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ジョージ・ソロス氏にとってもコロナ災禍は人生初の危機 |「トランプは自己崩壊」、「習近平は弱体化」、「EUは存続の危機」と現在の世界情勢に対する見解を語る

ジョージ・ソロス氏にとってもコロナ災禍は人生初の危機 |「トランプは自己崩壊」、「習近平は弱体化」、「EUは存続の危機」と現在の世界情勢に対する見解を語る

ジョージ・ソロス氏(Photo via Flickr)

 

Project Syndicateに5月11日付けで掲載されたジョージ・ソロス氏へのインタビュー記事。グレゴー・ピーター・シュミッツ氏・筆

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一生に一度の危機

 

パンデミック後の世界について、唯一確かなことがある。それは、それまでにあったグローバル化された経済に戻る方法は決してないということだ。それ以外のこと、つまりチャイナの興隆、米国の運命、そしてEUの存続などについては、勝敗の行方はまだわかっていない。

 

 

グレゴー・ピーター・シュミッツ(以下シュミッツ):あなたは多くの危機を目撃してきた。このCOVID-19(武漢ウイルス)のパンデミックは、過去に起きた危機と同等だろうか?

 

ジョージ・ソロス(以下ソロス):いや違う。これは私の人生で初めて起きたような危機だ。このパンデミックが起きる前ですら、我々はすでに革命的な時にあることに気がついていた。その革命的な時とは、平時であれば不可能であり得ないことが、可能となるだけでなく、全くもって必要にすらなる状況だ。そしてCOVID-19が起きた。それは、人々の生活を完全に混乱させ、全く異なる行動をとるよう要求している。このような組み合わせはおそらく過去に一度も起こったことはない、未曾有の出来事だ。そしてこれは、我々の文明を存続の危機に陥れている。

 

シュミッツ:今回の危機は、もし各国の政府がよりうまく準備できていれば防ぐことができただろうか?

 

ソロス:我々は、腺ペストが発生して以来、複数の感染症パンデミックを経験してきている。19世紀にはパンデミックはたびたび発生した。そして第1次世界大戦末期にはスペイン風邪が発生した。これは3波にわたって発生し、第2波が最大の死者数をもたらした。数百万人が死亡した。そして我々はちょうど10年前に起きた豚インフルといった他の深刻なアウトブレークを経験している。こう考えると、各国が今回のような出来事にいかに準備ができていなかったかというのには唖然とする

 

シュミッツ:このウイルスにどのように対処すべきか、そしてこの先数ヶ月、数年、どのように進むべきか確たる手順が欠落していること、これが現在の状況において最大の問題だろうか?

 

ソロス:それは確かに非常に大きな問題だ。我々は非常に早急に学習しており、このウイルスが発生した時よりも、我々はこのウイルスについて随分と多くのことを理解している。しかし、我々は動く標的を狙って撃とうとしている。なぜなら、このウイルス自体が俊敏に変化しているからだ。ワクチンを開発するには長い時間がかかるだろう。たとえ我々がワクチンを開発できても、それをいかに毎年変更するかについて学ばなければいけない。なぜなら、このウイルスは変異する可能性が非常に高いからだ。我々はこれをインフルエンザ・ワクチンで毎年行っている。

 

シュミッツ:今回の危機は資本主義の性質を変えてしまうことになるだろうか?COVID-19が現在のような壊滅的な景気後退をもたらす前であっても、グローバリゼーションと自由貿易の否定的な側面に、より多くの注目が集まるようになっていた。

 

ソロス:我々は、今回のパンデミックが始まった時の状態には決して戻ることはないだろう。これは非常に確実なことだ。しかし、唯一確実なのはこれだけだ。それ以外のことは、どれも勝敗の行方はまだわかっていない。資本主義がこれからどのように進化するか、まだ誰もわかっていないと思う。

 

シュミッツ:今回の危機は、人々を、そして国民国家の仲を、いっそう緊密にすることが可能だろうか?

 

ソロス:長期的にはyesだ。現時点では、人々は恐怖に支配されている。そして、しばしば、恐怖により突き動かされた人々は、自らを傷つける。それは個人だけでなく、組織、国家、そして人類そのものでも同様である。

 

シュミッツ:我々は、現在、米中間で行われている非難合戦の中にそれを目撃しているだろうか?

 

ソロス:米中間で起こっている衝突は、事態をより複雑化する。なぜなら、我々は気候変動やCOVID-19に対するワクチン開発について協力すべきだからだ。しかし、明らかに、我々は協力できない。なぜなら、我々は、誰がワクチンを開発しそれを使うかについて、すでに競争しているからだ。我々には全く異なる2種類の政府制度がある。民主的なものと・・・

 

シュミッツ:独裁体制?

 

ソロス:その通り。これは全てをより困難にする。多くの人々は、我々は非常に緊密にチャイナと協力すべきだと言う。しかし私はそうすることに賛成ではない。我々は、自分たちの民主的で開かれた社会を守らなければいけない。それと同時に、我々は気候変動、そして新型コロナウイルスと戦うために協力する方法を見出さなければいけない。私はチャイナの人々に同情する。なぜなら、彼らは習近平主席という独裁者の支配下にあるからだ。高等教育を受けた多くのチャイナの人々は、このことについて非常に憤慨しており、一般大衆は、いまだに習近平が旧正月が終わるまでCOVID-19について秘密にしていたことに対して彼に非常に強い怒りを抱いていると思う

 

シュミッツ:チャイナの人々が、今回の危機への対応が最善ではなかったと考えるようになるにつれ、習による権力の掌握が弱まることがあり得るだろうか?

 

ソロス:全くその通り。習が任期を廃止し、本質的に自分自身を「終身主席」にしたとき、一握りの上昇志向の強いエリート層に属する、野望を抱いた(チャイナ国内の)人々が持っていた政治的な未来を、彼は破壊した。彼にとって、これは大きな過ちだった。そのため、彼はある意味、強力となっているが、しかしそれと同時に、彼は非常に脆弱であり、現在は攻撃されやすい存在にすらなっているだろう。

 

チャイナの指導層における権力闘争について、私は非常に詳しく追いかけている。なぜなら、私は開かれた社会を信じる人間たちの側に立っているからだ。そして、チャイナ国内でも、開かれた社会のほうを非常に強く望んでいる人たちが多くいる

 

シュミッツ:繰り返しになるが、現在の米国大統領は、オープンで自由な社会の価値観を本当には代表しているわけではない・・・

 

ソロス:それは、長続きはしない弱点であると私は望んでいる。ドナルド・トランプは独裁者になりたいと望んでいる。しかし、彼は独裁者にはなれない。その理由は、米国には人々がいまだに敬う憲法があるからだ。そして憲法は、彼が一定のことを行うことを防いでいる。それは、彼がそれをしようと試さないという意味ではない。というのも、彼は文字通り、自分の人生をかけて戦っている最中だからだ。私は、トランプが自らを破滅に導くだろうということを信じているとも言っておこう。彼は、私の予想を大きく上回っている

 

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『EUは生き残りをかけた危機に直面』

 

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