フロリダ州の上水道にハッカーが侵入し、水処理に利用される化学物質を人体に危険なレベルにまで上げる
フロリダ州オールズマー(Oldsmar)市で、上水道施設のコンピュータにハッカーが侵入し、水処理の際に投入する水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)を「危険なレベル」にまで急上昇させたと、同州ピネラス郡のボブ・グアルティエリ保安官が2月8日(月曜)に発表した。CBS系列の地元テレビ局が報じた。
以下の動画は記者会見を行うグアルティエリ保安官:
犯人は、先週金曜朝に水道処理施設のコンピュータへ侵入した。連邦当局と地元当局は、現在、この危険なハッキング行為について捜査を進めている。
田舎の小さな市であるオールズマー、ここで上水道施設を管理している作業員たちは、彼らのモニター画面に奇妙な動きが起きていることに気付いた。水に含まれる重金属を取り除く際、水の酸性度合いをコントロールするために少量が加えられる水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)のレベルが、この時、遠隔操作され上昇したことに技術者たちは気がついた。
技術者たちは、外部からの不正アクセスによりこの化学物質の投入レベルが操作されていることにリアルタイムで気がつき、すぐさま水酸化ナトリウムのレベルを安全で正しいレベルに修正した。地元メディアの報道を元に、AP通信は次のように報じている:
処理施設の作業員は、まず最初に、金曜の朝8時頃、誰かがシステムに短期間のアクセスをしていることに気がついた。
午後1時半頃、誰かが再びシステムにアクセスし、マウスをコントロールし、そして水処理をコントロールするソフトウェアにまでマウスを移動し、水酸化ナトリウムの量を上昇させた。
このハッカーが単独犯か複数犯かはまだ判明しておらず、逮捕者もまだ出ていない。ボブ・グアルティエリ保安官が発表した内容を、地元新聞社のTampa Bay Timesは次のように報じている:
同市の上水道処理施設のコンピュータに誰かが遠隔でアクセスし、「苛性アルカリ溶液(あく)」としても知られる水酸化ナトリウムを100倍以上に、わずかの間上昇させたと、グアルティエリ保安官は月曜の記者会見で語った。この化学物質は、処理水の酸性レベルをコントロールするために少量が利用されている。この化学物質は、排水管用の液体洗浄剤のような、家庭にある洗剤用品の中にも一般的に含まれている腐食性薬品である。
「今回の出来事は明らかに重大なことであり、潜在的に危険な事態を引き起こすような(薬品レベルの)上昇である」とグアルティエリ保安官は語った。
また、同保安官は、ハッカーがシステム上で行った操作は早期に発見されたため、一般市民に被害をもたらす事態には発展しなかったと説明した。また次のようにも語った:
たとえこの水処理施設の作業員が、水酸化ナトリウムの量が急増したことにすぐには気がつかなかったとしても、その水が水道管に流れ込むまでに24〜36時間かかっていただろう。
オールズマー市のこの上水道施設は、約1万5000人の住民と数十の事業主に飲料水を提供している。このハッカーは、オールズマー市全体の飲料水を毒物で汚染しようとしたようである。
グアルティエリ保安官は、他の地域の上水道施設に同様の違法なアクセスがあったかについては把握していないが、各地方自治体に対して各自のインフラ施設を注意して監視し、安全対策が万全であることを確認するようすでに要請したと語っている。
フロリダ州選出のマーク・ルビオ上院議員(共和党)は、この事件について次の投稿を行なっている:
I will be asking the @FBI to provide all assistance necessary in investigating an attempt to poison the water supply of a #Florida city.
— Marco Rubio (@marcorubio) February 8, 2021
This should be treated as a matter of national security.
https://t.co/XhGNLplNpr via @vice
【訳】フロリダ州の一つの市の飲料水を汚染しようとした試みを捜査するために必要なあらゆる協力をFBIが提供するよう私は要請する。
本件は、国家安全保障の問題として扱われるべきだ。
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