ベトナムが人口1万人の村を隔離:中国以外で新型コロナウィルスの感染者を大規模隔離する初のケース
過去10年間、ベトナムは急成長する中国経済の恩恵を受けてきた。中国経済が成長するにつれ中国の生活水準と賃金水準が上昇し始めると、より安い労働力を求めて企業のサプライ・チェーンが中国からベトナムなどの低コスト国へと移転してきた。ベトナムの通貨であるドン安も、ベトナムの輸出産業を後押しし、ベトナムを世界経済の中で主要な輸出国へと押し上げた。しかし現在、そのベトナムの輸出産業が大きな問題に直面している。その原因は、もちろん武漢ウィルス(COVID-19)だ。
中国国内で数千、数万人が感染し、何億人という国民が隔離された結果、中国経済は急停止している。そんな状況と連動するかのように、ベトナムの首都ハノイの近郊で、武漢ウィルスの新たな感染拡大が発生していることが判明した。
バンコク・ポストによると、ベトナムの首都ハノイの近郊にある人口1万人の村々で8名の新型コロナウィルスの感染者が確認されたため、木曜これら村々を隔離すると政府当局が発表した。
ハノイから約40キロ離れたソン・ロイ地区は、武漢で新型コロナウィルスの感染が確認されて以降、中国以外で大規模隔離される初めてのケースとなる。
「2020年2月13日現在、我々はソン・ロイ地区における感染地域を孤立化し隔離する作業を緊急に実施する・・・。予定は・・・20日間である」と保健省は声明を発表した。
ベトナム保健省は、当初、数件の農村からなるソン・ロイ地区で5人の感染者が発生したと発表していた。それが木曜には6人の感染者が発生していると報告している。AFP通信の記者によると、それからソン・ロイ地区の郊外にあるビン・シュエン地区で複数の検問所が設置されている。
地元住人のトラン・ヴァン・ミン氏は、隔離が実施される前から政府当局はすでに地元住人に対して多くの人が集まる場所は避けるよう勧告していたとAFPに語っている。「生活はすでに悪影響を受けている」と同氏はAFPの電話取材に語り、労働者の多くは建設業や住居の塗装業に依存しているとも語った。「今は外出することができず、たとえできたとしても、以前ほどの仕事の依頼は私たちに来ない」とも語った。
もしこれが大流行の前兆である場合、ベトナム全土がまもなく封鎖される可能性がある。中国は、すでに前代未聞の大規模都市封鎖を中国全土で行っている。発生源である武漢から遠く離れた都市でも厳格な外出制限が課されていることを考えれば、ベトナムで同様の封鎖が行われてもおかしくない。
新型コロナウィルスはすでに世界経済に大打撃を与えており、中国からの渡航を多くの国が禁止している。
中国とベトナムの国境は穴だらけと言われるが、ベトナムでの感染者数は日本よりも少ない16名となっている(もちろんベトナムの検査体制が整っていない可能性があり、そのため検査件数そのものが日本より少ないのかもしれない)。
しかしベトナムは、中国本土とのフライトを全便禁止している。また、中国国籍保持者や、過去2週間中国への渡航歴がある外国人に対して観光ビザを発給することも停止している。後手後手に回っていると非難されている日本政府よりも先手を打っているように見えるベトナムが、武漢ウィルスの封じ込めに成功するか注目される。
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