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ウィンブルドン選手権の運営組織が「パンデミック保険」として1億4100万ドルの保険金を受け取る

ウィンブルドン選手権の運営組織が「パンデミック保険」として1億4100万ドルの保険金を受け取る

Photo via Pixabay

テニスのウィンブルドン選手権を運営する組織、「オール・イングランド・ローン・テニス・クラブ(All England Lawn Tennis Club)」は、6月29日〜7月12日の日程で開く予定だった今年の大会を、世界パンデミックが発生したために中止すると発表した。ウィンブルドン選手権が中止されるのは、第二次世界大戦以降初めて。

この中止によってオール・イングランド・ローン・テニス・クラブはさぞ経済損失を被っただろうとおもいきや、過去17年間にわたって「パンデミック保険」の掛け金として毎年200万ドル(約2億2000万円)の保険料を払い続けていたため、今回1億4100万ドル(約155億円)の保険金が支払われたとボストン・グローブ紙が報じた。ウィンブルドン選手権に「パンデミック保険」がかけられていることは、3月にThe Times紙が最初に報じていた

17年間に払い続けた保険料の合計が3400万ドルであるため、金利計算を無視するとざっくり1億700万ドルの純利益を手にしたことになる。

しかし20年近くにわたり、いつ起きるかもわからないパンデミックというリスクをヘッジするために毎年200万ドルの保険料を支払い続けることは容易ではない。日本の企業が「チャイナ・リスク」という地政学的リスクに対してどれほどヘッジを行っているだろうか?アメリカの企業は、過去10年以上にわたって自社株買いを強引に推し進め、手元資金が十分ない状況で今回のコロナ・ショックに見舞われ倒産の危機に見舞われている。

ドイツ・テニス連盟のディック・ホースドーフ副社長は、3月末、Sky Sportsに対して次のように語っている

ウィンブルドンは、おそらく何年も前に世界パンデミックが予想しうると判断してそれに保険をかけていた唯一のグランドスラム大会だ。その判断により、経済的損失は最小限に抑えられるだろう。

今年、ウィンブルドン大会では3億900万ドルの売り上げが見込まれていた。1億4100万ドルの保険金により、その損失のおよそ半分が穴埋めされる。実際、大会運営コスト(賞金や人件費等)が発生しないことを考えると、「パンデミック保険」は半分以上の経済損失の穴埋めになっている可能性がある。

国際オリンピック委員会(IOC)や日本オリンピック委員会(JOC)の運営関係者に、東京2020オリンピックに対してパンデミック保険をかけることを少しでも検討した人たちはいるだろうか?

【追加情報】

「パンデミック保険」ではないようだが、東京オリンピック(五輪)・パラリンピック組織委員会の武藤敏郎事務総長はいくつかの保険をかけていたことを認めている。AP通信は4月9日、次のように報じている

彼(武藤事務総長)は、東京オリンピック組織が保険をかけていたことを認めた。

「東京2020オリンピックはいくつかの保険をかけている。しかし五輪の延期が保険の適用範囲内の出来事という条件を満たすかは不明である」と同氏は語った。

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