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アメリカの老舗VCが出資先ベンチャー企業を集めて緊急会議:IPOではなく直接上場をアドバイス

Benchmark Capital partner Bill Gurley

IPOを無期限撤回したWeWorkをはじめ、そこに出資するSoftBankのビジョンファンドもその過剰なリスクが露呈し、先週行われたPelotonのIPOも2008年以来最悪の初値をつけた1社となった。世界のIPO市場が冷却し始め、それに伴いM&A市場も減衰し始めていることを示すサインがそこかしこに現れている。

 

アメリカ西海岸に拠点を持つ一流のベンチャーキャピタリスト(VC)たちが、今週火曜、出資先である100社以上のベンチャー企業らと緊急会議を開いた。この会議で、今年、数々のIPOの失敗が続いたことから、この先1年間はIPOを実施しないことや、資金調達には直接上場を活用することなどのアドバイスが行われた。

 

この緊急会議を開催した主催者の1人であるBenchmark Capitalのパートナー、ビル・ガーリー氏は、この緊急会議では24社のVCが100社以上のスタートアップ企業に対して、2020年にいかに株式公開を行うべきかアドバイスを行うことを目的にしているとロイター紙に語った

 

ガーリー氏は、特に最近、Pelton、Uber、そしてLyftなどのIPOが大失敗に終わっていることを考えると、ITスタートアップ企業は、従来の投資銀行が引き受け業務を行うIPOではなく、もっと信頼できる代替策が必要となっているとCNBCに出演した際に語った(以下はその際の動画)。

 

彼はゴールドマンサックスやJPモルガンのような投資銀行についても警告した。これら投資銀行は、IPO初日の公募価格を意図的に割安にすることで、スタートアップ企業から資金を巻き上げてきたと彼は語っている。

 

 

「割安に設定されたIPO時の公募価格により、スタートアップ企業はより少ない資金しか調達できず、VC投資家などアーリー・ステージの企業に出資してきた投資家たちにとっては投資先企業のバリュエーションを下げることになる。また、IPOで持ち株を売却する投資家や株を持っている社員たちにとっては、自分たちが保有している株式を適正な価格で現金化できないことを意味する」とロイター紙は指摘している。

 

JPモルガン銀行を退職し、現在はRevolution Venturesのマネージング・パートナーであるデービッド・ゴールデン氏は、IPO当日につける株価が全てではないと語る:

 

「もし取引開始後の数日間、リテール市場の景況感のおかげで株価が2倍になり・・・そして次の2、3ヶ月、もしくは4ヶ月で株価がジワジワ下がっていったら、それは公募価格を正しくつけたことになる」とゴールデン氏は語った。

 

ゴールデン氏は、増資を行う必要がないITスタートアップ企業にとっては、直接上場は正しい解決方法になりうるとも語った。

 

ベンチャーキャピタリストの1人がロイター紙に語った情報によると、Airbnbは2020年中に直接上場を行う可能性があると語っている。

 

IPO市場のバブル崩壊が近づく中、VCたちは直接上場を利用して、価値がないユニコーン企業のなりそこないの株式を、何も知らないリテール投資家に売りさばこうとしているのかもしれない。これも一種の「ババ抜き」ゲームだ。

 

Screenshot via CNBC

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