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ロスアラモス国立研究所:より重篤化させる変異型コロナウイルスがヨーロッパからNYに上陸|川崎病に似た炎症症候群もロンドンからNYに伝播し3人の子供たちが死亡

ロスアラモス国立研究所:より重篤化させる変異型コロナウイルスがヨーロッパからNYに上陸|川崎病に似た炎症症候群もロンドンからNYに伝播し3人の子供たちが死亡

Photo via Flickr

 

新型コロナウイルス(武漢ウイルス)について、新たな発見が次々と報じられている。

 

■ ロスアラモス国立研究所が発表した論文

 

ロスアラモス国立研究所の研究者たちは、現在ニューヨークで猛威を奮っている武漢ウイルスの優勢種(株菌)は、新しく変異したものであり、感染力がより強いという新たな研究結果を発表した。その一方で、米国の医師たちは、多くの死者が発生しているアメリカ東海岸で広がっている武漢ウイルスと、それほど死者数が増えていないアメリカ西海岸で広がっているウイルスとは異なる変異型である可能性があると考えている。

 

2月初旬に発生した新たな変異株は、ヨーロッパからアメリカ東海岸に伝播した。そしてそれが3月中ばから世界中で優勢種となった。この新しい株菌が発生した場所では、元々武漢で発生した初期の株菌よりも急速に、より多くの人々の間で感染拡大した。いくつかの国では、この新たな株菌が数週間のうちに最も優勢な種になった。ロスアラモス国立研究所の研究者たちはその研究論文のなかでこのように指摘している:

 

より急速に感染が広まることに加えて、それ(新たな株菌)は、この病に最初に感染した後、二度目の感染をしやすくする可能性があるとこの論文は警告している。

 

この33ページの論文は、査読前の論文が共有されるサイトBioRxivに木曜(4月30日)に投稿された。COVID-19のワクチンや治療法について研究している科学者たちが共同開発のスピードを早めようとする活動の一環である。(このサイトで共有される)研究は、多くが初期の株菌の遺伝子配列に依拠しているため、この新たな株菌に対しては効果がない可能性がある。(太字強調は訳者)LA Times

ロスアラモス国立研究所の研究者たちが今回発表した論文によると、SARS-CoV-2(武漢ウイルス)のスパイク・タンパク質(ウイルスの表面にある突起)にはこれまでに14種類の変異が発生していることが特定されている。

 

この研究は、ドイツを拠点にした「全インフルエンザ・データを共有するグローバル・イニシアチブ(Global Initiative for Sharing All Influenza Data)」が世界中から収集した6000以上のコロナウイルス検体に対してコンピュータ分析を行い、その結果を基にしている。

 

ロスアラモス国立研究所のチームは、アメリカのデューク大学およびイギリスのシェフィールド大学の科学者たちの協力を受けて、スパイク・タンパク質の変化を司るD614Gと呼ばれる変異に焦点を絞って研究した。

 

ロスアラモス国立研究所の計算生物学者で、この論文の筆頭著者であるベット・コーバー氏は次のように語っている:

 

この発見内容について懸念しています。我々はこのウイルスの変異体が急速に出現していることを観察しており、3月の1ヶ月間でパンデミックを引き起こしている優勢種になっています。

 

この変異が起きたウイルスが人口の中に侵入すると、そのウイルスはその地域で発生しているパンデミックを急速にのっとり始め、その結果、ウイルスはより感染力を高めます。

 

ロサンゼルスタイムズ紙はさらに次のように報じている:

 

ロスアラモスの研究論文は非常に専門的で感情を一切排除して書かれている一方で、コーバー氏は彼女自身のフェースブックに投稿したメッセージの中で、この発見が意味することについて深い個人的な感情に触れている。

 

コーバー氏はその中で次のように記している。

 

「これは辛いニュースです。しかしこのニュースにがっかりばかりはしないでください。ロスアラモスの我々チームは、世界中の臨床現場にいる人々や実験チームによる大規模な努力のおかげで、この変異とそれがウイルスの感染力にもたらす影響について記録することに成功しました。彼らが、各自の地元コミュニティーで発生しているこのウイルス(SARS-CoV-2)の新たな配列について、可能な限り迅速に共有してくれたおかげです」。LA Times

 

この研究論文によると、この変異した新株は、武漢で原種が出現したのとほぼ同時期に、最初にイタリアで出現した。そして3月15日までにこの変異株が優勢となった。変異前の原種株はニューヨークに3月15日頃に伝播したが、それから数日以内には新たな変異株が圧倒的となった

 

論文の執筆者たちは、ほとんどのウイルスは夏に収束するが、もし今回のパンデミックが夏になっても勢いが衰えない場合、さらなる変異を起こす可能性があると警告している。衛生当局者や専門家たちは、夏頃までに最初の治療法やワクチンが投入されるはずであると語っている。しかしこうした治療法やワクチンは、変異したコロナウイルスには効かない可能性があることをこの論文は懸念している。

 

ロスアラモス研究所のコーバー氏は、自身のフェーブックへの投稿でさらに次のように記している:

 

我々がワクチンや抗体治療の臨床試験に移行する際、不意を突かれるということがあってはいけない。世界の科学者コミュニティーはこれ(変異種)についても考えているということを知って安心して欲しい。そして、私の科学者としての30年のキャリアの中で、これほど世界の科学者たちが協力しているのを経験したことがない。

 

さらにロサンゼルスタイムズ紙は次のように報じている:

 

この研究論文に参加したデューク大学の科学者、デービッド・モンテフィオリ氏は、新型コロナウイルスがより感染力を高めたように見える変異を捉えたのは、今回の研究が初めてであると語っている。

 

科学者たちは、この変異を起こした突起が体内でどのような行動を起こすか、その詳細についてまだ理解していないが、前世代よりも進化上の優位性を獲得しており感染スピードを早めているのは明らかである。ある一人の科学者は、これを「ダーウィン的進化の古典的な事例」と呼んでいる。

 

「D614Gの出現頻度は、警戒すべき比率で増加している。このことは、原種の武漢株と比べて(変異株は)より急速に感染を広めることができるという適応優位性を獲得したことを示している」とこの研究論文は記している。

 

また、カリフォルニア大学サンフランシスコ校のアラン・ウー教授は、ここ数週間、全米の医師たちが少なくとも2種類のコロナウイルス株がアメリカ国内で広がっているのではないかと疑っていると語っている。1種類はニューヨークを中心として広がっている東海岸で主流の株、そしてもう1種類は西海岸の株である。

 

ウー教授はロサンゼルスタイムズ紙の取材に対して「我々は変異を特定しようとしている」と語り、教授が勤務する西海岸サンフランシスコの病院で治療した数百人の感染者のうち、死亡したのはたった数人しかいないと語った。「ニューヨークで起きていることとかなり状況が異なる」とウー教授は語っている。

 

>2ページ目を読む

『子供たちの間で広がる川崎病に似た病』

 

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