人気テレビ・アニメ「ザ・シンプソンズ」の声優らが降板｜アメリカでは有色人のアニメ・キャラクターを演じる白人声優たちが次々と降板 -

先週金曜、FOXエンターテイメントは声明を発表し、その中で「今後、ザ・シンプソンズでは、白人声優が非白人のキャラクターを演じることはない」と発表した。米国では、数々のアニメ・シリーズが、有色人のアニメ・キャラクターに白人声優を起用しない決断を下している。

アメリカで国民的アニメ・シリーズとなっている『ザ・シンプソンズ』であるが、白人俳優のハンク・アザリアさん（冒頭の写真）がインド系アメリカ人のキャラクターであるアプーを演じることに長年批判が寄せられてきた。

アザリアさんは、『ザ・シンプソンズ』に登場する複数の有色人キャラクターの声を演じてきた。インドからアメリカに移民しコンビニ店のオーナーであるという設定のアプーの他に、仏教徒のアフリカ系アメリカ人であり、主人公ホーマー・シンプソンの知人そして同僚でもあるカールトン・カールソンJr.の声も演じている。その他にもルーという名前の黒人警察官や、メキシコ系アメリカ人のバンブルビー・マンの声も演じている。

特にインド系アメリカ人のアプーは、アザリアさんが30年間もその声を演じてきた。『ザ・シンプソンズ』の製作責任者たちは声明の中で次のように記している：

我々は、アプーについてハンク（アザリアさん）のこれまでの旅に敬意を表す。我々は、このキャラクターをこれ以上演じたくないという彼の望みをかなえることにする。

BLM（黒人の命は大切）の抗議活動の高まりを受けて、エンターテイメント業界では非白人の俳優たちにより多くの仕事の機会を与える圧力が高まっている。こうした社会環境の中、降板する俳優はアザリアさんだけではない。

JustTheNewsは、アザリアさん以外にも次の俳優たちが降板していると報じている：

ジェニー・スレイト：彼女は、ネットフリックスのオリジナル・シリーズ『ビッグ・マウス』で、混血のキャラクターであるミッシーの声を演じている。スレイトさんはもともと、ミッシーのキャラクターを演じることはやりやすいとインスタグラムに投稿していた。というのも、このキャラクターの母親はユダヤ系白人という設定で、スレイトさん自身もユダヤ系白人だからだ。しかし、半分アフリカ系アメリカ人との混血であるという設定のミッシーの役を、これ以上演じることはできないという思いにスレイトさんは至っている。

「私が『ミッシー』を演じることを辞めることは、私の行動に潜むレイシズムを明らかにするという一生かかるプロセスの第１歩だ」とスレイトさんは声明の中で語っている。

ハリー・シアラー：アザリアさんと同様、シアラーさんは『ザ・シンプソンズ』に登場する複数の有色人キャラクターを演じてきたが、それらの役から降板すると発表した。シアラーさんも、仏教徒のアフリカ系アフリカ人キャラクターであるカールトン・カールソンJr.や、アフリカ系アメリカ人医師であるDr.ジュリウス・ヒバートなど数多くのキャラクターの声を演じてきた。シアラーさんは『ザ・シンプソンズ』に1989年から声優として出演している。

マイク・ヘンリー：ヘンリーさんは、『ファミリー・ガイ』の中でアフリカ系アメリカ人のクリーブランド・ブラウンの声を20年間演じてきた。

ヘンリーさんは声明の中で次のように語っている：

『ファミリー・ガイ』のクリーブランドを20年間演じてきたことは光栄なことだ。わたしはこのキャラクターが大好きだ。しかし有色人のキャラクターは、有色人の人たちが演じるべきだ。故に、私はこの役から降板することにする。

クリステン・ベル：ベルさんは、新アニメ・シリーズ『セントラル・パーク』の中で、混血キャラクターのモリーの声を務めていたが、新シリーズが開始した5月29日から1ヶ月しかたっていないにもかかわらず、ベルさんはこの役から降板することとなった。ベルさんはインスタグラムに投稿した声明の中で次のように語っている：