米連邦裁判所、空港の入国審査で疑いのない旅行者の携帯電話やラップトップの中身を調べることは違憲と判断
ボストンの連邦裁判所は本日、米国の空港やその他の国境の通関手続き地を通って入国する旅行者に対して、彼らが疑わしくないのに、連邦職員が彼らの電子機器を調べることは違憲であるという判断を下した。これはプライバシー権を保護する活動にとって大きな勝利である。
この判決は、11名の渡航者の代理人として、米国自由人権協会(ACLU: American Civil Liberties Union)、電子フロンティア財団(EFF: Electronic Frontier Foundation)、マサチューセッツ州ACLUにより提訴されていた「アサード対マクアリーナン(Alasaad v. McAleenan)訴訟」に対して下された。これら原告の11名は、米国国境の通関手続き地で、個別に具体的な嫌疑がかけられていなかったにもかかわらず彼らのスマートフォンやラップトップ・コンピュータが連邦職員によって調べられた。
米国自由人権協会(ACLU)の言論・プライバシー・テクノロジー・プロジェクトの弁護士であるイーシャ・バンダリ氏は本日の判決を受けて次の声明を発表した:
この判決は、毎年、数百万人にのぼる外国からアメリカへ入国する渡航者たちを保護している合衆国憲法修正第4条(*)を大きく進展させるものです。裁判所は、嫌疑がかけられていないのに法的尋問を行うことができるという政府の能力に終止符を打ち、国境が無法地帯ではなく私たちが渡航する際にもプライバシー権を失うことはないことを改めて確認しました。
(*)合衆国憲法修正第4条
不合理な捜索および押収に対し、身体、家屋、書類および所有物の安全を保障されるという人民の権利は、これを侵してはならない。令状は、宣誓または確約によって裏付けられた相当な理由に基づいてのみ発行され、かつ捜索すべき場所、および逮捕すべき人、または押収すべき物件を特定して示したものでなければならない。(引用元:権利章典)
電子フロンティア財団(EFF)の上級スタッフ弁護士のソフィア・コープ氏は次の声明を発表した:
本日は渡航者たちにとって素晴らしい日となった。渡航者たちは国境を通過する際に、政府が嫌疑がないにもかかわらず、私たちが電子機器の中に保存している非常に個人的な情報を政府が探し回るのではないかという恐怖を抱かなくてもよくなった。
本日、連邦地方裁判所が下した判決により、税関・国境警備局(CBP)および移民税関捜査局(ICE)が、移民法や関税法の執行権限からかけ離れた目的のために、渡航者の端末を調べて没収できると主張していた権限に終止符を打つことになる。本日以降、国境で勤務する連邦職員は、渡航者の端末の中身を調べる前に、密輸品や禁制品といった個別の嫌疑があることを説明しなければいけない。
米国国境の通関手続き地で政府職員によって調べられた電子端末機器の数は急増している。昨年、税関・国境警備局(CBP)は3万3000件以上の端末を調べており、これは3年前にくらべて4倍の数となっている。
ここ数ヶ月、海外からアメリカに帰国した旅行者たちが、政府職員による横暴な調査を受けたと報告する事例が多数発生している。国境管理官は原告の1人であるザイナブ・マーチャントの携帯電話を調べた際、弁護士と依頼者間の秘匿特権があるのを知っていながらその内容を探し出し調べた。また、ボストン・ローガン空港の移民審査官は、ハーバード大学に入学予定の新入生の携帯電話とラップトップを調べ、その学生の友人たちが米国政府に批判的な投稿をソーシャルメディアに行なっていることを叱責したうえ、その学生が米国に入国することを却下したと報じられている。
判決内容の原文はここで閲覧できる:https://www.eff.org/document/alasaad-v-nielsen-summary-judgment-order
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