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ハーバード大学医学部元教授:モデルナ社によるワクチン治験結果に科学的根拠が曖昧であることを認めないDr.ファウチを疑問視

ハーバード大学医学部教授:モデルナ社によるワクチン治験結果に科学的根拠が曖昧であることを認めないDr.ファウチを疑問視

ハーバード大学メディカル・スクールの元教授ウィリアム・ハッセルティーン氏(Screenshot via CNBC)

コロナ・パンデミック災禍が発生し、ますます科学者たちによる専門的な見識が求められている。しかし中共政府による浸透工作を受け、チャイナに忖度した「見解」を発表する科学者がいることや、科学を政治問題化するメディアによって、「科学」に対する人々の信頼は揺らいでいる

しかし今週、ハーバード大学メディカル・スクールの元教授で、同大学のガン研究部門およびHIV/AIDS研究部門を創設したウィリアム・ハッセルティーン氏が声を上げた。フランスのノーベル賞受賞者であるリュック・モンタニエ教授が、自身は人生の晩年にあるため主流派からの圧力は怖くないと語り、武漢ウイルスが人工的に作られたウイルスであると声を上げたことと重なる出来事である。

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今週、アメリカの製薬企業モデルナ社がプレスリリースを発表し、人間での治験でCOVID-19ワクチンの初期段階の研究が「有望な結果」を示したと大々的に公表した。(しかしその後、このプレスリリース発表には大きな疑問符が付けられている。)このプレスリリースに関して、ハッセルティーン氏はCNBCの番組に出演し次のように語っている:

もし最高財務責任者(CFO)がこのような不透明でデータが欠落した声明で逃げ切ろうとすれば、冷笑され、そして捜査される可能性があるだろう

このコメントに対してCNBCの番組司会者は、必死でハッセルティーン氏の説得を試みている。モデルナ社によるワクチン開発に進展があったというプレスリリース発表は、株式市場全体の株価を押し上げることにつながっており、こうした希望の光にしがみつこうとする報道機関のストーリー作りにどうにか賛同させようと試みている。しかしハッセルティーン氏はそのような誘導には乗らず、さらに次のように語っている:

我々は全員、現在が緊急事態であることを知っている。そして緊急事態にあって、知っていることとまだ知らないことについて明白にすることは、さらに重要になっている。・・・

(しかし)あなたは(モデルナ社の実験室で)何が起きたのか知らないし、我々はそこで何が起きたのか知らない。データがないのだ。

しかし、CNBCの司会者は口どもりながらこう切り返した:

Dr.ファウチはこれが朗報であると語っています。あなたはDr.ファウチを疑問視しているのですか?

これに対してハッセルティーン氏は次のように答えている:

Dr.ファウチが)行うべきことを遮った(つまりモデルナ社のプレスリリースから科学的データが欠落していることを批判すべきだったのにそうしなかった)ことは、重大な疑問であると私は思う。彼は、良い結果に対して非常に大きなプレッシャーを背負っているのは明らかだ。しかしデータが見つからないのにそうするのは正しいことではなかった

ハッセルティーン氏はDr.ファウチと旧知の中であると語っている。このCNBC が放送した6分間のインタビュー動画は以下で視聴することができる。

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そしてハッセルティーン氏は、今週火曜、ワシントンポスト紙に意見記事を寄稿している。以下にその翻訳版を紹介する。

モデルナ社が自社のワクチン治験で良好な成果があったとする主張は、「プレスリリースによる発表」(*)の一例である

ウィリアム・ハッセルティーン筆

2020年5月19日午後3時(米国西海岸時間)

(*)訳者注:「プレスリリースによる発表(publication by press release)」とは、科学をセンセーショナルに報じるジャーナリズムを批判する言葉で、悪質な科学の代名詞。

ウィリアム・ハッセルティーンは、ハーバード大学メディカル・スクールの元教授で、同大学のガン研究部門およびHIV/AIDS研究部門の創設者。同氏は現在、シンクタンクであるACCESS Health Internationalの会長兼プレジデントを務める。

医学と科学に対する信仰は、信頼に基づいている。しかし現在、COVID-19との戦いにおいて科学的進展を急いで共有しようとする中、その信頼は損なわれている

民間企業、政府、そして研究機関は、確認不可能な潜在的ブレイクスルーを発表するために記者会見を開いている。結果は常に好ましいものであるが、その発表が依拠している完全なデータは、批判的な審査を受けるためにすぐには公表されない。これはまさしく「プレスリリースによる発表」であり、科学と医学における根本的な方法への信頼を、それを我々が最も必要とする時に損なわせている

これの最も直近の例は、モデルナ社が月曜に主張した、同社のワクチン治験に関する好ましい結果である。同社は、その根拠となるデータを一切発表することなくその発表を行なった。この発表により同社の株価が20%近くも急上昇したことで、同社の企業価値は数十億ドルも増加している。多くのアナリストたちは、これがダウ・ジョーンズ平均株価を900ポイントも押し上げたことに貢献したと考えている。

モデルナによる発表では、8人の健康な治験者に対して行われた同社ワクチンの安全性試験について説明している。同社が主張している内容は、COVID-19(武漢ウイルス)感染症から回復した人たちの回復期血清で検出されるのと同程度の中和抗体のレベルを、同社のワクチンがこれら8人全員の体内で上昇させたというものだった。この主張をどう判断すればよいだろうか?これに答えるのは難しい。なぜなら、これら(中和抗体の)レベルがどういったものであったか、我々は全くわからないからである。これは、株式公開している企業の社長が、好ましい収益報告をその根拠となる財務データを提示せずに行うようなものである。証券取引委員会(SEC)はそのようなことは決して許さない。

モデルナ社による根拠を示さない主張が何を意味するのか、疑問が湧き起こるのは当然である。科学文献や医学文献は、回復した人の中には中和抗体がほとんど、もしくは全く検出されなかった人たちがいると報告している。中和抗体は、動物や人がコロナウイルスからの感染や再感染を防ぐことにはならない可能性があることを示している科学文献すら存在している。

このような「プレスリリースによる発表」は、最近では標準的な習慣となっているように見える

米国立衛生研究所(NIH)は、先月、治療薬レムデシビルが中程度の症状のCOVID-19患者に対して明白な効果があり、入院期間を数日間短縮したと発表したしかしそれは本当だろうか?この発表から20日たっても、それを示す根拠となるデータはいまだに公表されていない。データなくして、患者を治療している医師たちは、彼らが正しいことを行なっていることに確信が持てない

これと同じ日に発表された別の論文では、レムデシビルは患者の生存率や、鼻咽頭と肺の分泌物の中に検知できるウイルス量に測定可能な効果は一切なかったことを発見している。それでは、治療を行なっている医師たちはどうすれば良いのだろうか?根拠のない医療アドバイスを行なっているニュース発表に従うべきか、それとも主要な科学雑誌に掲載された医学報告に従うべきか?これは意味のない質問ではない:米国立衛生研究所(NIH)が行った発表により、限られた供給量の治療薬(レムデシビル)に対して世界中で殺到騒ぎが引き起こされている。

オックスフォード大学のジェンナー研究所により開発されたワクチンについては、そのマイルストーンは同じだが、状況が微妙に異なっている:同研究所は、初期の研究、この時はサルにおける研究の好ましい結果を一般に発表することから開始した。しかしいかなるデータを一般公表するよりもずっと前に、その発表を行った。オックスフォード大学のワクチン治験を行なっている米国立衛生研究所(NIH)の1人の科学者は、ニューヨークタイムズ紙のインタビューに応じ、この治療薬(ワクチン)が成功したと主張した。

しかし、この報道が掲載されてから2週間以上たって公表された出版物に記載されたデータは、初期に行われた主張の期待に応えるようなものではなかった。このワクチンが投与されたサルは全て、ウイルスが体内に投入されるとそれに感染した。肺で検出されたウイルスのRNA量はある程度減少していたが、ワクチンを投与されたサルの鼻の分泌液で検出されたウイルス量は減少していなかった。つまり、オックスフォード大学が報告した良い成果は、成功したワクチンがもたらす効果としてほとんどの人が同意するようなものではなく、感染から防ぐことには全く役立たないことが判明した。それはワクチン投与されたサルの肺から回収したウイルス量だけ減少させていた。

ジェンナー研究所の名誉にかけて言うと、同研究所はそのウェブサイト上で、このワクチン治験の進展について多くの誤った報道が行われていると注意喚起している。しかしそれでもなお、その治験作業を行なっている科学者が、完全なデータを公表することなく、予備的結果をこれほど前向きに描くことを許すというのは懸念の原因となる

現在の災禍にあって、科学的そして医学的データをなるべく早急に共有する必要があるということを我々は全員理解している。しかし、メディア発表それだけでは不十分である。データを迅速に、そして透明性を持って共有する方法は複数ある:査読前の原稿や受け付け前の原稿を一般公開されているウェブサイトに投稿したり、早期の閲覧を可能にするよう雑誌社と協力する方法がある。このような方法で一般公開することで、医師や科学者たちは、入手可能な証拠に基づいて各自の結論に到達することができる。

メディアにも責任がある。専門家たちに、根拠のない主張について見解を求めるのは有益ではない。医学や科学というのは、大多数の意見が重要ではない:それらは、透明性のあるデータによって裏打ちされた事実が重要だ。これこそが、科学的な進歩にとっての背骨であり、このパンデミックを終わらせるための我々の唯一の希望である。我々は、我々の(科学の)基準を今諦めてしまうことはできない。

(ハッセルティーン氏の論説記事はここまで。太字強調は訳者。)

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ハッセルティーン氏の論説記事を読んで脳裏を過ぎるのは、「ファイブアイズ」と呼ばれる英語圏5か国の諜報機関が、「諜報コミュニティーは、COVID-19が人工物もしくは遺伝子操作されたものではないという広い科学界の総意に同意する」と報告書に記していることだ。ハッセルティーン氏の言葉を借りれば、「医学や科学というのは、大多数の意見が重要ではない:それらは、透明性のあるデータによって裏打ちされた事実が重要だ」ということになる。

しかし研究人生を終えた老齢の科学者にしか真実を語れないとすれば、人々はますます科学への信頼を失うだろう。

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