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【オピニオン】グレート・リセットの到来——中央銀行デジタル通貨(CBDC)の発行によるグローバル通貨の大再編

【オピニオン】グレート・リセットの到来——中央銀行デジタル通貨(CBDC)の発行によるグローバル通貨の大再編

資料画像:Photo via Flickr

ジェームズ・リカーズ筆|2021年2月22日|Daily Reckoning掲載

(太字強調はBonaFidr)

 

1944年のブレトンウッズ会議は、今日まで連綿と続くグローバル通貨制度を確定した。

 

1969年〜1971年は、「第1次リセット」と呼ぶことができる。この時、国際通貨基金(IMF)の通貨準備金を引き出せる権利である「特別引出権(SDR)」(ティッカーシンボル:XDR)が生み出された。これは、米ドルの通貨切り下げ(価値の引き下げ)と、金本位制の終焉である。

 

何年にもわたって、コメンテーターたち(私自身も含む)は、「ビッグ・リセット」や「グレート・リセット」と時に呼ばれる次のグローバル通貨再編について議論してきた。

 

そして現在、長年予想されてきた「グレート・リセット」がついに到来したようだ。

 

その詳細については情報源によって異なるが、しかし基本的な考えはこうだ——米ドルを中心に据えた現在のグローバル通貨制度は、内在的に不安定なものであり、改革される必要がある。

 

この問題の一部は、『トリフィンのジレンマ流動性のジレンマ)』と呼ばれるプロセスにある。これは、経済学者のロバート・トリフィンの名前からそう呼ばれている。残る他の世界が通貨発行国から製品を購入して世界貿易を拡大させるために十分な通貨を獲得できるよう、基軸通貨の発行国は貿易赤字を被らなければいけないとトリフィンは唱えた。

 

しかし、貿易赤字が長く続けば、基軸通貨の発行国は最終的に財政破綻することになる。これは、1960年代初頭の米ドルについて言われていたことだ。

 

1969年、国際通貨基金(IMF)は「特別引出権(SDR)」を生み出した。これを流動性の源泉とし、米ドルの代替として機能させるためと思われた。

 

そして1971年、米ドルは金(ゴールド)やその他の主要通貨に対して通貨の価値が切り下げられた。特別引出権(SDR)が、1970年〜1981年まで国際通貨基金(IMF)によって発行された。1981年から2009年のグローバル金融危機に至るまでは、特別引出権(SDR)は一切発行されなかった。

 

「“配管”を検査する」

 

2009年に特別引出権(SDR)を発行したのは、通貨制度が適切に機能することを確認するため、IMFが「配管を検査した」事例だった。なぜなら、1981年〜2009年まで特別引出権(SDR)は一切発行されていなかったため、IMFは特別引出権(SDR)を発行するためのガバナンス、コンピュータ手続き、そして法的手続きのリハーサルを実施したかったのだ。

 

特別引出権(SDR)が発行されたもう一つの目的は、当時発生していた流動性の懸念を緩和するためであったが、急に巨額の特別引出権(SDR)を新たに発行することが必要になる場合に備えて、この制度が機能することを確認するためでもあった。

 

2009年以降、IMFは巨額の特別引出権(SDR)を新たに発行するためのプラットフォーム、そして特別引出権(SDR)建て資産の流動性プールを大規模に創出するためのプラットフォームを構築するために、ゆっくりとした歩みを進めていた。

 

2011年1月7日、IMFは米ドルを特別引出権(SDR)で置き換えるための基本計画(マスタープラン)を公表した。

 

これには、SDR 債券市場、SDR ディーラー、そしてレポ取引、デリバティブ、決済、クリアランス・チャネルなどの付帯設備や、流動性のある債券市場という全装置の創設が含まれていた。

 

流動性のある債券市場は必須である。米国債は、世界で最も流動性の高い証券の一つであり、そのことが米ドルを正統な基軸通貨としている。(BonaFidrコメント:しかし2月25日(木曜)、米国債は著しい流動性の低下に見舞われ、7年物米国債の利回りが急騰する異常事態となっている。バンクオブアメリカは、早ければ今週にでも連銀はこの問題について答弁を発表すべきと要請している。

 

IMF の調査では、リスクヘッジ、資金調達、決済およびクリアランスのメカニズムが現在の米国財務省証券の取引をサポートするために使用されている市場インフラと実質的に類似したものを、SDR 債券市場のために複製することを推奨している。

 

チャイナが通貨会議のテーブルに席を獲得

 

2016年7月、IMFはプライベートなSDR 債券市場を創出することを呼びかける論文を発表した。これら債権は、 “M-SDRs”(マーケットSDR)と呼ばれた。これは “O-SDRs” (オフィシャルSDR)と区別するためにそう呼ばれた。

 

2016年8月、世界銀行は、民間の購入者を対象にSDR建て債券を発行すると発表した。チャイナ最大の銀行である中国工商銀行(ICBC)がこの取引の主幹事を務めることとなった。

 

2016年9月、IMFは中国人民元をSDRバスケットに組み入れ、チャイナは通貨会議のテーブルに座ることになった。

 

そこで、SDRの範囲を拡大するための枠組みが作られた。

 

SDRは、IMF加盟国に豊富に発行することができ、将来的には、国際収支決済、石油価格の値付け、そしてエクソンモービル、トヨタ、ロイヤル・ダッチ・シェルなどの世界の最大手企業の財務会計など、厳選された世界で最も重要な取引に使用することができる。

 

現在、IMFは5000億ドルの新規SDRの発行を計画しているが、一部の民主党の上院議員たちは2兆ドル以上のSDRの発行を求めてロビー活動を行っている。

 

これは2009年に発行されたSDRのほぼ10倍に相当する。このことは、SDRの流動性を高め、最終的にSDRを米ドルに取って代わらせ、主要な準備資産にするという、グローバリストのアジェンダを推進するのに大きな役割を果たすことになる。

 

この提案は、私が2016年に出版した著書『The Road to Ruin(破滅への道)』の第2章で予言したグローバル・エリートのゲームプランを忠実に踏襲している。

 

今後数年の間に、国連や世界銀行などの国際組織にSDRが発行され、気候変動対策のためのインフラや、民主的に選ばれたどんな組織も監督できない、その他のエリートたちによる「ペットプロジェクト(勝手な個人的プロジェクト)」に費やされることになるだろう。私はこれを「世界的なインフレのための新たな青写真(設計図)」と呼んでいる。

 

単に特別引出権(SDR)以上のこと

 

しかし、グレート・リセットは、新しいSDRの発行だけにとどまらない。世界の金融システムがリセットされるという長年の予測を裏付ける、もう一つの暴露ニュースを紹介しよう。

 

1999年、通貨ユーロは、ドイツ、フランス、オランダ、イタリア、その他ヨーロッパの主要経済国の個別通貨に取って代わった。現在、ユーロに加盟している国の数は19カ国に達し、さらに多くの国が加盟を待っている。

 

ユーロは米ドルに次ぐ基軸通貨資産となった。ユーロの誕生は、各国通貨から世界単一通貨への足がかりと考えることができる。

 

現在、ユーロは(チャイナの人民元とともに)中央銀行デジタル通貨(CBDC)となるために急速に移行している。中央銀行デジタル通貨(CBDC)は、伝統的な通貨と暗号通貨のブロックチェーン技術を組み合わせたものである

 

現金を排除し、クレジットカードやデビットカード、スマートフォンのアプリを使った100%デジタルな決済システムに、ユーザーを強制的に移行させる重要な動きである。

 

なぜチャイナやヨーロッパは現金をなくすことにこれほどこだわるのか?

 

使うか、さもなくば失うか

 

現金を排除しない限り消費者にマイナス金利をかけることはできないと、私はずっと言ってきた。そうでなければ、貯蓄している人たちはマイナス金利を回避するために、銀行から現金を引き出して自宅ベッドのマットレスの中にその現金を詰め込むだけだ。暗黙に、欧州中央銀行(ECB)もこれに同意しているようだ。

 

欧州中央銀行(ECB)の理事会メンバーの一人は、マイナス金利(現実には現金の没収)は、現金を「ため込む」ことに対する「罰則」として適用されると言っている。わかりやすく言えば、彼らはデジタル通貨を作り、それを強制的に使わせ、使わなければ 「マイナス金利」として取り上げようとしていることを意味している。

 

今、グローバル・エリートたちが立てた計画のすべてのピースが、一点に合流しつつある。

 

IMFがSDRを発行することで、ドルを発行できない世界の中央銀行が再強化されることになる。そして、中央銀行デジタル通貨(CBDC)は現金を排除するために使われることになる

 

家畜の牛の群れ(これは私たちのことだ)がデジタル版の屠殺場に放り込まれると、私たちは自分のお金に関して、「使うか、さもなくば失うか」と言われるだろう。言い換えれば、私たちは自分たちが貯めたお金を使わなければ、政府がそのお金を奪うということだ。

 

当然、銃ディーラーや保守的なSNSプラットフォームのような評判の良くない業者を決済システムから除外することで、その消費を政治的に正しい(ポリコレの)目的に振り向けることができる。これは、世界貨幣+デジタル通貨+没収を通して人間の行動を完全に支配することを表している。

 

これはもう憶測ではなく、私たちの目の前で起きていることなのだ。グレート・リセットはすぐそこまで来ている。未来がもうここに来ている。

 

唯一の解決策は、追跡も操作もできず、デジタルではなく、そして銀行ではない場所に富を蓄えることだ。ドルの切り下げが計画されていることは、現物の金や銀を所有するもう一つの理由だ。

 

手に入れることができる今のうちにそうすべきだ。

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