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クレディ・スイスはソフトバンクGによる「資金の還流」スキームに関与していた自社ファンドについて調査を開始|ソフトバンクから距離を取り始めた金融機関

クレディ・スイスはソフトバンクGによる「資金の還流」スキームに関与していた自社ファンドについて調査を開始

Photo via Credit Suisse

クレディ・スイスは、多額の収益をもたらすと期待されている新規金融サービスが、ソフトバンク・グループ(以下ソフトバンクG)と関わっていたために永遠に汚名を着せられてしまわないよう、対策に動き出した。

先週、ファイナンシャル・タイムズ(FT)紙は、ソフトバンクGが、通称「サプライチェーン・ファイナンス」と呼ばれる新たな金融サービスに特化したクレディ・スイスの数件のファンドを利用して、自社が投資するスタートアップ企業に資金を還流させていると報じた

本サイトもこのニュースについて速報でツイートしていた:

これらクレディ・スイスの投資ファンドは、多様な企業に分散投資するために単純に買掛金を購入しているわけではなく、ソフトバンクGが、資金繰りに苦しむ投資先のスタートアップ企業に対して、一般に知られることなく追加投資を行うための「裏口」として利用されていた。しかも、これらクレディ・スイスの投資ファンドは、偶然にもソフトバンクGが支援するGreensill Capitalがアドバイザリー業務を行っている。

FT紙は、これらクレディ・スイスのファンドが投資するトップ10社のうち4社が、ソフトバンクGが支援するスタートアップ企業であると報じている。

そして今週、クレディ・スイスはこれらの自社ファンドおよびGreensillとソフトバンクGの関係について調査を行っているとブルームバーグ通信が報じている

クレディ・スイス・グループAGは、複数の自社ファンドについて調査を開始した。ビリオネアーの資本家であるレックス・グリーンシル(Lex Greensill)が調達し、そして孫正義のソフトバンクのビジョンファンドが支援しているローンに、これらファンドは投資している。

スイスで第2位の規模を誇る銀行のクレディ・スイスは、自社の複数のサプライチェーン・ファンドについて調査を行っている。これらファンドは、法人の短期借入金を保有し、そしてビジョンファンドが支援している多数のスタートアップ企業に融資を行っている。本件に詳しい人物が匿名を条件にこの非公開情報について語った。これら借入金(ローン)は、Greensill Capitalによって供給されている。Greensill Capitalは、偶然にもソフトバンクによって支援されている。

・・・(中略)・・・

元モーガンスタンレーの銀行員であったグリーンシル(Greensill)氏は、2017年にクレディ・スイスと提携し、法人の請求書を買い取るオーダーメード型ファンドを設立した。このファンドのアイディアは、そうしたファンドが借入金(ローン)ーーGreensillのような中間業者が調達(アレンジ)しているーーを買い取ることで、企業は請求書への支払いを早期に行うことができ、キャッシュフローを増加させることができるというものである。昨年、ソフトバンクのビジョンファンドが15億ドル近い資金をGreensill Capitalに投資したことで、この事業は急成長を遂げた。

3月末時点で、クレディ・スイスの主力サプライチェーン・ファイナンス・ファンドが投資するトップ10社のうちの4社は、ビジョンファンドのポートフォリオ企業であった。それらには、OyoやFairが含まれており、同ファンドの52億ドルにのぼる運用資産のうち15%を占めているとFT紙は報じている。

投資業界の中で新たに出現しているこのニッチ産業「サプライチェーン・ファイナンス」について、ブルームバーグは次のように説明している:

サプライチェーン・ファイナンスは、クレディ・スイスにとって成長著しいニッチ分野となっており、昨年末時点で、同社の資産管理部門では4379億スイス・フラン(4540億ドル)を管理していた。同銀行のサプライチェーン・ファンドの資産は、昨年増加した。その理由は、Greensillが融資先の企業を探し出したためである。Greensillは、これら企業に融資を行うと、これら法人の短期借入金をまとめてバンドル化し、それを機関投資家に販売している。

これらファンドは設立されて以来、数十億ドルもの投資資金を急速に惹き寄せている一方、パンデミック災禍が発生して以降、資金の流出に襲われている。クレディ・スイスの顧客らは、コロナウイルスの感染が拡大したことでマーケットが暴落する中、慌てて投資資金を現金化しており、今年初めには16億ドルをこれらファンドから引き出していることをブルームバーグ通信は4月に報じていた。

これまでソフトバンクGによるこのような不正行為を黙認してきた金融機関であるが、次第にソフトバンクGと距離を取る金融機関が増え始めている。

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