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ドイツ銀行の破綻が目前に迫りエネルギー関連社債はジャンク債一歩手前:「後から振り返ると今日が売り抜ける良いタイミングだったということになる」とジム・クレイマー氏

2008年金融危機の再来か、それとも世界恐慌に発展か?:米国株式市場は2008年の株価パターンに酷似。1400億ドルものエネルギー関連社債はジャンク債に転落する一歩手前。ドイツ銀行の破産と欧州の銀行の連鎖倒産が目前に迫る。

ジム・クレイマー氏 (Screenshot via CNBC)

米国時間で13日の金曜日、株式市場は10%近くも反発して取引を終了した。これは2008年10月以来、1日の上昇としては最大を記録している。この24時間で世界各国の中央銀行が介入を発表したことと、トランプ大統領が本日午後、救済策を発表したことで、NYダウは1600ポイントも上昇した。

前回、アメリカの株式市場が1日の値動きとしてこれほど高騰を記録したのは、2008年10月28日に『不良資産救済プログラム(Troubled Asset Relief Program:TARP)』(*1)が発表されたときである。しかしS&P 500はTARPの発表を受けて高騰した直後から、翌年3月までに35%も暴落している。TARPという不良資産救済プログラムを好感した市場は、一瞬反発するも、その後は未曾有のスピードで株価暴落が進みベア・マーケット(弱気相場)に突入した。

(*1)不良資産救済プログラム

サブプライム・ローン問題等に起因する金融危機を克服するために2008年10月に制定された金融安定化法の下でのプログラムの一つで、当初は不良債権化したモーゲージ関連資産を総額7000億ドルの公的資金で財務省が買い取り、金融機関から問題資産を切り離すためのプログラムであったが、企業へ直接資本注入する資本注入プログラム(CPP)が追加され、金融機関に直接資本注入することで、金融システムの安定を図るとともに、破綻間際のゼネラルモーターズ(GM)を含む自動車産業についても、延命のための資本注入が行われた。

引用元:投資用語集

今回も2008年の二の舞になるのではないかと危惧されている。その一つの理由として、今週、連銀が数兆ドルもの流動性資金を市場に投入すると発表したにもかかわらず、米国株式市場を最も幅広く網羅しているNYSE総合指数が本日、2007年につけた最高値以下まで暴落したことが挙げられる。(以下のグラフ)

本日午後、トランプ大統領が国家非常事態宣言を発令し、同時に経済救済策の発表を連発したことで株式市場は取引終了の1時間前あたりから2008年10月以来の急騰をして1週間の取引を終えた。

数字だけを見ると、金曜の1日だけで株価が10%近くも高騰し株価はV字回復に向かっているように見えるが、アメリカの株式市場の関係者たちはこれを楽観視していない。

昨日ここでも紹介したCNBCのジム・クレイマー氏は、「後から振り返ると今日が売り抜ける良いタイミングだったということになるだろう」と発言している。(以下の動画)

* * *

株価の下げはどこまで続くのか?

資産運用会社グッゲンハイムの最高投資責任者(CIO)であるスコット・ミナード氏は、今月投資家たちに宛てた最新の書簡の中で次のように予測している:

S&P 500は2600あたりで抵抗線があると思われるが、リセッション・シナリオでは究極的に2000近いレベルまで下落する可能性がある。

つまり、景気後退(リセッション)に突入する場合、過去5年分の株価上昇分はすべて吹っ飛ぶという予想をしている。

チャーティスト(チャート分析に重点を置くトレーダー)として有名なスベン・ヘンリック氏とその妻メラ・ヘンリックの夫妻は、ベア・マーケットが終わるまでにS&P 500は1800まで下がる予想を立てている。

(Graph via NorthmanTrader

さらに地政学および金融周期分析の専門家であるチャールズ・ネナー氏は、NYダウは5000ポイントまで下落するだろうと大胆な予想を行なっている。今週金曜のNYダウの終値が23,185.62であるため、5000まで下落するということはマイナス78%の大暴落である。ネナー氏は、今年1月時点で、クライアントに対して「株価は40%下落するリスクがあり今が売り時だ」と警告していた。その予想値をさらに下げたことになる。

一方、ゴールドマンサックスのエクイティ・ストラテジストであるデービッド・コスティン氏は、今年中旬までにS&P 500は2450まで下落する(金曜の終値から9.6%の下落)予想している。(しかし3月12日の終値として既に2480をつけていた。)

* * *

一方、株価に注目がいくあまり忘れられがちだが、債券市場にも危険信号が点っている。原油価格が急落したことで今年中にエネルギー関連企業の1400億ドルにものぼる債券が、BBB以上の投資適格からジャンク債へ転落する危機に直面しているとブルームバーグが報じている。これは投資適格社債全体の3分の1以上を占める。

今回、連銀による大量の流動性資金の投入により債券市場のバブルも崩壊した可能性があると、投資家でエコノミストのピーター・シフ氏は語っている:

それ以外のどういった方法で、財政刺激策のための財源が拠出されるというのだ?連銀によってそれは支払われる。連銀は、刺激策のための財源を拠出するために売却されなければいけない国債を全て買い取る。そのためにさらなる量的緩和(QE)を行うはめになるだろう。・・・

さらなる借金。さらなる紙幣の印刷。それは経済にとって良いことではない。・・・

これまで巨大なブル・マーケット(強気相場)が続いており、社債市場の最高値を見誤った人たちは墓場で山積みとなっていた。しかし今が債券市場におけるそのバブル絶頂期であるかと断定するにはまだ疑念が残ると言わざるを得ない。今が「ブローオフ・トップ(*2)」であるかを確定するため、我々はあと数日は、状況を見守る必要がある。

(*)ブローオフ・トップ(blow off top)

急激な証券価格の上昇局面の最終段階において、出来高が増加し買いの熱狂が起きるが、その後、急激に価格が下落するチャート・パターンのこと。(参照:Investpedia.com 

  

先ほど紹介したスベン・ヘンリック氏は、連銀による金融緩和策について以下のツイートを投稿している:

【訳】本日、連銀が投入した流動性資金:米国の年間軍事費と同じ規模。

明日、連銀が投入する流動性資金:米国の年間軍事費と同じ規模。

このことについて深く理解しよう。

* * *

 

さらに、先述の地政学および金融周期分析の専門家であるチャールズ・ネナー氏は、欧州においてドイツ銀行が金融市場の崩壊を引き起こす「時限爆弾」として刻々とその時が迫っていると警告している。ドイツ銀行については、2016年段階でIMFが世界にとって「制度上、最も危険な銀行」と名指ししている。

以下は上記のインタビュー動画の一部を抜粋して翻訳したものである:

ネナー氏:私はアムステルダムに売りたい不動産を持っている。不動産価格がうなぎ上りに上昇しているからだ。しかし私はそれを売らないことにした。その理由は、私が銀行システムを信用していないからだ。私は何年にもわたってドイツ銀行についてコメントしてきた。私は、ドイツ銀行の株価が6.50ドルを下回れば、倒産するだろうと言っていた。しかし現在の株価は5.50ドルだ。ドイツ銀行はほとんどの欧州の銀行と相互関係にある。つまり、何か起きそうな状態が醸成されている。だから私は本当に銀行を信用していない。だから私は所有する不動産を売却しない・・・私はもはや銀行を信用していないのだ。

現在のドイツ銀行の株価:

[stock_ticker symbols=”DB” show=”Deutsche Bank AG: DB” number_format=”” decimals=”2″ static=”” speed=”” class=””]

司会者:つまりドイツ銀行は炭鉱のカナリアということでしょうか?

ネナー氏:まったくその通りだ。もしドイツ銀行が破綻すれば、その他のあらゆる銀行がどうなるか私にはわからない・・・ドイツ銀行の株価はゼロになる可能性もあるように見える・・・次の段階は3.90ドルだ。もしこの株価まで下がればドイツ銀行は終わりだ。

司会者:ドイツ銀行は深刻な経営難に陥っている巨大銀行の一行でしかないが、問題はドイツ銀行だけではなくより巨大であるということですね。

ネナー氏:他の銀行の株価も20%下落している。イタリアの銀行は非常に重要だ。イタリアに何が起きたか?彼らは全てを閉鎖した。ファッション業界は閉鎖されてしまっている。自動車産業も閉鎖されてしまっている。何も経済活動が行われていない。これらイタリアの銀行はどうやったら生き延びられると思うだろうか?

(ネナー氏は、金融恐慌が起きると予測しており、ドイツ銀行はその氷山の一角だと言う。)

ネナー氏:ドイツ銀行は欧州にあるその他全ての銀行と相互関係にある。この銀行がトラブルに陥った時、他の銀行がどのように生き残ることができるか、私にはわからない。

司会者:それ(経済状況)が回復する前に、金融業界はさらに悪化するでしょうか?

ネナー氏:私たちは恐慌に向かっていると思う。通常、6%のGDPで私たちは景気後退(リセッション)に突入する。現在、GDPは1.5%〜2%だ。通常、FFレートは6%、7%、8%だ。現在はほぼ0%だ。我々がリセッションに入る時、彼ら(連銀)は何を行うだろうか?あっという間にマイナスGDPに突入する。そしてあっという間にマイナス金利になり、大惨事となる。これは何年にもわたって先延ばしにされてきた。これまでの全ての連銀議長はトリック(ごまかし)を使ってこれを延命させてきた。彼らは自分たちが存命中の間、例えば1930年代のような恐慌を発生させたくはなかった。だから彼らはこの状態を延命させてきた。しかし今現在、これ以上延命できない状態にまできてしまった。

司会者:つまり、恐慌を避ける術はないと?

ネナー氏:その通りだ。とても悪いことが起きるだろう

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