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アメリカの株式市場はまだ底値を打っていない:金融商品取引業者のRonin CapitalにVIX取引で巨額の損失が発生

アメリカの株式市場はまだ底値を打っていない:米金融商品取引業者のRonin CapitalにVIX取引で巨額の損失が発生

Ronin Capitalのホームページ画面

シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)でトレードを行ってきた金融商品取引業者のRonin Capital(浪人キャピタル)が、3月20日(金曜)、同取引所の資本要件を満たせなくなったため、保有資産ポートフォリオが強制オークションにかけられたとCMEグループが発表した

今週アメリカでは、株式市場が2008年以来の大暴落をし、ボーイングなどの大企業が立て続けに政府に救済を求め、そして全米で失業者が急増している。しかしまだ一つ、報じられていないことがあった。それは、市場の暴落によりマージンコール(追証)が発動され、全ての資産が強制的に清算されてしまうという金融企業の倒産だ。

しかし金曜朝、それがついに起こった。CNBCのスコット・ワプナー記者の報道によると、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)のディレクト・クリアリング・ファーム(証券決済会社)の1社が、金曜、資本要件を満たせなくなったため、取引所による強制介入が行われ、同社の保有資産ポートフォリオをオークションで売却するという取引所の「緊急プロトコル」が発動された

それがRonin Capital(浪人キャピタル)である。同社ホームページには次のように記載されている:

我が社の文化を体現し、そしてダイナミックで起業家精神に溢れるトレーディング環境で成長できるような最も優秀な人材を求めている。

しかしその「最も優秀な人材」たちは、投資ポジションが抱えるリスク・エクスポージャーを数量化しそれをヘッジすることができていなかった。

CMEグループの会長兼CEOであるテリー・ダフィー氏は、同社の資産ポートフォリオは金曜朝にオークションにかけられ清算されたとCNBCに語った。ただし、どの企業がこの資産ポートフォリオを引き受けたかについては明らかにしていない。

一方、今回のケースで良いニュースは、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)で取引を行なっていたデリバティブ・ブローカーのMF Globalが2011年に倒産した際とは異なり、Roninには被害を与える顧客がいなかったことだ。RoninはCMEで行われる取引の決済責任を負うクリアリング・ファームであった。

取引所とのクリアリング契約により、Roninが外部顧客を持つことが許可されておらず、そのため今回の清算処理において損害を受ける顧客がいなかったともダフィー氏は語った。

少なくとも、直接の顧客はいなかったと言える。どの自己勘定トレーダー(Proprietary trader)もそうであるように、Roninも外部の資本を投資していたが、今回その資本金額がずっと少なかったということだ。

そして何が同社の倒産の引き金を引いたのかという疑問について、ワプナー記者は次のように報じている:

Roninの問題は、シカゴ・オプション取引所(CBOE)のVIX指数に関連付いた先物取引のポジション、もしくは市場のボラティリティに連動する証券が根本原因である。

具体的にどの取引がつまづき、マージンコール(追証)を発動させることになったのかは不明である。しかし金曜朝、VIX指数に奇妙な動きがあったのは事実であり、これが関係している可能性がある。

デポジトリー・トラスト・アンド・クリアリング・コーポレーション(DTCC)がこの強制オークションを調整する支援を行なった。同社は、後にRonin Capitalへの業務を停止したと発表している。DTCCもまた、どの企業がRoninの資産ポートフォリオを引き受けたかについては公表していない。

* * *

CNBCのガイ・アダミ氏は、金曜に出演した番組の中で、「Roninのような会社が他にもあると思うか?」と司会者に聞かれ、次のように答えている:

私もそれを懸念している。・・・1社か、それとも多数の企業が粉々に自滅をするまでは、おそらくアメリカの株式市場はまだ底値を打っていない・・・。

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