諸国、そしてドイツ、フランス、イタリアなどの欧州諸国にサプライチェーンの中断が起きることを想定している。ブルームバーグは独自の計算方法により、このシナリオの場合、世界の経済成長は、ウィルス発生前の3.1%という予測値から2.3%へと下落するだろうと予測している。

第3のシナリオは、ウィルスが韓国、イタリア、日本、フランス、そしてドイツにおいて広範囲にわたって感染拡大するケースである。

「第3のシナリオでは、より深刻なショックが韓国、イタリア、日本、フランス、そしてドイツに起きると想定している。そしてさらに、3月初旬の時点で少しでも感染が確認されていた国々全てで、これらよりは小さなショックが起きると想定している。こうした国々には米国、インド、英国、カナダ、ブラジルが含まれる。つまり、世界10大経済大国の全てが、コロナウィルスが自国内で感染拡大することを封じ込めるために戦わなければならず、そのため経済減速に見舞われることになる」とブルームバーグは記している。

このシナリオでは、世界の経済成長は今年1.2%にまで下落すると予想され、欧州と日本は不況に突入することになる。米国経済は0.5%の成長となり、年末までに失業者数は増加に転じることになる。

第4のシナリオは、「世界的パンデミック」が起きる場合である。ブルームバーグの予想モデルでは、ウィルスの感染者数と死者数が、世界の主要経済国全てで急増し、2008年の金融危機以来、最大級の経済的ショックを引き起こすことになる。こうした事態が起きる場合、世界経済の成長率は0まで急落する。米国、欧州、日本は不況に突入する。このことで、全世界の生産量に2兆7000億ドルの損失が発生することになる。

一方、Rabobankのアジア太平洋担当・金融市場調査部門トップのマイケル・エブリ氏もまた、2月14日に新型コロナウィルスが世界の経済と市場にもたらすインパクトについて、独自に4つのシナリオを発表している。その4つのシナリオとは、「悪い(Bad)」「より悪い(The Worse)」「醜悪(The Ugly)」「想定外(The Unthinkable)」である。

そして3月4日に更新した発表の中で、エブリ氏は、「状況は『醜悪(The Ugly)』シナリオになりつつある」と語っている。彼による「醜悪(The Ugly)」シナリオでは、「米国、英国、欧州でも感染が広がる。当然、これは世界不況が深まることを示唆している」。

世界は「想定外(The Unthinkable)」のシナリオに突入するわずか一歩手前の状況にあるように見える。エブリ氏は、この最悪のシナリオはハリウッドの映画の世界の中でのみ見たことがある世界的パンデミック状態であると説明している。

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