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ビリオネアーのヘッジファンド創業者レイ・ダリオ氏、「債券よりビットコインを選ぶ」——「全ての通貨はもう死んでしまっている」と『CoinDeskコンセンサス・カンファレンス2021』で語る

ビリオネアーのヘッジファンド創業者レイ・ダリオ氏、「債券よりビットコインを選ぶ」ーー『CoinDeskコンセンサス・カンファレンス2021』で暗号通貨を保有していることを初めて明かす

レイ・ダリオ氏(右)(Screenshot via CoinDesk Consensus 2021)

5月24日(月曜)、世界最大級のブロックチェーン・デジタル資産イベントである『CoinDeskコンセンサス・カンファレンス2021』に登壇したビリオネアーのレイ・ダリオ氏は、債券よりもビットコインを選ぶと発言し、実際にビットコインを保有していることを初めて明かした。この日、ビットコインは13%以上、イーサリアムは25%以上、上昇している。ブルームバーグ通信や米Yahoo!Financeなど金融系メディアが同氏のこの発言を報じている

 

レイ・ダリオ氏は、世界最大の「リスクパリティ」ヘッジ・ファンドであるBridgeWaterの創業者。本サイトではダリオ氏の発言についてこれまでにも紹介してきた

 

ダリオ氏が運営するヘッジファンドは、債券と株式への投資比率を60:40に保つことで、株式投資のリスクをヘッジするという伝統的な投資戦略をとってきた。そんな彼のヘッジファンドBridgeWaterが暗号通貨への投資に参入しているかというのが多くの人々の関心を集めてきた。そしてついにダリオ氏はその疑問に答えた。

【訳】「私はいくらかビットコインを持っている」

 

@レイ・ダリオ

 

ただし、具体的に保有しているビットコインの量(金額)については言及しなかった。

 

ダリオ氏は、もし暗号通貨がさらに普及し続ければ、投資家たちは国債ではなく暗号通貨に投資するようになるだろうと語った。その結果、政府は資金調達能力を失うだろうとも語った。

 

今年1月、ダリオ氏は次のように自社ホームページで発表していた:

ビットコインやそれと競合するものが、価値を保存するための代替を求める「高まるニーズ」を満たすことができる可能性がある。

 

ダリオ氏は、ドルの基軸通貨としての将来の地位に対する懸念を繰り返し述べ、米国の債務残高が急増していることに失望感をあらわにした。そして、「(債務残高の)山が非常に大きくなり」、しかし国債(債務)への投資を続けるインセンティブが低下すると、最終的にはお金を刷ることになると語った。

 

「お金とは信用(クレジット)だ——それはでっち上げることができる」とダリオ氏は語っている。

 

しかし、現在、米ドルを保有するインセンティブは低い。金利はつかず、債券ですら利回り(配当)はほとんどないとダリオ氏は言う

これらの金融資産はすべて、現実のもの、すなわち現実の財やサービスに対する所有権だ。・・・

 

そしてその山が非常に大きく積み上がり、そしてそれを保有しないためのインセンティブがもはや存在しなくなったとき、問題が生じる。

 

最終的に、人々は、株、金(ゴールド)、不動産、そしてビットコインですら、「それ(ドル等の通貨)以外のものならほとんどなんでもあり」の状態に向かうだろうとダリオ氏は語っている。

 

つまり、ダリオ氏は、アメリカをはじめとする各国政府が、債務の増大と中央銀行による量的緩和によって自国通貨を切り下げていると指摘している。

 

彼は、通貨単位であるオランダ・ギルダーの崩壊から、1933年にフランクリン・D・ルーズベルトが行った金本位制の停止や1971年のニクソンによるドル切り下げ、そして2020年春の米連邦準備制度理事会(FRB)の動きに至るまで、歴史の流れをつなぎ持論を展開した。

 

そして現在の状況は1971年に似ているとダリオ氏は警鐘を鳴らしている:

(政府)予算を見ても、将来を見ても、私たちにはもっとたくさんのお金、もっとたくさんの債務が必要になることはわかっている。

 

お金を借りる必要があるのか?では、お金を印刷しなければいけない。なんと、もっとお金が必要なのか?となると、税金が上がり、それが一つの原動力を生み出す。この原動力の中で何が起こるのか、私は延々と説明することができる。それは資本規制になるのかもしれない・・・。

 

私は、資本規制が株価を上昇させることを1971年に痛いほど学んだ。それは・・・金(ゴールド)、ビットコイン、不動産、あらゆるものを上昇させる。なぜなら、実際にはドル(の価値)が下がっているからだ。それこそが、今、私たちがいるサイクルの一部なのだ

 

* * *

 

ダリオ氏は、インフレについても持論を展開し、インフレには2種類あると語っている。一つは原価上昇によるインフレ、そしてもう一つは貨幣の供給によってもたらされるインフレである。大きなインフレは、需要と供給の関係で発生するものではなく、貨幣的インフレーションである。

 

そしてダリオ氏は彼が過去3年間、言い続けているセリフ、「キャッシュ(現金)はトラッシュ(紙くず)」を繰り返し、「さらなるインフレがやってくるだろう」と警鐘を鳴らしている。

【訳】レイ・ダリオ氏は、ゴールドや様々な暗号通貨について語っている—「なぜこれがゼロサムの二者択一である必要があるのか?・・・投資ポートフォリオは適切に分散しておきたい・・・問題は、既存の(ドルに対する)代替通貨が十分に分散し多様だろうか?ということだ」。

 

「いいですか、全ての通貨はもう死んでしまっている」。

 

この問題の解決策として、ダリオ氏はドル(不換通貨)からビットコインなどの暗号通貨に資産を移している。しかし、決済の効率性の観点からすると、ビットコインよりもイーサリアムの方が効率的なようだと語っている。

 

そして各国の政府や中央銀行がビットコインを問題視する理由を、次のように解説している:

さらに私たちがビットコインで資産の蓄えを増やしていけば、さらにこのように考えるようになる可能性がある:「債券よりもビットコインを選ぶ」。個人的には、私は債券よりビットコインとして保有する方が良いよ(軽く笑いながら)。

 

そしてそうしたことがどんどん起きてくれば、貯蓄はビットコインに流れ、お金(クレジット)には行かなくなる。そうなれば、(政府は)そのコントロールを失う

 

急増する債務を解決する方法としては、技術革新によってもたらされる生産性の向上がその鍵を握っていると語っている:

世界は信じられないほど急速に変化している。

 

この技術競争を制する者が誰であれ、その勝者が経済的にも軍事的にも全てを制する・・・それがこれから先5年間の姿だ

 

この他にも、ダリオ氏は今後予想されるビットコインの目標価格や、チャイナ経済についても持論を披露している。

 

ダリオ氏が登壇した『CoinDeskコンセンサス・カンファレンス2021』の動画:

 

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