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NBCニュースの記者がグーグルに働きかけ保守系ニュースサイトの収益化を停止させる|米共和党上院議員らは政治的発言を検閲する大手IT企業を提訴できる権利をユーザに与える法案を提出

米共和党上院議員らは政治的発言を検閲する大手IT企業を提訴できる権利をユーザに与える法案を提出|NBCニュースの記者がグーグルに働きかけ保守系ニュースサイトの収益化を停止させた事件がきっかけ

Photo via Flickr

 

 

■ 司法省が動いた

 

先月末、トランプ大統領はツイッター社が自身の投稿に対して「ファクト・チェック」を行い、情報が不正確であるとレッテル貼りしたことをきっかけに、SNS企業に対する大統領令に署名した

 

この大統領令で提案されている改革案を現実のものにするために、司法省は新法案を提出している。司法省が提案している改革案は、実質的に通信品位法(Communications Decency Act)の「セクション230」で規定されている特別な訴追免除の措置を撤廃するものとなっている。この新法案は、それぞれ理由は大きく異なる、民主・共和の両党の議員らから賛同を得ている。

 

「セクション230」により、オンライン・プラットフォーム企業は20年以上、訴追を免除されるという恩恵を受けてきた。しかし司法省が提出した法案が可決されると、IT企業は自社のプラットフォーム上に投稿されるコンテンツをいかに取り締まるかに関してより大きな責任が問われることになるとCNETは報じている

 

この改正法案は今週水曜に発表される予定であり、ツイッター、フェースブック、ユーチューブ(グーグルの親会社であるアルファベットの子会社)などのSNSプラットフォーム企業に対して、より積極的に違法または有害なコンテンツを取り締まることを要求するよう設計されている。その一方で、SNS企業が好ましくないという理由で自社サイトからコンテンツを削除する場合、その判断基準によりいっそう一貫性を持たせることを要求している

 

連邦議会によりこの法案が可決されると、先月末にトランプ大統領が署名した大統領令で概略が示された改革の一部が、実際に法令として施行されることになる。これまでこうしたデジタル・プラットフォーム企業は、自分たちは単にオンラインで発言の場所を提供しているだけにすぎないと主張しながら、実際にはユーザによる政治的発言に対して積極的に検閲を行ってきた。それにもかかわらず、「セクション230」によりユーザたちからの訴訟対象から免除されるという特別な法的保護の恩恵を受けてきたが、SNS企業からその法的保護資格を剥奪することになる。トランプ政権は、シリコンバレーの大手IT企業が保守派のユーザや彼らの声に差別的であると長年批判してきたが、今回の法案は両者の争いをさらにエスカレートさせるものである。

 

司法省が提案する新たな法的枠組みは、特に昨日のNBCニュースおよびグーグルを巻き込んだ事件が後押しとなり、連邦議会で賛同を得られる公算が高まっている。NBCニュースが報道を行った直後、グーグルの広報担当者はNBCニュースの報道が誤りであると、実際の収益化状況を明らかにする説明を行なっており、『ゼロ・ヘッジ』と『ザ・フェデラリスト』の発行者らと連絡を取っていると発表している。これらのニュースサイトが、そのコメント蘭に投稿されたヘイト・スピーチを取り締まれば、収益化を回復できる「可能性がある」とグーグルは通知している。

 

さらに、表現の自由に関する問題について多くの著作物があるジョージ・ワシントン大学のジョナサン・ターリー法学部教授は、この2つのニュースサイトの「収益化を無効にすること」に関するNBCニュースの報道を批判している

 

以前、我々がツイッター社について議論したのと同様、グーグル社は(自社に対する)反トラスト法調査を進めることに賛成の論を唱えているように見えるだけでなく、自社とその他の(ITプラットフォーム)企業から訴追免除の保護措置を自ら剥奪しているように見える。実際、司法省は、保護措置を剥奪する法案を推進すると発表したばかりだ。

グーグルとその他の企業は、自らのことを人々が互いに会話するための仮想空間を提供する中立的なサプライヤーであると主張してきたため、セクション230の下で保護されてきた。それが現在、ユーザたちに自由にコメントを投稿させているという理由で、グーグルは実質上、(これら)サイトを閉鎖しようとしている。(これら)サイトに対してこうした偏った標的とすることは、連邦議会による反論の感情を引き起こしており、連邦法を修正しようとする(IT企業にとっての)脅威を再燃させている。

実際、グーグルは、(訴追免除の)保護措置は言論の自由という価値観を醸成していると評価している我々(法曹界)の一部からの支援を台無しにしている。グーグルは、現在、自社の役割を利用して言論を抑圧し制限している。これは言論の自由だけでなく、連邦政府による保護に対するまさにアンチテーゼである。

 

 

 

■ 上院議員が動いた

 

 

司法省が準備している改正法案が報じられたその数時間後、共和党の上院議員たちが大手IT企業による保守派への言論封殺に対抗する新たな法案を本日(6月17日)提出すると発表した。

 

この法案『”Limiting Section 230 Immunity to Good Samaritans Act”(良きサマリア人へのセクション230訴追免除を制限する法律)』は、フェースブック、ツイッター、そしてアルファベット(グーグルの親会社)といったIT企業に対して、以下に示された枠組みに沿って中立の存在であるために、「誠実な」基準を守ることを強制するものとなっている:

 

  • ユーザは、主要な大手IT企業が誠実であるという契約上の責務に違反した場合、彼らを提訴することができる
  • 誠実であるという責務は、契約により大手IT企業に次の行為を禁止する:彼らが記す利用規約を強制執行する際に差別行為を行うこと(警察官や検察官が法律を執行する場合に差別すべきではないのと同様である)
  • 彼らが約束事項を履行することを怠る行為
  • 誠実であるという自らの責務に違反する大手IT企業は、勝訴した各ユーザに対して5000ドルと弁護士費用を支払わなければいけない

 

共和党のジョッシュ・ホーリー上院議員に、他の共和党上院議員であるマーク・ルビオ議員、トム・コットン議員、マイク・ブラウン議員が協力してこの法案を作成している。もしこの法案が可決されれば、今回、NBCニュースのレポーターによって収益化が無効化された2つの保守系ウェブサイト運営者たちは、グーグルを提訴することができる。

 

ジョッシュ・ホーリー上院議員は以下のツイートを投稿している:

 

【訳】本日、私は大手IT企業による検閲に対抗するための新法案を提出する。これにより、もし巨大プラットフォーム企業が自社の利用規約を不公平もしくは不平等に強制する場合、ユーザたちは提訴する権利が与えられる。マーク・ルビオ上院議員、トム・コットン上院議員、マイク・ブラウン上院議員に参画してもらったことを誇りに思う。

 

 

【訳】私が提出する新法案により、『ザ・フェデラリスト』は、グーグルによる不平等な扱いと自社の利用規約にグーグルが違反した行為で同社を提訴できる権利が与えられる。市場を独占しているIT企業たちに対して、不誠実な検閲ではなく、誠実に行動するよう要求する時にきている。

 

この法案に対して、マケイン元上院議員の娘でタレント兼文筆家であるメーガン・マケイン氏も賛同の声をあげている:

 

【訳】シリコンバレーによる検閲をやめさせる法案を提出してくれたホーリー上院議員、そしてコットン上院議員やルビオ上院議員に本当に感謝します。グーグルが、自分たちの政治信条と対立しているという理由で発行者(ニュース・サイト)を自社のプラットフォームから排除できると考えているという事実は、恐怖であり全てのアメリカ人にとって危険なことです。

 

FOXニュースの人気司会者であるタッカー・カールソン氏も、昨晩の番組でオンライン広告の70%の市場シェアを支配しているグーグルを厳しく批判している。

 

【訳】タッカー・カールソンによる番組冒頭のモノローグで、グーグルによる検閲に対して何も行動を起こさない共和党を非難している。

 

「もし一握りの、責任を負わない活動主体に権力が集中することを懸念している場合ーー実際それを我々は懸念すべきだがーーグーグルほど抑制のない絶対的権力を握っている存在はない」。

 

 

3ページ目(最終ページ)を読む>

『英国政府関係者が関与:外国による選挙介入容疑でグーグルを調査するよう下院議員が司法省に要請』

 

 

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