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【オピニオン】グレートリセット?「そう焦るな」とプーチン大統領

【オピニオン】グレートリセット?「そう焦るな」とプーチン大統領

プーチン大統領(2012年4月11日撮影)(Photo via Flickr)

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トム・ルオンゴ筆|2月10日|Gold Goats ’N Guns掲載

(太字強調はBonaFidr)

 

みなさんは過去6年間で最も重要な政治スピーチを見逃さなかっただろうか?

 

今、起こっている様々なことを考えれば、これを見逃してしまったとしてもしょうがない。実際、私もあやうく見逃すところだった。しかしこのスピーチは、私が情熱を持って打ち込んでいる研究分野のほぼ全てが交差するど真ん中に鎮座するものである。

 

毎年開かれる世界経済フォーラムが、先週、テレビ会議を利用して開かれた。私はこれをバーチャル・ダボスと呼んでいる。そして今年の会議での目玉トピックは、もちろん「グレートリセット」と呼ばれる彼らのプロジェクトだった。

 

しかし、もし世界経済フォーラムがグレートリセットのために最高の顔ぶれを世界に紹介したいと考えていたのであれば、中国の習近平国家主席やロシアのウラジーミル・プーチン大統領を招待してはいなかっただろう。

 

そして、世界経済フォーラムの砂上の楼閣であるこの議題を崩壊させたのは、プーチンの演説だった。

 

前回、誰かが主要な国際フォーラムに入ってきて、現在の地政学的状況に辛辣な批判を発表したのは、2015年9月29日に国連で行われたプーチンの演説だった。その2日前、彼はシリアにわずかばかりの緊急的な航空支援を送っていた。

 

そこで彼は、国連を名指しで非難しただけでなく、最も重要なことに、(軍事の)最前線に関する次の質問をすることで米国とそのNATOの同盟国を非難した。「あなたたちは自分たちが何をやってしまったのか分かっているのか?」。すでに世界の中でも混沌とした地域に 、混沌を解き放ってしまったことを?

 

この時の演説と同様に重要だったのは、その後のプーチンの行動である。その時の彼の行動が、ユーラシア大陸全体の地政学的チェス・ゲームにおける現在の流れを決定づけた。 シリアは、「ISISは無敵だ」というストーリーへの抵抗という謎が解ける中心地となった。

 

そして、ISISの背後に誰がいるのかという謎、すなわちそれはオバマ政権であったということが、注目していた人全員に明らかとなった。

 

トランプ大統領はISISを倒したのは自分の手柄であると思っていたかもしれないが、それを可能にしたことのほとんどは、シリアの西部を奪還したプーチンとロシア軍のおかげだった。その一方で、ジェームズ・マティスのようなグローバリストの将軍たちは、シリア自体にはできるだけ多くのダメージを与え、ISISにはできるだけ少ないダメージしか与えていなかった。

 

そして、米国のシリア政策に賛成するか反対するかに関わらず——私はほぼ確実に反対するが——、ロシアの同地域への介入が、しばらくの間ここでの地域政治と紛争とを根本的に変えてしまったということは、議論の余地はないだろう。

 

それは、チャイナ、ロシア、そしてイランが、西側諸国から自主的に断絶する始まりだった。

 

中東での権力統合を目指す欧米の思惑に逆らったため、ロシアは西側ではずっと悪者にされている。冷戦時代に幼少期を過ごした私が受けた教化教育が、まるで夏の休暇をクリミアで過ごそうと宣伝する広告であるかのごとくたわいもないものに見えてしまうほどに。

 

しかし、プーチンが20年間もその権力の座にある理由は、彼の決意と人格の強さの所以である。彼はロシアを再建するという驚異的なことを成し遂げた。

 

彼は多くの間違いを犯してきたが、その多くは第1にアメリカの大統領たちを信頼してしまったことと、第2にヨーロッパの指導者たちがどれほど傲慢で横暴なのかを過小評価してしまったことによるものだ。

 

それが、今では彼も我慢の限界に達した。特に欧州に対しては。そして短期的なコストがどのようなものであれ、彼はロシアにしっかりと独立した道筋をつけた。

 

だからこそ、世界経済フォーラムでの彼のスピーチは重要な意味を持っていた。

 

プーチンはこの会議で10年近く話をしていなかった。 ヨーロッパ、英国、カナダ、そして現在のアメリカでは、世界経済フォーラムに支配された操り人形たちが権力の座を支配している時に、プーチンはバーチャル・ダボス会議の会場に登場し、そしてそのカーペットの上にコーヒーをぶちまけたのだ

 

プーチンは、クラウス・シュワブと世界経済フォーラムに対して、彼らのグレートリセットの考え方は全て失敗に終わるだけでなく、現代の指導者たちが追求すべきあらゆることに反するものであると言ったのだ。私が「常に礼儀正しい」としか表現できないような言葉で。

 

プーチンは、第4次産業革命の考えを文字通り笑った——これは、AI、ロボット、そして人間と機械の融合を通した計画社会というシュワブの考えだ。

 

COVID-19パンデミックで中産階級を絶滅の瀬戸際に追いやる彼らの政策は、確実に貧富の格差を悪化させる一方で、社会的そして政治的な不安をさらに増大させるだろうと、プーチンは彼らにきっぱりと言ったのだ。

 

プーチンは、花を振りまきながら自由主義を愛でるリバタリアンなどではないが、超金融化したポスト・ソビエト時代に対する彼の批判は的確だ。

 

中央銀行が支配し、国家権力と企業権力が合併し続けた時代は、アメリカとヨーロッパ全体で貧富の格差を拡大させ、これにより数百万人が恩恵を受ける一方で、数十億人から富を奪ってきた

 

プーチンの話を聞くのは、パット・ブキャナンと故ウォルター・ウィリアムズを掛け合わせたものを聞くようなものだ。 プーチンによると、「世界を招待し、世界を侵略する(“invite the world/invade the world”)」という新自由主義の理想は、各国における文化的な結びつきを破壊しながら、それら国々での経済的な見通しを空洞化させてきた。 そしてプーチンは、ゼロ金利、量的緩和政策、そして政治的な武器としての関税や経済制裁を批判した。

 

しかし、名目上はプーチンのロシアに向けられているこれらの「武器」であるが、そのターゲットは、実際には西側である彼ら自らの活力源に向けられていた。西側の中産階級の人々は、彼らの賃金が停滞し、そして教育や医療、紛争を解消するための裁判所へのアクセスが劇的に低下するのを目の当たりにしている。

 

ロシアは台頭しつつある国であり、中国もそうだ。両国の関係が経済を安定させるほど深まれば、イランも台頭してくるだろう。

 

彼らは共に中央アジア大陸を、英米がこの地域に介入したおかげで存在している19世紀の泥沼から抜け出させることになるだろう。 プーチンの演説は、ヨーロッパの数千人程度しかいない聖人ぶったオリガルヒ(寡頭体制の支配者)だけでなく、未来から利益を得るすべての人々のために解決策を見つけるプロセスに、ロシアがコミットしていることを明らかにした。

 

プーチンほど対立姿勢を鮮明にした演説ではなかったが、習近平も同じようなことを発言した。

 

彼もプーチンのように、気候変動やカーボン・ニュートラルに対してリップサービスを行い、環境汚染やサステイナビリティー(持続可能性)に焦点を当てた。

 

彼らは、基本的に世界経済フォーラムに対して、グレートリセットをそれが考案された元の穴に戻すように言ったのだ。

 

私は10年近くプーチンを追いかけてきた。 もし彼が、世界で最も権力ある人たちの集まりではなく、大学レベルの政治学のクラスで話をしていたとしたら、彼は皆に笑われていただろうと私は感じた。

 

しかし、不幸なことに、プーチンは長い間彼らの侵略の対象となってきたことを、我々の誰よりもよく理解している。そして、彼らによる現実世界の掌握や、彼らが支配してきた人民たちとのつながりが断たれそうになっているため、プーチンは彼らを真剣に扱わなければならないということを、彼は誰よりもよく理解している。

 

予定されていたスピーチの最後に、クラウス・シュワブはプーチンに対して、ロシアが問題を抱えている欧州との関係と、それを解決することができるかどうかについて質問した。 プーチンは攻撃のパンチを繰り出さなかった。

私たちが過去のこうした問題を乗り越え、こうした(ロシア)恐怖症を取り除くことができるのであれば、私たちは、確実に私たちの関係においてポジティブな段階を享受することができるだろう。

 

私たちはその準備ができており、これを望んでいる。そしてこれを実現するために私たちは努力するだろう。しかし、片方だけからの愛の告白は成立しない。これは相互でなければいけない。

 

私はバイデン政権やブリュッセルの欧州委員会の様子を見てみたが、彼らの誰もプーチンによるこの発言を聞いたとは感じられない。

 

 

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