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NATOのトップ科学者がチャイナの軍事諜報機関のためにスパイ活動を行い有罪判決を受ける

NATOのトップ科学者がチャイナの軍事諜報機関のためにスパイ活動を行っていたことが判明

チャイナのスパイ、タルモ・クーツが海洋学の主要専門家として勤務していたタリン工科大学(Photo via Flickr)

東欧の国エストニアの諜報機関は、同国トップクラスの科学者の1人がチャイナの軍事諜報機関に浸透工作を受けて情報提供していたことを発見した。この科学者は海事研究と潜水艦研究に特化したNATOの研究施設で勤務していた。米オンライメディアのDaily Beastが3月19日(金曜)スクープ報道した。

 

チャイナのスパイとして活動していたことが判明したのは、タルモ・クーツ(Tarmo Kõuts)(57歳)。昨年9月に逮捕され、先週、裁判が行われた。「その研究実績により、エストニアの科学界で有名」であったタルモ・クーツは、すでにスパイ活動で有罪判決を受け、3年の禁固刑が言い渡された。報道によると、彼の犯罪行為は「国家反逆罪」とはみなされなかったため、「軽い」判決になった。

 

エストニアを含むバルト諸国の諜報機関は、ロシアによる工作活動を暴くことに大きな比重を置いている。その一方で、最近、チャイナの工作員たちは東欧に深く浸透していると考えられている。しかし、タルモ・クーツは、チャイナからの浸透工作を受けてスパイ活動を行っていたとして有罪判決を受けた初のケース。

 

タルモ・クーツに関する裁判案件は、わずか数日前まで厳格な報道禁止命令が出されていた。クーツに対する有罪判決が下りて、初めてその事実が明るみになっている。クーツは、チャイナのハンドラーたちと少なくとも3年間連絡を取りながら、同時期にNATOの機密扱いの技術や研究にアクセスする権限があったと報じられている。

 

Daily Beastは次のように詳細の一部を報じている

エストニア内部保安部(KAPO)の副局長で、エストニア政府トップの防諜要員を務めるアレクサンダー・トゥーツ(Aleksander Toots)氏によると、タルモ・クーツは、チャイナの軍事諜報機関として知られる中央軍事委員会統合参謀部情報局によって2018年に勧誘を受けた。その際、別の共犯者も一緒に勧誘を受けたとされるが、この人物の裁判は現在も継続中。この2人は、2020年9月9日に逮捕されたが、この事件についてエストニアのメディアは一切の公表を行っておらず、議論も行われていない。

 

エストニア政府の防諜活動を率いるこのアレクサンダー・トゥーツ氏によると、タルモ・クーツはチャイナの領土に旅行に行った際に勧誘を受けたと語っている。「彼は、よくある人間の弱みにつけ込まれた。お金や、名声欲だ」とトゥーツ氏は語っている。

 

アメリカでも一流の科学者や研究者たちがチャイナの浸透工作を受け、企業秘密や知的財産を盗み逮捕されていたのと同様に、チャイナの「ハンドラー」たちはシンクタンクの関係者を装ってターゲットの科学者に接近していた

 

今回、有罪判決を受けたタルモ・クーツは、チャイナの諜報機関から2万ドル(約200万円)以上を受け取っていたが、その他にも東南アジアへの旅行に複数回、無料で招待されていた。旅先では高級ホテルに宿泊し、ミシュランで星を獲得したレストランで飲食していたと報じられている。

 

このニュースを報じるツイート:

【訳】独占スクープ:エストニアの防諜機関は、NATO内部で勤務していた新たなスパイを逮捕した。これまでのスパイとの違いは、この人物がロシアによる勧誘を受けていなかったということだ:タルモ・クーツはチャイナに勧誘されていた。

 

ホルガー(@holger_r)と私の共同記事:https://www.thedailybeast.com/top-nato-scientist-with-security-clearance-busted-spying-for-china

 

タルモ・クーツの背景情報について、同記事は次のように報じている:

2006年から、クーツは国防セクターに直接関与していた。彼は、エストニアの国防省科学委員会のメンバーに名を連ねていた。同委員会は、エストニア共和国における軍事関連の研究開発イニシアチブを監督している。

 

また、タルモ・クーツは、イタリアにあるNATO海中研究センター(NURC)の科学委員会のメンバーでもあった。ここで彼は、NATOの海事能力や海事戦略に関する軍事同盟をアドバイスすることを支援していた。

 

タルモ・クーツは、NATOのセキュリティ・クリアランスを14年間取得しており、エストニアでも「国家機密許可証」を取得していた。

 

しかし、政府当局は、タルモ・クーツが具体的な軍事機密をチャイナのハンドラーたちに実際に渡したとは考えていない。もしそれが事実認定されていれば、クーツにはさらに厳しい判決が下されていた可能性が高い。

 

先述のアレクサンダー・トゥーツ氏は、声明の中で次のように記している:

(タルモ・クーツがセキュリティ・クリアランスを保持していたことは)彼が(チャイナ側の人間たちと)協力することを、我々がこれほど早期に阻止することができた理由の一つだ。

 

 

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