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破産申請した米シェール・オイル企業が、融資元の銀行も倒産の可能性があると爆弾発言

破産申請した米シェール・オイル企業が、融資元の銀行も倒産の可能性があると爆弾発言

Photo via Pixabay

ロシアとサウジアラビアが仕掛けた価格競争と、武漢ウイルスの拡大によりそもそも原油への需要が大幅に減少したことで、原油価格が大暴落した。これにより採算の取れなくなったアメリカのシェール・オイル企業には、債務不履行の大津波が押し寄せている。しかしコロナウィルスが感染拡大するよりも一足早く、アメリカのシェール・オイル企業は数社がすでに破産申請していた。

 

そんな会社の一つが2019年に破産申請したEP Energy社である。同社はEl Paso Corpからスピンオフした会社。当時まだ原油価格は1バレル50ドル以上であったが、すでに採算割れを起こし破産申請している。EP Energy社は、連邦破産法第11章(チャプター・イレブン)の会社更生法の手続き中であるが、ヘッジファンドのApollo Global Management Inc.とElliott Management Corp.による合同の救済交渉が決裂し、EP Energy社の運命は暗礁に乗り上げている。そこに原油価格の暴落のニュースが舞い込んできたため、会社を更生できず、清算せざるを得ない可能性が一段と高まっている。このように不運続きのEP Energy社が、さらに次に起きる最悪の可能性として、同社につなぎ融資を行っている参加銀行が破綻する可能性を懸念していると発表した。

 

今週水曜に発表された同社最新の10-K(日本の有価証券報告書に相当)の中に、EP Energy社が抱えるリスク要因リストが記載されており、そこにEP Energy社にとって現在主要な資金源となっているつなぎ融資の今後が危ぶまれていることをブルームバーグが発見した。自社の首を締めることにもなる批判的で皮肉な記載内容であるが、EP Energy社は、今後、(会社更生を可能にする救済資金に加えて)金融機関からのつなぎ融資(シンジケート・ローン)が途絶える可能性があること、そしてその融資元であるシンジケート団(参加金融機関)自身も破綻する可能性があると記している。

 

EP Energy社は次のように記している

 

事業収入によるキャッシュ・フロー以上に、我が社の主要な資金源となっているのはつなぎ融資、つまりDIPファイナンスである。2020年2月28日、当社は発行済みのDIPファイナンスとして1億3000万ドルがあった。当社はまた、DIP融資元がそのつなぎ融資と確認埋蔵量担保融資(RBL: Reserves Based Lending)の元での残る請求権を、約6億2900万ドル分のエグジット優先担保付き確認埋蔵量担保リボルビング・クレジット・ファシリティーに転換することをコミットする誓約書を受け取っている。

 

当社は、つなぎ融資とエグジット・ファシリティーに参加する各銀行が十分な資本とリソースを保有していると確信しているが、将来に引き続き懸念があるため、これら参加金融機関の全てが必ずしも営業を続けるか、もしくはこのファシリティーに継続して参加するかについて、当社は保証することができない

 

EP Energy社は、存続が危ぶまれるという具体的な銀行名については名指ししていないが、同社のつなぎ融資に参加している金融機関は公開情報から入手可能となっている。証券取引委員会(SEC)に提出された文書によると、EP Energy社のつなぎ融資に参加している金融機関には、JPモルガン・チェース、Citibank、モントリオール銀行、クレディ・スイス銀行、カナダロイヤル銀行、三井住友銀行(SMBC)などが含まれている。

 

たとえ破産申請した企業といえども、政府当局に提出する報告書に記す文言には非常に慎重になるのが普通である。EP Energy社がここまで融資元の金融機関に不信感を抱き、倒産リスクがあるとまで記すからには、何か具体的な情報をつかんでいるのだろう。まだ公開情報となっていない金融機関の内情について、EP Energy社が知っていることは何なのだろうか。

 

 

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