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米株式投資の60%がパッシブ運用、20%がクオンツ運用

世界最大の資産運用会社である米BlackRock, Inc. は、第2四半期の実績を本日発表した。特に、同社の債権運用に流れ込んだ資産は多額で、昨年同時期の264億ドルから1100億ドルへと急増した。

 

BlackRockへ新たに流れ込んだ資産は過去最多の1510億ドルで、これにより同社が運用する資産総額は1年前の6兆3000億ドルから6兆8000億ドルへ増加した。ただし、売上高は35億ドルで昨年から2%のマイナス、純利益は10億ドルと昨年から7%のマイナスとなった。この発表を受け、同社の株価はほぼ横ばいで取引された。同社株価は年初来から21%上昇している。2016年9月30日にアナリストによるベア気味の分析が行われて以来、BlackRockの株価は31%の上昇。同時期、S&P 500は37%の上昇だった。

 

BlackRockのような資産運用会社に投資資金が流入しているということは、アクティブ運用ではなく、ETFやインデックス・ファンドのようなパッシブ運用が拡大していることを意味している。6月28日にJ.P.Morganのストラテジスト、ドブラブコ・ラコス・ブハス氏が発表した調査によると、全米の株式に投資された資産の60%がパッシブ運用されており、またさらに別の20%はクオンツ運用されている。つまり、全米の株式投資の80%が、パッシブ運用や数量モデルに基づいたシステム運用がなされており、資産運用マネジャーの専門性やスキルを必要としない。

 

しかし、BlackRockで総運用資産が増加しながらも売上高と純利益率が低下しているように、手数料収入は減少する傾向にある。BlackRockの営業利益は、1年前の39.9%から36.3%へと減少している。Edward Jonesのアナリストであるカイル・サンダース氏は次のようにコメントしている:「手数料比率は徐々に低下し続けており、資産運用会社はそれよりも早く売り上げを伸ばす必要がある。つまり、減少する手数料比率よりも早くビジネスを成長させなければいけないが、資産運用会社のほとんどはそれが可能だ」。

 

BlackRock自身も、縮小する手数料収入が悩みの種であることを匂わせている。6月13日、同社のラテン・アメリカ部門トップで取締役のアルマンド・センラ氏は、メディアに対してBlackRock社は低コストへの資産の移動と戦っていると語っている。「純粋にコストに対してあまりに強調されすぎている。我々は、質について十分に説明しきれていない。これは、我が社が(コストの面で)競争的にならないという訳ではなく、我々は(抵コスト競争で)競わなければいけない。この市場は競争が激しい市場だ。しかし、私であれば単なる低コスト争いからは距離を取るだろう」。

 

実際には、BlackRockはこの「低コスト競争」に参戦している。4月8日、BloackRockは、同社の社債ETFの手数料を下げたとBloombergが報じた。「しかし、この手数料削減の動きを大々的に発表するのではなく、この値下げは先月修正版が提出された財務報告書の94ページ脚注で記載されただけだった」。

 

資産運用市場の他のプレーヤーたちはBlackRockほど遠慮がちではない。火曜日、Fidelityは、4つの株式インデックス・ファンドを創設したことを発表したが、これらファンドの手数料は5ベーシスポイントだ。これは同様のファンドに対して6〜19ベーシスポイントの手数料を取っているVanguard Groupを下回る手数料比率であり、資産運用市場は手数料の「価格競争」に突入している。

 

BlackRockが、どのようにこの「価格競争」を戦っていくのだろうか。同社が運用する総資産の65%弱がインデックス・ファンドまたはiShares ETFに投資している。ベースとなる管理費用(手数料)収入は、今年前半の6ヶ月間における同社売上の84%を占めている。現在、株価は上昇基調にあるため運用資産は成長しているが、これが株価下落へと一転すれば、BlackRockにとって売上高を直撃する問題となる。

 

BlackRockのCEOであるラリー・フィンク氏は今朝CNBCに出演し、「ECB(欧州中央銀行)が、本当にヨーロッパ経済を再び刺激するつもりであるならば、彼らは株式を購入しなければいけない」と発言し、欧州中央銀行に対して金融政策をさらに実施する必要性を訴えている。

 

Photo via BlackRock

 

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