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ドイツで戦後最大の不正会計事件ワイヤーカード|不正を長年見逃した監査法人のアーンスト・アンド・ヤングは『第2のアーサー・アンダーセン』か?EUはドイツ規制当局に対する捜査を要請へ

ドイツで戦後最大の不正会計事件ワイヤーカード|不正を長年見逃した監査法人のアーンスト・アンド・ヤングは『第2のアーサー・アンダーセン』か?EUはドイツ規制当局への捜査を要請へ

Photo via Flickr

ドイツのオンライン決済サービス企業のワイヤーカード(Wirecard)は、15年近くも不正会計を続けてきた。これまでファイナンシャル・タイムズ(FT)紙などがその疑惑を度々報じてきたが、ワイヤーカードは疑惑を否定し続けてきた。しかし今週、マークス・ブラウン前CEOが詐欺容疑で逮捕され、ついにワイヤーカードの不正会計疑惑が白日の下にさらされることになった。

今回の事件は、ドイツにおいて戦後最大の企業会計スキャンダルとなるのは間違いない。その不正を見逃し、ワイヤーカードがドイツ株価指数(DAX)に組み込まれるために必要な「箔」を与えてきた同社の監査役会や、ワイヤーカードへの調査を行わず投資家たちを欺いてきたドイツの規制当局についても、その重大な責任が問われなければいけない。

全米を揺るがせた、元ナズダック会長のバーナード・マドフによる史上最大級の巨額投資詐欺事件や、エンロン事件と同じように、これほどの規模の会計詐欺がこれほど長期間にわたって継続するには、規制当局者などが見て見ぬ振りをするか、その詐欺行為を隠蔽することに意図的に共謀する第3者の存在が必要不可欠となる。ワイヤーカードの帳簿を10年間も承認してきたアーンスト・アンド・ヤング(EY)などの大手監査法人の内部で、その責任の所在があいまいになっていたことに加えて、監査対象の企業の透明性がそもそも欠落していると、このような未曾有の規模の不正行為が発生する温床を生み出してしまうことになる。

■ アーンスト・アンド・ヤング(EY)は『第2のアーサー・アンダーセン』になるか?

エンロン事件は、その監査役であった大手監査法人のアーサー・アンダーセンの解体へとつながった(そのコンサルティング部門は1989年に分社化され独立し、2001年にアクセンチュアに社名を変更した)。ワイヤーカードの監査役であったアーンスト・アンド・ヤング(EY)も、それと同じ運命をたどる可能性がある。FT紙は、アーンスト・アンド・ヤングがワイヤーカードの詐欺行為を何年も前に暴くことが可能だった報じている。ワイヤーカードが不正に水増しした21億ドル分の売り上げについて、その売上金を保管していたとされるシンガポールにある銀行口座を監査してさえいれば、その不正は簡単に指摘することができたとFT紙は報じている:

監査役(EY)は、2016年〜2018年、ワイヤーカードのために多額の現金を保管していたシンガポールの金融業者OCBC Bankに直接確認をしていなかったと、直接事情を知る複数の人物がファイナンシャル・タイムズ紙に語った。代わりに、EYは、第3者の管財人とワイヤーカードそのものが提出した文書とスクリーンショット画像を信頼していた。ワイヤーカードに信用リスクを抱えているとある金融業者の銀行幹部は、「EYは監査の承認をした際に一体全体、何をしていたのか?という大きな疑問を私は抱く」と語った。OCBC Bankはコメントすることを拒否した。詳細について説明を受けたある人物は、ワイヤーカードはOCBCと銀行取引がなく、同社のシンガポールを拠点にした元管財人も、同銀行には第三者預託口座(エスクロー・アカウント)を開設していないとFT紙に語った。OCBCは、2016年〜2018年の間、EYからワイヤーカードに関する問い合わせを受けていないとこの人物は語った。

純粋に規模の観点からすると、破産申請したワイヤーカードよりもエンロンのほうがかなり大きな企業であった(ただし、ワイヤーカードの近年の売上の3分の2が完全なでっち上げであったことが判明している。)EYは、ワイヤーカードの不正行為について知り得ることはあり得なかったと主張している。EYはドイツの監査役会メンバーらが行ってきたワイヤーカードの監査業務を、「外国チーム」で再調査している。

しかしEYの責任問題はそう簡単に許されるべきではない。すでに多くの人たちが、ワイヤーカードが破綻したことで、「EYは第2のアーサー・アンダーセンになるだろうか?」と考えている。

【訳】2年前、エンロンのスキャンダルによって大手監査法人のアーサー・アンダーセンが終焉した番組を見た。これと同じような大惨事を再び目にすることになるとは想像もしていなかった。私の予想は間違っていた。#ワイヤーカード

【訳】#ワイヤーカードの破綻は、EYを次のアーサー・アンダーセンにすることはあり得るだろうか?

規制当局がどのような判断を下すにせよ、Big 4(ビッグ・フォー)と呼ばれる大手会計事務所にある程度の風評被害が発生することは避けられない。複数の記者や空売り投資家たちがワイヤーカードの不正会計処理についてますます疑問の声をあげていた。そしてワイヤーカードの主張を立証すべき監査発表が度々遅延していた(そして監査結果は同社の主張を立証することは決してなかった)。にもかかわらず、EYは10年間にわたって監査の結果、「無限定適正意見」(問題がない)と判断してきた。

ワイヤーカードは、昨年、売上金をシンガポールにあるOCBCからフィリピンにある複数の銀行に移動したと監査役会に伝えていたと報じられている。現在、フィリピンにある銀行には19億ユーロ(約2285億円)の預金があるはずだが、KPMGが行った特別監査は、フィリピンにある銀行からその預金を証明する原本を入手することができなかった。フィリピンにある複数の銀行は、ワイヤーカードがKPMGに提出した預金証明書は、「誤った性質のもの」、つまり偽造されたものであることを確認している。

おそらくEYにとって幸運なことは、ワイヤーカードの不正会計を監視することを怠った機関がEYだけではないということだ。ドイツの金融規制当局である『ドイツ連邦金融監督庁(BaFin)』もまた、ワイヤーカードの不正会計に対して多大なる責任がある。すでにEUは、ドイツ連邦金融監督庁(BaFin)に対して規則違反を犯していなかったか捜査を準備している。

2ページ目を読む>

ドイツ連邦金融監督庁(BaFin)に対して捜査を準備するEU

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