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オーストラリア政府は国安法が導入された香港との犯人引渡し条約を停止|チャイナは対豪制裁すると公言

オーストラリア政府は国安法が導入された香港との犯人引渡し条約を停止|チャイナは対豪制裁すると公言

オーストラリアのモリソン首相(右)(Photo via Flickr)

 

先週のカナダの動きに続いて、オーストラリアは、香港との犯人引渡し条約を停止すると発表した。

 

チャイナと犯人引渡し条約を締結している各国がその見直しを迫られている理由は、6月30日に施行された香港国安法が「域外適用」を行っているためである

 

「香港特別行政区の永住権を有しない者が、香港以外の場所で本法律に規定する罪を犯した場合、本法律が適用される」(38条)

 

 

つまり、世界のどこにいても、そしてそれが外国人であっても香港国安法違反を問うことができるとこの法律は規定している。チャイナと犯人引渡し条約を締結している各国が慌ててこの条約を停止する措置をとっているのは、国安法が主権をチャイナに引き渡してしまうことを意味しているからである。カナダやオーストラリア国内で自国民に対してチャイナの法律が適用されてしまうと、犯人引渡し条約に則って自国民をチャイナに移送しなければいけなくなる。

 

今週木曜、オーストラリアのスコット・モリソン首相は次のように語った

 

我々の政府は、その他各国の政府と共に、香港国安法を強制することに対して非常に一貫して懸念を表明してきた。本日、我々は、国安法が我が国の香港との犯人引渡し条約に関わる環境に根本的変更をもたらしていると発表することで意見が一致した。

 

チャイナ外交部の趙立堅・報道局副局長は、すぐさまチャイナ政府の怒りを表明し、オーストラリア政府にチャイナの内政に「介入」することは止めろと警告した。それと同時に、チャイナはオーストラリアに対する報復を準備していると警告した。いまだにオーストラリアにとって最大の輸出相手国がチャイナであることから、おそらくその報復は経済的なものになることが予想される。趙立堅は、長年締結されてきた犯人引渡し条約を突然停止することは、「国際法および国際関係の基本的規範を深刻に違反した」動きであると非難している

 

オーストラリア・キャンベラにあるチャイナ大使館も、木曜、次の警告を発表している:

 

我々は、オーストラリア側に、香港の事情およびチャイナの国内事情に干渉するのを即刻停止するよう強く要請する。さもなくば、持ち上げた岩を自らの足に落とすことになる。

 

オーストラリア政府は、すでに2日前に自国民に対してチャイナへの渡航注意勧告を更新していた。その中で、オーストラリア国民に対して共産党が支配する国へ渡航することは「恣意的な拘束」のリスクがあると警告している。

 

この渡航注意勧告の中で、オーストラリア政府は香港国安法について次のように言及している:

 

(チャイナ)当局はこれまでにも外国人を拘束しており、その理由は彼らが「国家安全保障を危機にさらしている」というものである。オーストラリア人もまた、恣意的な拘束のリスクにさらされている可能性がある。・・・

 

皆さんは、法律違反を行っているという意識がなくても法律を破ることになる可能性がある。

 

中共政府は、さっそく香港に「スパイ機関」の事務所を開設している。

 

【訳】「歴史的瞬間」:チャイナは香港に公安事務所を開設している

 

 

モリソン首相は、木曜に行った犯人引渡し条例停止の発表の中で、すでにオーストラリアで修学もしくは就労している香港人に対して、彼らが手続きを簡略化してビザ延長できることや永住権を取得できることについて、その詳細を発表している。

 

ただし、モリソン首相は、学生ビザを最大5年間延長しているが、「すぐさま大量の(ビザの)申請件数があるとは思っていない」と語っている

 

オーストラリアによるこうした決定は、香港国安法に対する各国(特に米国を中心にした英語圏)の間で起きている「ドミノ効果」の一つである。

 

ニューヨークタイムズ紙はこうした事態を次のように報じている:

 

オーストラリアの動きは、300万人もの香港人に国籍を取得する門戸を開くという英国の決断ほど広範囲におよぶものではない。しかし、この発表は、チャイナがその領土に対して施行した新たな法律について世界が懸念していることを映し出している。ニュージーランドの政府もまた、木曜、同国と香港との関係性を見直すと語った

 

 

チャイナは、少なくとも自国民がオーストラリアへ観光することを制限すると脅しをかけてくる可能性が高い。北京政府は、カナダ政府が香港との犯人引渡し条約を停止した報復として、すでに海外旅行するチャイナ国民に対して新たな渡航注意を発令している。その渡航注意勧告によると、チャイナ国民はカナダへ旅行する場合は「警戒心」を怠らないようにしなければいけないと記しており、その理由として「カナダでは警察機関による頻繁な暴力行為が発生しており、それにより多くのデモ活動を引き起こしている」と記している

 

 

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