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今週は「乗るか反るか」の1週間になる:ヘッジファンドShard Capitalのビル・ブレイン氏

アメリカにとって今週は「乗るか反るか」の1週間になる:ヘッジファンドShard Capitalのビル・ブレイン氏による見解

ビル・ブレイン氏(Photo via shardcapital.com)

イギリスのヘッジファンドShard Capitalのビル・ブレイン氏による3月30日(月曜)付けニュース・レターを紹介する。

ビル・ブレイン氏(Bill Blain)

ブレイン氏の専門分野は、資本市場に広範囲にわたっている。彼はベア・スターンズとHSBCで金融機関セクターを統括した経験があり、2008年〜2012年のソブリン危機において専門家となった。そしてMint Partnersでは資本市場/代替資産グループの構築に指導的役割を果たし、私募、直接融資、担保付きおよび負債性債権/株式を活用した資金調達を行った。

彼は、そのキャリアの初期においてEuromoneyとブルームバーグで記者であった。ブレイン氏は、独自の見解について綴ったThe Morning Porridge(朝粥)を毎日配信している。このニュースレターは「シティー」において広く読まれており、債権、株式、為替、コモディティー、SWOP分析、そして彼自身によるエソテリック資産(銀行資本、メザニン債務や優先債務、資産担保の契約・ローン・代替投資といった難解な資産を裏付けとする資産)に対する見解について、マクロとミクロの幅広いトレンドについて網羅している。(引用元: www.shardcapital.com 

* * *

報道によると、チャイナには日常の交通渋滞が戻ってきている一方で、再感染の脅威のほとんどは西側から入国する人々によりもたらされているため、国境封鎖が行われているという。彼らは日常が戻ってくることを期待している。(しかし)彼らは突然のショックを受けることになる。

JPモルガンはメディアにコメントを発表し、市場はすでに底を打ったこと、そして確かに乱高下は続くだろうが「オーバーソールド(売られ過ぎ)を平均化し、ならす」時にきていると語っている・・・。彼らはアホだ。

私は今週が、市場にとってとてもとても悪い週になるだろうと疑っている。

4月は苦痛の時となる。無制限の量的緩和(QE)という、政府がありとあらゆるものに対して財政支援を約束した背後で、「(戦場に出兵した)若者たちはクリスマスまでには家に戻ってくる」というような市場に広がった根拠のない楽観論のせいで、先週、活気ある高騰(ラリー)が起きた。しかしこの市場の反発は打ち砕かれることになるだろう。経済、ビジネス、そしてウイルスのニュースという3大悪において、(資金と情報の)流れはかなり悪い状況になる一歩手前にある。

我々は、期待と現実との違いについて辛く残忍な教訓を間も無く学ぶことになる:

  • 早急に事態が収束する見込みはない。英国では、他人と一定の距離を取る生活が何ヶ月も続くだろうと警告している。トランプ大統領はイースター(4月12日)までに経済封鎖を解かない。彼は5月までアメリカを封鎖する(訳者注:3月29日に行われたホワイトハウスでの記者会見で、トランプ大統領が現在の封鎖は4月30日まで延期すると発言した)。
  • 原油価格は20ドル以下にまで暴落した。
  • 経済へのダメージ、ビジネス倒産、大量解雇(特にアメリカ)が増え続けていることは、今週のデータ、そして今月末までの1ヶ月間の数値に反映されるだろう。政府による支援パッケージが確立されるのに数ヶ月はかかるだろう。しかし市場には数ヶ月もの時間的余裕は残されていない。
  • 大量の現金を保有した超投資適格企業という数少ない例外を除いて、産業界による大規模な現金争奪戦がやってくる。格付けの引き下げと債務不履行という大津波により金融市場が完全に閉鎖してしまう前に、資産を積み増しできるところはとにかくどんな融資オファーでも受けておくべきだ。
  • ドル高により停滞した新興市場の経済は、世界に感染拡大したウイルスによる需要ショックにより大崩壊しようとしている。そしてすでに不安定化していた国々をウイルス対策が直撃し、これらの国々は混沌へと突き落とされる可能性がある。
  • 市場のチャート分析を行っている人たちは、市場が暴落するときは毎回、下げ相場における反発(ラリー)が起きるというのが基本であるという楽観論を語るだろう。そして底値は何度も試されるだろう。
  • しかし更なる痛みはやってくる。経済刺激要因を信じ、このように大規模な市場の「修正」が行われた後であれば投資リターンを得るのは簡単であると考えている(JPモルガンのような)機関投資家から、老後資金の蓄えが粉々となりこれ以上リスクを取ることに恐怖を抱いている個人投資家たちまで、数多くの投資家たちがいる。しかし彼らは何が起きたのかまだ信じることができておらず、経済ショックの規模を測ることができず、そして更なる痛みを感じるまで変わってしまった世界を直視することはない。

もし上記の中で先週に起きた市場の反発を持続的なものにする前向きな理由が一つでもあれば、コメント欄で自由にその説明をして欲しい。

多くの優れたアナリストたちは、気が滅入るニュースの見出しが示すよりも迅速な回復の可能性はあると示唆している。誰の目にも明らかな投資機会が転がっていることが、「スマート・マネー(賢い投資家)」たちをすぐに呼び戻すことになる点などを彼らは指摘する。確かにそれは事実だ。それは経済的大惨事が起きる時、資本主義経済が備えた自然な反発力・・・だった。

彼らが正しいことを私は望む。しかし私は、経済学の「合理的期待形成理論」についてほとんど本を読んだことがない人たちが、どれほど(合理的な)経済行動をするかについて疑問に思っている。よく起きるのは、個人レベルでは、政府による救済策や予期せぬ方法で得られるタダのお金といった歪みを利用することで、個人の利益を最大化しようとするということだ。

起業家たちの全員が、事業を乗り切るために政府保証ローンを使うわけではないだろう。中には、競合先を潰すため、自分の富を肥やすため、リスクある投資を行うため、もしくは他にも何千とある可能性に賭けるために政府保証ローンを使うところもあるだろう。

市場の歪みと市場への介入は、これまでにもすでに意図しない結果をもたらしてきており、それらは結局マイナスであることが証明されている。しかしこの教訓は、世界各国の政府そして中央銀行が、過去10年間にわたって行ってきた実験的な、そして歪んだ財政政策において、無視しようとし続けてきたことである。

(もし私を信じない人がいれば、過去10年間にわたって、なぜ何千もの企業が新たな生産設備や新製品を開発するためのイノベーションに投資をするのではなく、自社株買いを行うために巨額の資金を使ってきたか説明して欲しい。)

ますます悲惨で恐ろしい経済ニュースが、これから延々と出てくる準備をしておいた方がいい。どうすることもできない封鎖状態は、最低でも1ヶ月は続く。その間、企業と個人が現金を求めて奔走し、支払うことのできない家賃や住宅ローンに直面し、そして借金を返済するためにもがき苦しむことになる。

良いニュースはまったくないのか?

おそらくウイルスに関しては良いニュースが報じられるだろう。しかしこれは武漢インフルについてではない。これは経済に関する問題だ。検査キット不足のせいで多くの国々で本当のデータが揃っていない中、我々は想像で物事を考えなければいけない。しかし動向データは、(検査キットが投入されるにつれ)感染が増加し、そして致死率は下落していることを示している。都市封鎖が行われたことでR0(基本再生産数)が下がり、「入院する重体患者」の増加曲線が低く抑えられるため、予期されていた通り死亡率の伸び率は下がってきている。この先数日以内に、これ(都市封鎖)がどれほど功を奏したかがわかるだろう。

一方、コロナウイルスによる最初の死者たちの訃報が流れ始めている。その中には多くの健康な中年男性が含まれており、このウイルスが(年齢・性別・人種に関係なく)ランダムに人の命を奪う性質のものであることを証明している。

一つ身近な話をすると、私が知る50代後半の健康な男性が1週間以上の症状に苦しんだ後、入院した。(しかし幸運にも、彼は酸素吸入を受けるとすぐに回復し、自宅に戻っている。)一方、彼のパートナーと彼女の娘は、ロンドンのマンションで彼と一緒に生活していたにもかかわらず、完全に無症状であり全く健康だ。(ただし、彼女たちは彼の病気についてひどく衝撃を受けトラウマとなっている。)

このウイルスの嵐は、今週、北西ヨーロッパと米国を急加速して襲うだろう。その一方で、イタリアとスペインでは(感染スピードが)落ち着くことが期待されている。ヨーロッパは、中国とおなじくらいのスピードで再開するだろうか?その可能性は低い。なぜなら、検査件数や感染源の追跡調査が圧倒的に少なく、その意思決定を行うための真実の情報がほとんどないからだ。

先週の市場がそうだったように、この危機に対して簡単で手っ取り早い解決策があるなどということに騙されてはいけない。しかし、現在、投資機会が転がっているということも事実だ。コツは、その投資の機会をうまくつかみ、迫りくる嵐の中それにしがみ続けるということである・・・

今朝読むべき5本の記事(いずれも英語の原文記事)

最後に

今週水曜、私はAviation Specialistsからのインタビューをこのウェブセミナーで受ける予定:「市場と航空業界:現在と新しい世界。『自宅勤務中』のビル・ブレインとの対話」(The Markets and Aviation: Today and The New World. A “work-from-home” chat with Bill Blain. )このリンクから申し込み登録ができる。航空業界や航空業界への投資に関する今回の危機について、様々な観点を広くカバーする予定である。容赦無くお話しするつもりである。

時間切れになった。日常業務に戻る。

ビル・ブレイン

Shard Capital

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