AppleのCEO、ティム・クック氏、スタンフォード大学の卒業式スピーチでFacebookを「カオス工場」と非難
AppleのCEO、ティム・クック氏と、初期のFacebookに投資を行なった一人である投資家のロジャー・マクナミー氏は、それぞれFacebookを非難する発言を行なった。ティム・クック氏は、暗にFacebookのことを「カオス工場」と呼び、マクナミー氏はFacebookがユーザを「データのブードゥー教人形」にしていると揶揄した。
全米のIT業界内部の人々から、Facebookに対する厳しい意見が高まっている。Business Insiderが報道した内容によると、AppleのCEO、ティム・クック氏は、最近行われたスタンフォード大学での卒業式のスピーチで、名指しこそ避けたものの、シリコンバレーの大企業たちが無責任な企業活動を行なっていることを批判した。
クック氏は自身のスピーチの中で、Facebook、YouTube、そしてTheranos(Elizabeth Holmes氏がトップを務める詐欺的な血液検査企業)を暗に示唆して批判している。以下はクック氏のスピーチの内容の一部を翻訳したもの:
「我々は毎日のようにそれを目撃する。あらゆる情報漏洩、プライバシー侵害、ヘイト・スピーチへ目をつむる行為、我々の国家的な議論に弊害をもたらすフェイクニュース。(略)あなたが好むと好まざるとに関わらず、あなたが生み出し築き上げるものが、あなた自身が何者であるかを決定する。こんなことをわざわざ言わないといけないことは少し変だと思われるかもしれないが、あなたがもしカオス(混沌を生み出す)工場を作ったならば、そのカオスに対する責任から逃れることはできない」
クック氏はさらに、良かれと思って良心から行なった行為であったとしても、シリコンバレーの大企業たちは自らが引き起こした損害から逃れることはできないとも語っている。
クック氏のスピーチの数日前に、マクナミー氏は金融系ケーブルテレビ局CNBCのインタビューに登場。マクナミー氏は、Facebookの初期の投資家であるだけでなく、FacebookのCEO、マーク・ザッカーバーグ氏のメンターでもあった人物。マクナミー氏は、今年2月、“ZUcked”というタイトルの書籍を出版し、その中でザッカーバーグ氏を批判している。さらに同氏はFacebookやGoogleなどの企業に対して厳しい言葉を向けている。同氏はこれらシリコンバレーの大企業たちは「あらゆる人たちのデータを収集し、(ユーザたちを)データのブードゥー教人形にし、それを使って人々に与える選択肢を巧みに操作し思い通りにしようとしている」と語っている。(ブードゥー教では人に呪いをかけたりまじないをかけるために人形を用いる。つまり人を思い通りに動かそうとする企みにユーザたちが使われているということ。)
さらにマクナミー氏は、FacebookとGoogleによる「人々の行動を巧みに操作する戦略」を、中国政府が導入しているソーシャル・クレジット制度と比較している。中国政府は、人々の行動を元に、「良い行動」には褒美を、そして「よくない行動」には罰を与える制度を導入している。最近ウォール・ストリート紙が報じた内容によると、同社CEOのマーク・ザッカーバーグ氏が、実はFacebookにおける問題あるプライバシーの扱い方について、当初思われていた以上に認識していたことを示す複数のeメールが見つかったという。同社はこのことが企業イメージの低下につながるのではないかと懸念している。この記事のタイトルは、「ザッカーバーグ氏が実は問題あるプライバシーの取り扱いが常態化していたことを認識していたことを、複数のeメールが示しうるとFacebookが懸念(Facebook Worries Emails Could Show Zuckerberg Knew of Questionable Privacy Practices)」となっている。
現在、Facebookは、2016年の大統領選挙に多大な影響を与えたとされるケンブリッジ・アナリティカ(Cambridge Analytics)の事件を含め、Facebookの個人利用者データの扱い方に関して、アメリカ政府当局(FTC)の捜査に協力している。しかし、ザッカーバーグ氏はユーザ・データの取り扱いの誤りがどの程度であったかについて全く知らなかったとFacebook側は主張している。Facebookは、米国および世界各国において利用者データの扱い方に関して複数の当局から捜査対象となっているだけでなく、複数の訴訟も起こされている。
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