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人民元安と米中関係の悪化を受けてチャイナの富裕層は現金を海外へ移動

人民元安と米中関係の悪化を受けてチャイナの富裕層は現金を海外へ移動

Photo via Pixabay

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チャイナの富裕層たちは、人民元安が進み、また米中衝突が深刻化することを不安視して、ますます多くの現金を国外に避難させている。Nikkei Asia Reviewがこれを報じている

 

チャイナ政府は、一人当たりの外国為替取引の上限を、年間5万ドルに制限している。海外投資を行う場合、通常、家族内で投資資金をプールして上限を上回る金額を投資したり、海外旅行に行く際に現金を持参して持ち出している。しかし、コロナパンデミックにより海外旅行が制限されているため、現在、直接現金を海外に持ち出すことが難しくなっている。

 

上海の繁華街である南京西路で闇の両替商に尋ねると、「今日は交渉の余地はない。1ドル7.2人民元だな」と語った。

 

この日の公式なレートは7.06人民元だった。しかしこの初老の男性は開き直った態度だった。先月のある時点で、人民元はオフショア取引で7.19にまで下落していた。人民元安の方向に進んでいることを彼は疑っていなかった。

 

「おっと、もし海外に送金したければそれもできるよ。それを助けてくれる知り合いがいるんだ」と、彼は立ち去る前に急いでそう言った。Nikkei Asian Review

 

 

チャイナの富裕層は、海外に現金を送金するために香港にドル建ての銀行口座を開設するケースが増えているだけでなく、コロナウイルス災禍がピーク時に比べて落ち着いてきているため、海外の不動産や保険商品への関心が復活してきている。

 

とある投資会社は、アイルランドの不動産を売り込んでいる。チャイナと西側との関係が悪化しても、アイルランドの不動産は影響を受けないというのが売り込み文句である。この投資会社の幹部は、132万ユーロ(150万米ドル)の住宅を提示して見せると、この不動産投資でおよそ3%の投資リターンが見込めると語った。

 

海外への移民、不動産、教育の機会に特化しているチャイナの仲介業者Juwaiは、5月以降、数々のウェブセミナーを開催しており、この営業トークはその最近のウェブセミナーで行われた。マレーシアと日本の不動産についても紹介された

 

別の仲介業者によると、マルタやキプロス島のような場所も人気が高まっている。Nikkei Asian Review

 

 

フランスの銀行Natixisによると、チャイナからの資本の海外流出は2020年第1四半期、わずか10億ドルだったという。その理由は、渡航禁止措置が敷かれたため、資金の流出にブレーキがかかったため。国境が再び開かれれば、海外に流出する資金は再び増加する可能性が高い

 

香港の保険ブローカーで、外貨建ての商品を扱っている人物は次のように語っている:

 

人民元は過去2年間で10%以上も安くなった。自分の資産を守るためには外貨が必要だ。

 

その一方で、香港の富裕層も同様に海外へ現金の移し替えを始めているブルームバーグの報道によると、香港の富裕層は、何かあった場合に直ちに自分の資産を利用できるよう、オフショアの口座を開き、新しいパスポートを申請し、香港リスクを低減しているという。

 

プライベート・バンカーによると、先月チャイナが異論を巻き起こした国安法を強要すると発表して以降、彼らのクライアントたちは緊急時対策を加速させているという。同法案は、元英国植民地であった香港の司法権の独立をむしばむ脅威であり、米国からの制裁を誘発している。そして街頭で行われる抗議デモを復活させている。抗議デモは、コロナウイルスの感染拡大が香港経済を未曾有の不況に陥れる以前から、香港の観光業および小売業を疲弊させていた。-Bloomberg

 

香港を拠点にする資産運用会社Port Shelter Investment Managementのリチャード・ハリスCEOは次のように語っている:

 

我々が目撃しているのは、ゆっくりと動いている列車の脱線事故のようなものだ。まだ資金を移動していない人たちは、このような考えに惑わされている:「自分も現金を移動させ始めなければ」。この資金移動プロセスはこれからも継続するだろう。

 

 

しかし、ブルームバーグもNikkei Asia Reviewも、「キャピタル・フライト(資本の逃避)の蔓延」はまだ起きていないことを認めている。しかしその下地は整っており、資本の移動は始まっている。ブルームバーグは、4月、香港における銀行の預金残高が増加し、過去最高に達したと記している。

 

 

着実な増加

香港の銀行預金残高は4月時点でも増加傾向にあった

 

 

しかし、香港の多くの企業家や高収入の専門職の人材たちは、ますます悲観的な意見を語っているとブルームバーグは報じている:

 

香港でシニア・インベストメント・バンカーであるサムさん(43歳)は、香港を離れる決断を下した。サムさんは、彼の妻と二人の息子と共に、約3ヶ月後にオーストラリアに移民する予定だ。政治不安のために彼が香港を離れるのはこれで二度目となる。サムさんは香港で育ったが、彼が12歳のときにオーストラリアのブリスベンに引越した経験がある。1989年に北京の天安門広場でチャイナ政府が民主化デモの抗議参加者たちを弾圧したことに彼の両親が恐怖を抱いたためだ。彼は、20年前にキャリアのために香港に戻ってきたが、現在、香港に留まることに良い面は一つもないと語る。

 

「事態は悪化しているように見える。子供たちが成長するのにより良い環境が得られるように、私たちも荷物をまとめることになる」と彼は語った。

 

* * *

 

香港を拠点にするGoldmax Immigration Consulting Co.で移民プログラムのディレクターであるマーガレット・チャウさんは、香港国安法のニュースが報じられてから彼女の会社への問合せが5倍に増加したと語っている。現在、彼女の富裕層のクライアントたちのほとんどは、すぐに脱出するというよりも、避難路を確保しておくことに関心があると語っている。

 

「彼らはこれをバックアップ計画と考えている」とチャウさんは語っている。

 

シンガポールにあるKamet Capitalのケリー・ゴーCEOは、彼のクライアントたちが、香港から引っ越すことについての一般的な質問から、学校やビザ、銀行口座にいたるまであらゆる詳細について問い合わせをするように変わってきていると語っている。

 

ゴー氏は、「香港で今起きていることは、2047年まで一気に急加速してしまった」と語っている。彼は香港が英国からチャイナに返還されてから、チャイナが香港の自治を50年間認めることを約束した期限を指してそう語っている。「香港の問題が急に高まっている一方、シンガポールがその恩恵に預かっているのは自明だ」ともゴー氏は語った。-Bloomberg

 

 

 

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