成都も都市封鎖か。新型コロナウィルスによる死者数は813名に。2003年に発生したSARSによる合計死者数を上回る
【最新情報】
- 湖北省の政府が、土曜、さらに81名が死亡したと発表。武漢肺炎による合計死者数はこの時点で806名。2002年〜2003年に発生したSARSによる合計死者数を上回る。
- 都市封鎖は中国第6位の人口(1440万人)を持つ成都に拡大か。
- 成都の都市封鎖の情報が拡散し始めた直後、中国の国家衛生健康委員会は、一晩で死者数は89名増え、中国全土で合計811名になったと発表。これは1日の増加人数としてこれまでで最大。一方、2649名の感染者が完治したと報告。
- 中国政府は、2月8日、一晩で新規の感染者数は2652名増加し、合計3万7198名になったと発表。また、感染が疑われる新規の感染者数は3916名であり、合計2万8942名になったと発表。
- 合計18万8183名が治療を受けており、前日の18万9660名から微減。
- 初のアメリカ人の死者が発生。
- 土曜、中国国内で初の日本人(60代)の死者が発生。しかし中国当局はこの患者が新型コロナウィルスに感染していたとは日本政府には伝えていない。
- フランス政府は国内のスキーリゾート地であるオランジュでイギリス人観光客5人が発症したため、同市への渡航警告レベルを上げる。
- 武漢市における感染が疑われる市民の検挙・拘束が継続中。
- 中国政府はiPhoneを製造しているフォックスコンの工場の再開を阻止。
ニューヨークタイムズ紙とウォールストリートジャーナル紙はそれぞれ、武漢に残っているアメリカ人のうちの1人が、武漢肺炎(新型コロナウィルス)で死亡したと報じた。アメリカ人として初の死者となる。
死亡した女性の詳細情報について、60歳という年齢であったことと死亡した場所以外、速報では伝えられていない。ただし、ニューヨークタイムズ紙は2人の人物からの情報として、この女性が以前から健康問題を抱えていたと報じている:
木曜に死亡したこのアメリカ人についての詳細は、速報で伝えるにはほとんど入手不可能であった。北京の米国大使館によると、この人物は60歳であり、この流行病の発生源である大都市、武漢にあるジンインタン病院で亡くなったという。本件に詳しい2人の人物は、この人物が女性であり持病があったと語った。
この亡くなった女性が、アメリカ政府が用意したチャーター機で中国からの脱出を試みていたかについては不明である。
アジア人だけでなく、アメリカ人女性が死亡したというニュースは西欧世界に衝撃をもたらしており、中国政府が発表する感染者数や死者数に関する「公式データ」に対してますます疑惑の目が向けられる要因となっている。事実、中国政府が発表する感染者数および死者数は、1月当初、指数関数的に急拡大していたのが、現在、発表される新たな感染者数は横ばいとなっている。また武漢肺炎と確認された死者数も、SARSによる死者数の合計をわずかに超えたとはいえ、その数は800名近辺で高止まりしていることも疑惑が払拭されない要因となっている。
アメリカ政府も中国政府の対応に不満を抱いている。先月、米疾病対策センター(CDC)が専門家チームを派遣する提案を行ったが、中国政府はその申し入れを断っている(しかしマスクやその他の医薬品については米国政府から受け取っている)。世界保健機構(WHO)からの申し入れも、中国政府は断っている。
米保健社会福祉省(HHS)のアレックス・エイザー長官は、金曜に開かれた記者会見で、最近、中国で同等の役職にあるマ・シャオウェイ博士に対してCDCからの申し入れについて再び提案した事実を語った。
(中国政府による)妨害について質問を受けたエイザー長官は、「これは中国次第だ。我々は、習近平主席が我々の提案を受け入れるということを期待し続けるだけだ。我々には準備ができており、その意思もある。いつでも赴くことができる。
中国政府が、各国の支援をここまで頑なに断り続ける理由は何なのだろうか?
60代の日本人男性も、土曜、中国国内で肺炎の症状で亡くなったことが報じられた。しかし中国政府当局はこの男性が新型コロナウィルスに感染していたとは確認していないため、死因は「ウィルス性肺炎」としか判断していない。一方、ウォール・ストリートジャーナル紙は、中国の政府関係者らが、この「ウィルス性肺炎」で亡くなった日本人男性は、ほぼ確実に新型コロナウィルスによる死者であると語っていることを報じている。
中国外交部は、先週木曜昼12時の時点で、中国国内にいる19名の外国人が新型コロナウィルスに感染していることが確認されており、そのうち2名は退院したと語っていた。
また、悪いニュースとして、5人のイギリス人が、フランスのスキー・リゾート地で新型コロナウィルスに感染している診断が下されたとテレグラフ紙が報じている。この観光客グループは、そのうちの1人が、シンガポールで感染した別の人物との接触で感染し、それからこの観光客グループの他の4名に感染させたと報じられている。
このニュースは、イギリス人のスキー観光客たちが、最近シンガポールへ旅行した人物からエアロゾル感染(つまり空気感染)した可能性を意味している(2月8日、中国の公式保健部も、新コロナウィルスが空気感染する可能性があることを確認したと報じられている)。これを受け、フランス政府はオランジュ(Orange)への渡航警告レベルを高めている。
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ツイッターなどアメリカのソーシャルメディア上では、中国国内での封鎖が、3つの省、60以上の都市、4億人以上に拡大しているという噂が広がっている。中国で6番目(人口1440万人)の都市である成都も都市封鎖されたというツイートが拡散されている。
Thread. Reports Chengdu now on lockdown.
Curbs on mobility of citizens throughout city.
Checkpoints at entrances to all residential communities/workplaces, including police presence. Mandatory temperature checks. Currently set to last 10 days. https://t.co/23zuFUOOXZ— Carl Minzner (@CarlMinzner) February 9, 2020
【訳】スレッド。成都がロックダウン(都市閉鎖)されたとの報告。
市内での市民の移動を制限。
全ての住宅地・勤務地の入り口には検問所。警察も駐在。体温チェックは強制的に行われている。現在のところ、(都市封鎖は)10日間継続する計画。
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中国の国家衛生健康委員会は、一晩で感染者数は2652名増え、合計3万7198名になったと発表。死者数は89名増え、中国全土で合計811名になったと発表。これは1日の死者数の増加人数としてこれまで最大だが、新規の感染者数としては過去1週間で最低。一方、2649名の感染者が完治したと報告。(最新のデータはジョンズホプキンス大学のサイト、もしくはWHOのサイトで確認できる。)
1日あたりの新規感染者数の推移(公式データ)
(Graph from WHO)
これには良いニュースと悪いニュースの両方が含まれている。良いニュースは、感染者数が指数関数的に急拡大していたのが、ここ1週間で1日の新たな感染者数としては最低を記録し、増加グラフが二次方程式へと変化したことである(しかしあまりに「きれいな」グラフの変化のため、人為的に操作されている疑いが濃厚)。
1日で報告される新たな感染者数が約3000人を上限に頭打ちしていることについて、スコット・ゴットリーブ博士は、湖北省が持つ「患者あたりの実際の検査能力が、(1日)約3000人である可能性がある」と述べており、これは湖北省における1日あたりの新規の感染者数が、実際はこれよりもかなり多い可能性を意味している。
That 6,000 case testing capacity is per specimen. Assuming for each patient, there are multiple specimens sent, the actual testing capacity on a per patient basis may be closer to 3,000.
— Scott Gottlieb, MD (@ScottGottliebMD) February 9, 2020
【訳】6000ケースという検査能力のキャパシティーは、被検査物(検査サンプル)ごとの数である。各患者ごとであると想定すると、(1人あたり)複数の検査サンプルが(検査所に)送られ、患者一人当たりの実際の検査能力のキャパシティーは約3000という可能性がある。
ここでも報じたように、中国政府が発表する「公式データ」に対する疑惑は払拭されておらず、信頼性は著しく低い。
さらに中国政府が発表する死亡率(致死率)のデータにも濃厚な疑いがかけられている。武漢肺炎が流行し始めて以来、中国政府が発表する致死率は、常に2.1%の横ばいを続けている。あたかも中国政府が発表するGDPかのように常に横這いである。感染症研究で有名な科学者たちは、武漢市に限って言えば、致死率は最高15〜20%に上っている可能性があると語っている。
https://twitter.com/Charlie_Box/status/1226203341086175233
【訳】コロナウィルスは数学の天才だ!
これまでにわかっている事実を再確認すると、新型コロナウィルス(武漢肺炎)は、2003年のSARSで亡くなった死者数を上回るのにわずか3週間しか経過していない(ただし中国政府が公式に感染を認めるよりも前の12月初旬から発生していたと計算すると9〜10週間)。SARSの患者が他人に感染させる基本再生産数(R0)は2〜5人と言われており、ほとんどの科学者たちは、新型コロナウィルスのR0はそれよりも低いと予想している。しかし、実際の新型コロナウィルスの患者による基本再生産数(R0)は、予想をはるかに上回っている可能性が高く、致死率も、最終的に真実の数字が公開されれば当初の予想よりもはるかに高かったということになりかねない。
ツイッターでは、新型コロナウィルスとSARSとを比較し、いかに新型コロナウィルスが深刻かを懸念する声が広がっている:
Confirmed death toll:
2020 Coronavirus: 806 (in 29 days)
2003 SARS: 774 (in 9 months)#coronavirus
— Norbert Elekes (@NorbertElekes) February 8, 2020
【訳】確認された死者数の合計:
2020年コロナウィルス:806人(29日間で)
2003年SARS:774人(9ヶ月間で)
データは多少古いが、以下は感染による死者数拡大のスピードを比較したグラフである:
BonaFidrをフォローWithin the next 24 hours the number of people killed by novel coronavirus in 6 weeks will exceed the number killed during the 9-month SARS outbreak. Pausing to mourn and commemorate the lives of those lost and re-dedicate to reducing future losses as effectively as possible. pic.twitter.com/okM2ZpXiPR
— Dr. Tom Frieden (@DrTomFrieden) February 8, 2020