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国連が共同運営する「地球環境ファシリティー(GEF)」に汚職と不正——「気候」と「汚職」には多くの共通点がある——日本政府が最大出資国の1つ

国連が共同運営する「地球環境ファシリティー(GEF)」に汚職と不正——「気候」と「汚職」には多くの共通点がある——日本政府が最大出資国の1つ

地球環境ファシリティー(GEF)のロゴ(Image via GEF)

国連開発計画(UNDP)が監査および調査を行なった結果をまとめた草稿段階の報告書を、最近、フィナンシャルタイムズ(FT)紙が入手しその内容を報じた。この報告書は、数十億ドル規模の資金メカニズムである「地球環境ファシリティー(GEF: Global Environment Facility)」が、「不正と汚職」に関与しているという概要を記している。

 

世界銀行のホームページは「地球環境ファシリティー(GEF)」を次のように説明している:

地球環境ファシリティ(GEF)について

 

GEFは、日本を含めた183ヵ国のパートナーシップにより構成され、開発途上国や経済移行国が地球規模の環境問題(気候変動、生物多様性、国際水域、土地劣化、オゾン層破壊、水銀)に取り組むための活動を支援しています。

 

GEFのプロジェクトは、世界銀行やアジア開発銀行などの地域開発銀行や国連機関により実施されており、GEFの資金は地球環境保全に貢献する活動に投資されています。

 

日本の外務省のホームページは「地球環境ファシリティー(GEF)」を次のように説明している:

1 目的・性格

 

(1)開発途上国及び市場経済移行国が,地球規模の環境問題に対応した形でプロジェクトを実施する際に追加的に負担する費用(incremental cost(注1))につき,原則として無償資金を提供する。

(2)GEFは,5つの環境関連条約(注2)の資金メカニズムとして世界銀行(世銀)に設置されている信託基金で,世銀,UNDP,UNEP等の国際機関がGEFの資金を活用してプロジェクトを実施する。

 

(注1)GEF資金はincremental costについてのみ拠出され,個々のプロジェクト全額を支給することはない(co-financing)。これにより,開発プロジェクトが環境に配慮した形で立案されるような梃子とする意義をもつ。これまで,GEF資金146億ドルの投入と共に他の機関から743億ドルの資金がもたらされている(1991~2015年)。なお,カルタヘナ議定書のバイオセイフティ・クリアリング・ハウスや気候変動枠組条約における国別報告書等,資金メカニズムとして指定されている条約等の趣旨を実現するため必須の事業には,例外的に100%拠出される。

(注2)気候変動枠組条約,生物多様性条約,砂漠化対処条約,残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs条約),水銀に関する水俣条約。

 

FT紙がこの草稿段階の報告書を精査したところ、「地球環境ファシリティー(GEF)」が世界中に出資しているプロジェクト全体を通して「財務上の虚偽記載」が見つかったと記している。

 

「この監査で見つかった問題は、これら監査を受けた組織の目標を達成することに深刻なダメージを引き起こす可能性がある」とこの報告書は記している。

 

「地球環境ファシリティー(GEF)」は1991年に設立された。近年になって、GEFは独立組織となり、170カ国以上で210億ドル以上を資金拠出している。そのうちの70億ドル分のプロジェクトを、国連開発計画(UNDP)が管理・運営している。

 

GEFが公的資金を不適切に管理しているという懸念が出資国の間で起きたため、2018年と2019年の財務状況について監査が行われた。

 

2019年、フォーリン・ポリシーは、国連開発計画(UNDP)が管理しているロシアのGEFプロジェクトが、数百万ドルにものぼる資金を不正利用した可能性があることを発見したという内部告発者の証言を掲載した。FT紙が入手した書簡によると、GEFへの最大の出資国である米国、日本、フランス、そしてオーストラリアは、このUNDPが管理しているロシアのプロジェクトに対して独立調査を行うことを要請した。

 

「不正行為と資金の横領という問題は、世界中で持続可能な発展を行うことに対して引き続き障害となっている」と、2017年からUNDPの行政官となっているアチム・スタイナー氏に宛てて送られた書簡の中で最大出資国の各国は伝えた。

 

こうした汚職疑惑に対して、UNDPは「全ての財務不正やその他の不正を非常に真剣にとらえている。・・・(GEFのプロジェクトを)最も注意してモニタリングしている」と答えている。ただし、今回のさまざまなプロジェクトに対して起きている「資金乱用の疑惑」は、UNDPが管理し、GEFが出資するプロジェクト・ポートフォリオの1.4%にしかすぎず、「ごく一部」でしかないとUNDP は語っている。

 

しかし気候変動に対処するための国連プログラムと関係する資金の乱用疑惑は、今回が初めてではない。今年8月、国連の支援を受けた、韓国を拠点にしている「緑の気候基金(GCF:Green Climate Fund)」は、内部で不正行為が行われているという告発が行われていたとFT紙は報じている。この基金は、世界最大の気候資金組織:

「気候」と「汚職」という単語、人々はこれら2つの単語は違うと考えるが、この二つには多くの重複がある」と、ブライス・ボーマー氏は語った。同氏は、グローバル反腐敗グループである「Transparency International(国際的な透明性)」で「気候ガバナンスの完全性」部門の責任者。

(太字強調は編集部)

 

国連開発計画(UNDP)が管理する「地球環境ファシリティー(GEF)」での腐敗疑惑を詳しく知る人物は、FT紙に対して次のように語っている:

「誰も責任を取らない。誰も責任を負わない。UNDPは自らを免責している。これら基金は、最貧困層のためにと意図されている・・・どの段階になったら、(GEFへの)出資国は資金提供を一時停止する判断を下すのか?」とこの人物は語った。この人物は匿名を希望した。

 

 

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