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チャイナの科学者が意図せず真実に到達?|センザンコウのウイルスの受容体結合ドメインをコウモリのウイルスに遺伝子組み換え技術によって挿入か

チャイナの科学者が意図せず真実に到達?|センザンコウのウイルスの受容体結合ドメインをコウモリのウイルスに遺伝子組み換え技術によって挿入か?

センザンコウ (Photo via Flickr)

ローレンス・セリン元米陸軍大佐・筆

チャイナの科学者たちによるCOVID-19の起源に関する主張

2020年3月15日に行われたインタビューの中で、開始から27:40のところで、ノースカロライナ大学のコロナウイルス研究者であるラルフ・バリック博士は次のように語っている。これはCOVID-19パンデミックの発生源の動物に関する質問への回答である:

私が知る限り、彼ら(チャイナ側)は、実際の保有宿主である種についてまだ特定していない。センザンコウ(ウロコのあるアリクイ)が中間宿主の可能性があるという報道が複数あったが、センザンコウのウイルスはSARS-2(COVID-19)と88〜90%しか一致していない。それと比べて、ジャコウネコやタヌキのSARSコロナウイルス株は、2003年のSARSコロナウイルスと99.8%一致した。それはつまり、ジャコウネコの株、タヌキの株、そして2003年のヒトに感染した株の間にはわずかな変異しか起きていなかったということだ。センザンコウ(のコロナウイルス)には3000位上のヌクレオチド(*)の変化が起きており、センザンコウが(COVID-19)の保有宿主であることはありえない。全くその可能性はない

(*)DNAやRNAを構成する単位(出典

バリック博士はさらに次のように語っている:

2003年のヒトSARSの流行病を引き起こしたコロナウイルスは、動物が発生源であると結論づけるのは論理的なことだった。というのも、ジャコウネコやタヌキの間で広がっていたコロナウイルスは、最終的にヒトで見つかったコロナウイルスと99.8%一致したからである。それゆえに、ヒトに「ジャンプ」して感染するには、比較的「少量の」自然発生した変異しか必要ではなかった。

それと比べて、センザンコウのコロナウイルスは、COVID-19と88〜90%しか一致していない。センザンコウが保有宿主の種として機能するには、膨大な数の自然発生変異が起きなければならず、COVID-19の直接の宿主となるには、現実的に不可能である。

にもかかわらず、チャイナ広州の科学者たちが2020年5月7日に権威ある雑誌「ネイチャー」に発表した論文では、バリック博士によるこれらコメントを直接否定している。この論文は次のように結論づけている:

SARS-CoV-2 (COVID-19)と非常に深く関係した、センザンコウのコロナウイルスを分離したところ、センザンコウがSARS-CoV-2 (COVID-19)の直接宿主として機能する潜在的可能性があることが示された。

広州の科学者たちは、コウモリのコロナウイルスRaTG13(実際にはBtCoV/4991)が、ゲノム全体のレベルではSARS-CoV-2 (COVID-19)の配列と約96%一致していることを渋々認めており、コウモリがSARS-CoV-2 (COVID-19)の自然の宿主であると想定することは合理的であると認めている。

バリック博士に同意しつつ、広州の科学者たちは、ゲノム的には似ているが、センザンコウで見つかるコロナウイルスは、通常、流行病に直接関係する可能性が低いことを認めている。その理由は、センザンコウのコロナウイルスが、COVID-19と比べて、全体として相当数の配列の違いがあるためである

しかし、広州の科学者グループは、センザンコウのコロナウイルスの『受容体結合ドメイン(RBD)』が、COVID-19の同じ構造部分とほぼ完全に一致していると記しており、単一アミノ酸しか違いがないと指摘している。

この広州の科学者たちは、センザンコウのコロナウイルスは、その『受容体結合ドメイン(RBD)』をCOVID-19に「提供した」ように見えると主張している。それは、センザンコウの体内の中で、コウモリのコロナウイルスとセンザンコウのコロナウイルスの間にある種の組み替えが起きたことを想定している。

COVID-19の『受容体結合ドメイン(RBD)』とセンザンコウのコロナウイルスのそれとがほぼ同一であることは、広く報じられている。しかし、広州の科学者チームが提案しているこの組み替えが起きたというシナリオは、不確かな情報に基づいたまったくの推論であり、彼らはこの推論を裏付けるデータを一切示していない。

チャイナの科学者たちは、意図せずして真実に到達してしまったのかもしれない。彼らの主張よりもずっと可能性が高い説明は、センザンコウのコロナウイルスの『受容体結合ドメイン(RBD)』が、遺伝子組み換え技術によってコウモリのコロナウイルスに挿入されたということだ

(ローレンス・セリン元米軍陸軍大佐の記事はここまで。)

* * *

【追加情報】

5月14日に発表された新たな論文『センザンコウは2019新型コロナウイルスの中間宿主だろうか?(Are pangolins the intermediate host of the 2019 novel coronavirus (SARS-CoV-2)?)』で、センザンコウはSARS-CoV-2 (新型コロナウイルス)の中間宿主の可能性はないと結論づけている。この論文は他の研究者たちにより査読を受けている。

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