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米証券取引等監視委員会(SEC)がソフトバンクを調査中であることを政府資料が示す——ナスダック市場を操作した疑い

米証券取引等監視委員会(SEC)がソフトバンクを調査中であることが情報開示請求で判明——ナスダック市場を操作した疑い

資料写真(Photo via Flickr)

2020年9月、ソフトバンクGは、自らアメリカの大手IT企業株を保有しながら、それら銘柄に対して約40億ドル分の巨額のコールオプション取引を行っていると報じられていた。ソフトバンクが仕掛けたこの株価吊り上げ戦略(通称「ガンマ・スクイーズ」)が功を奏し、米ナスダック市場は2020年3月の底値から2倍近くまで高騰した。コールオプション取引を行うこと自体はもちろん合法であるが、ソフトバンクのこの「戦略」は市場操作と紙一重と見なされていた。

 

そして金融市場を監督する米証券取引等監視委員会(SEC)はようやく重い腰を上げ、ナスダック市場の株価高騰につながった人為的「ガンマ・スクイーズ」の調査を開始したようだ。法律関連のウェブサイトPlainSiteが、3月24日(水曜)、情報公開法によりSECがソフトバンクの「戦略」について調査を行っていることを示す政府文書を入手し、公表した。

https://twitter.com/PlainSite/status/1374725471263334402

【訳】New! ナスダック市場を不正操作し、ニュースの一面を飾り、それでもSECはそれ(ソフトバンクによる市場操作)について何も聞いたことがないと主張していたが、今現在、SECはソフトバンクが連邦政府機関による調査対象となっていることを明らかにした。

 

投資家が、自らすでに保有している株式の銘柄(原資産)に対して巨額のアウト・オブ・ザ・マネー(OTM)のコールオプションを購入した場合、ディーラー側はリスクヘッジのためにその銘柄を大量買いすることを余儀なくされる。このことは、たとえ値動きがほとんどない株式に対しても、劇的(かつ人為的な)フィードバック・ループを引き起こし、その銘柄の株価を吊り上げることになる

 

最近ナスダック市場が不安定な状態にある中、もしナスダック総合指数の足元が崩れることになれば、誰もがそのスケープゴートを探すことになる。そのようなタイミングにあって、ソフトバンクは市場監視機関のSECに目をつけられたのかもしれない。

 

Business Insiderの取材に対して、ソフトバンクは次のようにコメントしている:

当社は、すべての規制上の問題に関する義務を非常に真剣に受け止めています。・・・当社の証券取引に対するSECの調査について我々は認識しておらず、これまでにSECから通知も受けていません。

 

PlainSiteは、ソフトバンクGが行ったコールオプションの取引量が、2021年3月10日付けの金融安定監督評議会(FSOC)の報告書で言及されていると紹介している:

https://twitter.com/PlainSite/status/1369546045227626496?s=20

【訳】興味深いことに、金融安定監督評議会(FSOC)は、$TSLA(テスラ)、$AAPL(アップル)、$NFLX(ネットフリックス)、$GOOG(グーグル)、$FB(フェースブック)、$MSFT(マイクロソフト)のコールオプションの取引量が、米国の金融安定性に対する潜在的な脅威について議会に提出する2020年の年次報告書で、強調しなければいけないほど極端なものであると指摘している。明示的には言及していないもの:ソフトバンク。

 

ソフトバンクGに対する調査が今後どのような展開を見せるかは不明であるが、同社を模倣して同じような「投資戦略」を考えていた金融関係者たちに、ある程度の警告となったことは間違いない。

 

また、昨年から高騰を続けているアメリカのIT関連株、中でもテスラのような銘柄が約18ヶ月間で急速に高騰していることは、同社の過去の値動きと比べても、到底、自然とは言えない。

https://twitter.com/QTRResearch/status/1344370716846792713

【訳】$TSLA(テスラ)の株価は何らかの形で操作されているのではないかという考えを持つことは馬鹿だと、周囲の人間が私に言う。なぜなら、これ(同社の株価の動き)は普通だからだそうだ。

 

2020年9月当時、ファイナンシャル・タイムズ(FT)紙は、デリバティブ取引に特化したアメリカのヘッジファンド・マネジャーにソフトバンクGの取引について取材し、次のコメントを報じていた:

これら(ソフトバンクのコールオプション取引)は、私がこの業界で20年勤務してきた中で最大規模の取引だ。この資金の流れは巨額だ。

 

それがあまりに巨額であったため、世界最大の企業アップル社のコールオプション予想変動率(IV)や同社の株価は、史上最高値をつけていた。

 

さらに、当時、市場に広がるリスク感情を数値化したVIX恐怖指数が史上最高を記録すると同時に、S&P500種株価指数も史上最高値を記録するという不思議な現象が起きたのは、ソフトバンクGによるこのコールオプション取引が原因である可能性が高いこともわかっている。

 

ソフトバンクGが購入した巨額のコールオプション取引について、ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙は次のように報じている

・・・同社(ソフトバンク)が保有する原資産の株式やその他の銘柄と紐づいたコールオプションを購入するのに、大体40億ドル(約4365億円)を費やした。

 

そしてオプション取引には元々レバレッジがかかっているため、この40億ドルの取引は、実質的に数百億ドル、もしくは数千億ドル(数十兆円)規模の株式を購入することに相当する。そのため、一部のアメリカIT関連株は昨年急騰し、その余波が市場の至る所に広がった。

 

SECという「お上」がついに現れたことで、高騰を続けてきたナスダック市場は一気に暴落するのではないかと、一部の市場関係者たちは憶測を投稿している。

https://twitter.com/QTRResearch/status/1374817285899182080?s=20

【訳】(2021年3月24日の投稿)これ(過去の投稿)を再投稿するのにうってつけの日のようだ。

 

(2021年3月5日の投稿)ナスダック市場における2020年の株価上昇は、ゴールドマンサックスやソフトバンクといった市場参加者による人為的なガンマ・スクイーズの助けを得ていた。

 

市場が、「ソフトバンク前」の株価を発見しようとし始めた今、ナスダックの株価がどれほど下落するかなど、誰にわかるだろうか。

 

2020年の株価上昇のほとんどが人為的なものだった可能性が高い。

(太字強調はBonaFidr)

 

ソフトバンクが再び巨額のコール・オプション取引に参入か|2億ドル分のテック株オプションを購入とCNBCが報道

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