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終わりの始まり:チャイナ恒大集団が破産アドバイザーを採用

Photo via Flickr

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チャイナ恒大集団が倒産の「噂」を否定する声明を発表してから1日も経たず、同社は破産が差し迫っていることを認めた。

 

9月14日(火曜)に香港証券取引所に提出した書類の中で、恒大集団は、有名な破産アドバイザーであるフーリハン・ローキー(Houlihan Lokey)とアドミラルティ・ハーバー・キャピタル(Admiralty Harbour Capital)を「会社の資本構造を評価する」ためにジョイント財務代理人(FA)として雇ったと発表した。「会社の資本構造を評価する」とは、「破産の準備をする」ことを意味するためによく使われる業界用語であり、これは破産が差し迫っていることをほぼ認めた発表である。

 

そして、次に何が起こるか誰の目にも明らかだった通り、恒大集団は、期限内に債務を返済できない場合、あるいは債権者から返済延長や代替案に同意を得られない場合、クロスデフォルト(*)に陥る可能性があると発表している

 

(*)「クロスデフォルト(cross fedault)は、一つの債務がデフォルト(債務不履行)となった場合、他の債務もデフォルトとみなされること」。出典:iFinance 

 

恒大集団の見通しは急激に悪化している。同社が発表した声明によると、9月の契約売上高は「大幅な継続的減少」が見込まれ、その結果、現金回収が「継続的に悪化」するという見通しが出されている。こうした事態は、恒大集団のキャッシュフローと流動性に「とてつもなく大きな圧力」をかけることになる。

 

そして最後に、声明の中で、恒大集団は、同社子会社である新エネルギー車(NEV)メーカー「中国恒大新能源汽車集団」と不動産管理会社の「恒大物業集団有限公司」の株式売却について「重要な進展」がなかったことを認め、さらに香港のオフィスビルの売却も予定通りのスケジュールで完了していないことを明らかにした。これはつまり、恒大集団のデフォルト(債務不履行)が数日以内に起こることが不可避となったことを意味する。

 

一言でいうと大惨事である。そしてチャイナ最大の不動産開発企業の倒産という大惨事は、何万人ものチャイナの人民たちが反乱を起こし始めている中、同時並行で起きている。3000億ドル(約33兆円)以上の巨額の負債を抱えた企業が倒産すれば、チャイナの一般人民たちが被る損失も甚大なものとなる。そうなれば、これまではほぼ平和に行われてきた抗議デモ活動は暴動に発展する可能性が高い。

 

 

昨日伝えた通り、13日(月曜)遅くに恒大集団の深圳(深セン)本社には、同社が滞納しているウェルスマネジメント商品(理財商品)の返済を求めて数十人の人々が集まったため、警察が出動する事態となっている。財新の報道によると、抗議者の数は日曜には数百人に上ったという。すべてを失いそうな株式投資家に加えて、住宅購入者や債権者、さらには自社の従業員までもが怒りに満ちて抗議デモに参加している。

 

ブルームバーグ・インテリジェンスのクレジット・アナリストであるダニエル・ファン氏は次のように分析している:

資産売却の具体的な結果が出ないまま、彼らは債務整理に取り組んでいるようだ。しかし(彼らが取り組むべき)第一の課題は、社会問題にもなりかねないウェルスマネジメント商品の保有者を安定させることだ

 

恒大集団はオンショアの債務のほとんどを繰り延べしようとしている。次のステップはオフショアの投資家にも同じことをすることだ。

 

つまり、恒大集団の債券のデフォルトが差し迫っているということをファン氏は指摘している。残された唯一の問題は、債権者がどれだけ資金を回収できるかということになる。

 

デフォルトはどれほど差し迫っているのだろうか?ブルームバーグ通信によると、恒大集団の2つの部門が9億3,400万元(約159億円)相当のウェルスマネジメント商品の保証義務を期限内に履行できなかったと同社は発表している。さらに、同社は現在、発行者や投資家と返済方法について協議中であると発表している。もし恒大集団が解決に至らなければ、すべてが終わりとなり、破産手続きが始まる。

 

投げ売りを狙った投資家たちはすでに恒大集団のドル建て債券に集まっており、その価格は額面1ドルあたり25~30セント程度で取引されている。シティグループによると、市場では債務再編の可能性が織り込まれているため、これは特にリスクの高い危険な取引だという。債務超過に陥った恒大集団の社債は、最も打撃を受けた企業に賭けるタイプの投資家を引き付ける水準で取引されているという。しかし、ドル債の保有者は債務再編で優先されない可能性があり、解決には何年もかかるとシティグループは警告している。

 

シティグループのストラテジストであるW.R.エリック・オロ氏は次のように記している:

オフショアのホールドコ(**)の債務は、オンショアの担保付き銀行債務やオペコ(事業体)の債務に比べて非常に劣後(後順位)のものであり、いかなる再編においても回収額が低くなる可能性があることに注意してください。

 

債権者の請求に応えるために恒大集団の膨大な土地抵当銀行を処分することは、法的手続きが長引く可能性があります。

 

(**)Holdco(ホールドコ)とは?:「持ち株会社の契約であるholdcoは、別の会社の支配株を所有するために作成された会社」。出典:Netinbag.com 

 

また、オロ氏は、恒大集団に関する解決策には、中核資産の強制的な売却や、一部の債務クラス(特にドル建ての債務)の「ヘアカット(資産価値の目減り)」が含まれる可能性があると推測しており、恒大集団のオフショア債は、オンショアの債務再編における銀行やオペコの借入金よりも劣後するものとして扱われる可能性があると指摘している。一方、野村證券のクレジットアナリストであるアイリス・チェン氏は、債務再編は「ほぼ避けられない」と語り、社債権者が彼らの資金の25%を回収するというベースケースのシナリオを予測している。

 

恒大集団の債券は、これから先、あまり下がる余地はなく、むしろショートスクイーズが起こりやすい。しかし、同業他社はそうはいかず、デフォルトの余波が広がることが予想される。そして実際、恒大集団の株価が再び急落し、8.6%も下がって2014年以来の安値を記録したのに加え、破産アドバイザーが雇われたというニュースを受けて、以前から恒大集団への大きな収益エクスポージャーを開示していた金融機関や企業の株価も引きずられ下落している。例えば、中国民生銀行は香港市場でマイナス1.2%の下落、中国工商銀行は少なくともマイナス0.6%下落、Suning.com(蘇寧易購)はマイナス0.4%下落、北京佳宇ドア・ウィンドウ・カーテンウォール合弁会社はマイナス1.7%、深圳グランドランドはマイナス1.4%、SKシュウ・ペイントはマイナス3.5%となっている。

 

打つ手がなくなり恒大集団がついに白旗をあげることになれば、チャイナ版「リーマン・ショック」が到来する。

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