「中国共産党は西側のエリートが作り上げた怪物」とスティーブ・バノン氏
ファーウェイは、アメリカの国家安全保障にとって過去最大の脅威であり、核爆弾よりも大きな脅威であると、元ホワイトハウス首席戦略官のスティーブ・バノン氏がエポックタイムズに語った。彼の発言で最も興味深い部分は、「中国共産党は、西側エリートたちが資本や技術力を提供して作り上げた怪物フランケンシュタインだ」というコメントだ。つまり、安価で大量の労働力を搾取できる中国共産党という体制を作り上げることで、西側エリートは自ら中国から利益を搾取するという仕組みを作り上げたと語っている。
さらにバノン氏は次のように語っている:
将来の技術の背骨になるのは5Gだ。現在、ファーウェイが中国人民解放軍のフロント組織として取っている道筋は、基本的に全世界の通信ネットワークおよび通信機器を乗っ取るということだ。
この先2年でもこの状況を許してしまえば、ファーウェイは西側の通信システムをコントロールすることになり、つまりは西側をコントロールできてしまうという事態になる。
中国共産党政権下の法律では、企業は中国共産党政権に協力する義務があり、要請されればデータを提供しなければいけない。米国連邦議員たちは、ファーウェイ製品を利用することで中国共産党はスパイ行為を行うことができ、通信ネットワークを切断することができるという事実を強調している:
「ファーウェイは、基本的に世界を支配するハイテク手段を持っている」とバノン氏は語る。彼の見解によると、ファーウェイは何年にもわたって秘密裏に事業を拡大してきた。
ファーウェイのホームページによると、同社は170カ国以上で事業展開しており、30億人以上のユーザにサービス提供している。
ファーウェイの脅威については、バノン氏がエグゼクティブ・プロデューサーを務めた新作映画「Claws of the Red Dragon(赤い龍の爪)」で詳しく描かれている。(同映画についてはここ「新作映画「赤い龍の爪」:スティーブ・バノンがファーウェイの脅威を映画化」で詳細を報じている。)
「この映画を見た人々はショックを受けるだろう。この映画は多くの議論を巻き起こすことになり、多くの人たちの話題にのぼる。それを目指している」とバノン氏は語っている。同映画は54分間で、9月にNew Tang Dynasty Televisionから米国で公開される予定。
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ファーウェイのCFO、孟晩舟が逮捕されたことで、ファーウェイによる何十年にもわたって行われてきた不正が明らかになってきている。「米司法省やその他の政府機関はこのことを追及してきたにも関わらず、ではなぜ、ブッシュ政権もオバマ政権もその逆のこと(すなわちファーウェイを見逃す)ことを行ってきたのか?」という質問に、バノン氏は次のように答えている:
「(民主・共和)両党の全ての政権、全ての大統領は、中国との政治の表舞台に立つと降参してきた」。そして中国共産党政権が自由に約束を破ることを許してきた。
バノン氏によると、問題の核心は、アメリカの経済界と中国共産党が結託していることだという。
私はこの例え話で説明している:ウォール街は中国共産党のIR部門(投資家向け広報部門)である。なぜならウォール街が、中国共産党のために資本を調達しているからだ。そしてアメリカの企業は、(中国共産党のための)ロビースト団体である。
バノン氏の目から見て「悲劇であり犯罪行為」であるのは、アメリカ経済界のエリートたちが、中国政府によるとんでもない人権侵害を見て見ぬ振りをして、中国政府と協力してきたということだ。
彼ら(アメリカ経済界のエリートたち)は、そのことを全て知っている。しかし彼らは気にしないのだ。(中国政権と協力することは)より多くの利益を意味する。それは株価がより高くなることを意味する。それはより安価な奴隷労働を意味する。
ウォール街は、(中国政権にとって)チアリーダーのような応援団だ。そしてアメリカの企業は、ロビースト団体だ。
彼ら(ウォール街)には道徳観が欠如している。彼らは、完全に腐敗したシステムに全て取り込まれてしまっている。そして彼らはそのことを認識している。しかしそれなのに、彼らはドナルド・トランプをからかい、彼は野蛮だと言う。彼はワイルドな男だ。彼は、このシステムの破壊者だ。
バノン氏はさらに、「ウォール街やアメリカ経済界のエリートたちの手は、彼らが犯した罪と血で汚れている」、なぜなら彼らは中国共産党政権と密接に関係することで利益を貪ってきたからだと言う。
その罪の代償を支払うことになるのは、この国(米国)の中産階級の勤労者である男性であり女性たちなのだ。
過去20年以上に渡って、我々は米国の産業を空洞化させ、製造業の仕事を中国に移管させてきた。そしてその代わりに、中国はオハイオ州、ペンシルバニア州、ミシガン州などの古い製造業地域にオピオイドやフェンタニル(麻薬)を輸出してきた。」
アメリカの元製造業地域で働いてきた労働者たちは、うつ病に苦しみ、将来の仕事に絶望してしまったことで、特にこうした中国から輸入される麻薬の犠牲者になっている。
これは単なる危機ではない。これはアメリカにとっての悲劇だ。(ウォール街や企業のエリートたちは)この時代にアメリカで何が起き、中国で何が起こったか、そして彼らがそれを知りながら目を背けてきたことは、歴史によってその責任が問われることになる。
ドナルド・トランプが大統領になった中心的な理由はこれだ:私たちはアメリカがかつて偉大だった頃に戻すと彼は言った。我々はアメリカを再び偉大にしなければいけない。その方法は、中国共産党と対峙することだ。ウォール街はこれら製造業の仕事を中国に移動させてしまった。しかし私はそれを取り戻すと彼は言った。
バノン氏によると、中国共産党に真っ向から立ち向かった大統領はトランプが初めてだという。
中国が750億ドル分の米国製品に対抗関税を発表すると、8月23日、トランプは関税をさらに上げ、米国企業に中国から脱出するよう命令した。アメリカの経済界にとって、これは「警告」となったとバノン氏は言う。
米国企業に中国から撤退することを命じる大統領の権限を信じない人たちの間で、トランプの「命令」は議論を巻き起こした。
しかしバノン氏は、1976年国家非常事態法により、「彼には緊急事態の場合の権限がある」と指摘する。さらに、多くのアメリカ人は、中国の支配体制を明確に理解していないと語る。
自由貿易を唱える人々は、善意に基づいている。しかし、彼らは往々にして自由貿易に関してアダムスミスの書物に書かれているような理想主義的でソフトな考え方を持っており、全体主義で重商主義の国家を運営している犯罪組織がいることを理解していない。
何十年もの間、アメリカ人は嘘を信じ込まされてきたと彼は言う。つまり、中国がWTOに加盟し最恵国待遇を受け、豊かになり中産階級が生まれれば、中国は次第に民主化され法の支配による自由市場のようになるという嘘だ。
しかし我々はそれとは全く逆の事態を目撃してきた。過去20年間、中国共産党はより過激化してきている。なぜなら、彼らは全体主義体制だからだ。一部のエリートたちが利益を貪るシステムだ。
ロンドンの(高級住宅街)ベルグラビアやウェストエンドに行ってみると、その多くは中国資本の所有物だ。中国の人々の資金ではない。毎日工場で日給1ドルで汗水たらして働いている中国人労働者のお金ではない。(西側の)エリートたちと中国共産党が中国の奴隷労働から搾取し、銀行や投資銀行を通して資金洗浄し、そうしたお金を使って西欧社会で購入した不動産だ。
中国共産党は、西側のエリートたちが作り上げた怪物フランケンシュタインだ。西側のエリートが提供した資本、西側のエリートが提供した技術によって作られた。
(バノン氏が設立したニュース・メディア)ブライトバートでは、興隆する中国ではなく、中国共産党の脅威について、そして中共がますます過激化してきており、いかに世界を支配しようと計画しているかを報道してきた。
中国の人々は、地球上で最も勤勉な人たちに含まれ、まともな人たちだ。彼らは中国共産党による全体主義の監視国家で奴隷化されており、中国共産党内部の過激な幹部たちが中国の人々を抑圧し、奴隷化している。
中国政権の本質は、香港のデモ参加者たちを警察がどのように扱っているかを見ることで特に明らかになっているとバノン氏は言う。
催涙ガスが人民に対して使われることや、人々が殴打され、ゴム弾が使われるのを目撃して、彼ら(中国共産党)の本質がわかる。これは個人の人権など全く信じていない犯罪組織だ。
彼らがウイグル人に対してしてきたこと、ダライ・ラマにしてきたこと、チベットの仏教徒にしてきたこと、福音主義キリスト教徒にしてきたこと、法輪功にしてきたこと、地下に潜んでいるカトリック教徒にしてきたことは、全く受け入れられない。これら行為は、いかなる法の支配にも従わない犯罪行為だ。
21世紀前半に起きる決定的な出来事は、中国国民の解放だろう。中国の解放は、香港から始まると私は考えている。そこから広がると思う。
香港の人々は、地球上で最も規律正しくまともな人たちに含まれる。香港は基本的に岩の島で何の資源もないが、中国人の決意とガッツがイギリスの慣習法と合わさることで、世界で第3位の資本市場を作り上げた。
歴史的に、香港人は政治に無関心でビジネス重視の傾向があった。しかし今、何百万人もの香港人たちが、中国に容疑者を引き渡すことを合法化する容疑者引渡し条例に反対するために、過去数週間以上にわたって街頭に押し寄せている。
彼らは宗教の自由、集会の自由、表現の自由のために立ち上がっている。彼らは自由市場の資本家である。彼らの多くはキリスト教徒である。全体主義体制による暴力に対して、若者たちが屈しない様子を目にすることは私の心を強く打つ。
こうした若い男女は、1776年のアメリカに存在した愛国者たちと同じだ。彼らにはガッツがあり、決意があり、不屈である。彼らは引き下がらない。彼らには何度も何度も催涙ガスが向けられ、殴打され、ゴム弾で撃たれるが、彼らは街頭に現れる。
彼らは現代世界の英雄だと思う。彼らは、ノーベル平和賞候補にノミネートされるべきだし、実際に受賞するべきだ。
中国共産党が天安門で民主化運動のデモ参加者たちに対して行なったように、香港のデモ隊を踏み潰そうと中国共産党が決定した瞬間、つまり中国政権が天安門広場の大虐殺を繰り返す瞬間、「それは中国共産党の終わりの始まりになる」とバノン氏は語る。
そうなれば、中国は西側の技術や資本市場から瞬く間に排除されるだろうと彼は予想する。しかしより重要なのは、「たとえファイヤーウォールがあっても、自由の風が中国大陸に広がり始めるということだ」。
最終的に、中国の人々は立ち上がり、「10万人や5万人程度の人々が14億人の国を支配し、私たちのお金を盗み、私たちの富を盗み、それを自分達だけのものにし、私たちを全体主義の監視国家に閉じ込めている状況は終わりだ」と言うだろうとバノン氏は考えている。
「中国の人々だけが、彼ら自身を自由にすることができる」と彼は言う。しかし、西側の我々は、中国政権による反体制派の人々や宗教の信者たちへの暴力的迫害にスポットライトを当てることで支援することができる。
ファーウェイの内情を暴露した映画「Claws of the Red Dragon(赤い龍の爪)」は、中国共産党による不透明な内部の仕組みを世界の人々に知らせることである。同映画の中で、カナダ政府の人間たちが、中国政権の責任を追及するべきかどうか葛藤している様子や、そうすることで中国に居住しているカナダ人の安全を脅かすことになることが描かれている。事実、昨年12月、中国政府は2人のカナダ人をスパイ容疑で逮捕した。このことは、カナダ政府がファーウェイのCFO、孟晩舟を逮捕したことの報復だと広く受け止められている。
「Claws of the Red Dragon(赤い龍の爪)」は勇気についての映画だ。普通の人々が、中国共産党のような巨大体制と対峙するときに直面する困難な道徳的ジレンマに焦点を当てている。人々が常に倫理観と自己保身を天秤にかけているという緊迫した状況を描いている。これはとても力強い映画だと思うし、この映画に関わることができたことをとても誇りに思う。
真実を追求し、自身のさらなる倫理的高みを追求することには、大いなる犠牲が伴う。まるで香港で起きている状況だ。彼らは大いなる犠牲を払っている。彼らは投獄され、殴打され、彼らのキャリアは終わったと言われている。現代社会で、これは非常に大きな犠牲だが、彼らは引き下がることを拒否している。彼らは、自身の高みを目指して立ち上がっている。
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