フランスの観光産業が30〜40%のマイナス:新型コロナウィルスの影響で中国人観光客が激減
フランスのブリュノ・ル・メール経済財務大臣は、日曜アメリカの金融系テレビ局CNBCに出演し、新型コロナウィルス(COVID-19感染症)はフランスそして世界の経済に多大な影響をもたらすと語った。20か国財務大臣・中央銀行総裁会議が開かれたサウジアラビアのリアドから番組に出演した。
メール大臣は、先月から新型コロナウィルスの感染が拡大し始めたことにより、フランスの観光産業が大打撃を受けていると語った。「フランスにやってくる観光客は当然減少しており、予想されていたよりも約30%か40%減少している」とメール大臣は語った。
「これは、当然フランス経済にとって深刻な影響がある。観光産業はフランスのGDPの10%を占め、最大300万人の雇用を生んでいる」とも語った。
メール大臣によると、昨年フランスを訪問した中国人観光客は270万人にのぼる。「当然、2020年はこれと同じにはならないだろう」とメール大臣は語り、先月以来、フランスを発着するフライトが20万件運行停止されたことにも言及した。
フランス国内では、これまでに12人の感染が確認されている。死者は1名。フランス政府は、さらなるアウトブレイクの拡大が起きることを見越して、70件の新病院を「始動」している。
フランスのオリビエ・ベラン連帯・保健大臣は、日曜フランスのエドゥアール・シャルル・フィリップ首相と会議を行った後、次の発表を行っている:
これまで、我々には患者を受け入れる準備が整った医療機関がわずか38件しかなかった。それら医療機関は、基本的に大学病院だ(centres hospitaliers universitaires; CHUs)。
首相とも合意し、我々の対応キャパシティーを拡大するため、私は緊急レスポンス・チーム(SAMU: service d’aide médicale urgente)を備えた70件の施設を、明日始動する決定をした。
ベラン大臣は、検査能力を高めることや、大量のウィルス用マスクや防護服を追加発注するとも語った。
「我々は、感染拡大の脅威に直面する中、迅速にそして決断力を持って行動している・・・我々は、確実にフランス国民の安全を守るため、必要なありとあらゆる対策をとっている」とも語った。
現在、ヨーロッパで発生している新型コロナウィルスの感染拡大は、北イタリアのロンバルディア州に集中している。
これまでにイタリア国内では合計283名の感染者数が確認されており、7名の死亡が確認されている。イタリアでは、中国と同様、感染が広がる地域を都市封鎖している。
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しかしフランスとイタリアは、ともに2020年の経済成長目標を達成できないという経済的危機にもさらされている。中国発の新型コロナウィルスは、ヨーロッパ経済を不況に陥れる可能性が高い。ヨーロッパ経済の主力であるドイツも、不況の一歩手前に立たされており、中国経済が麻痺した状態が長引けば、それだけヨーロッパ経済へのリスクも高まる。
ドイツ銀行でヨーロッパ担当シニア・エコノミストを務めるクレメンテ・デルシア氏とマイケル・カーカー氏は、先週木曜、「コロナウィルスの影響:サプライチェーン分析”The impact of the coronavirus: A supply-chain analysis”」と題するレポートを発表した。その中で中国以外の世界各国にもたらされる影響や対中需要について分析しており、中国への「依存度指標(dependency indicator)」を独自に構築している。
しかしこのレポートでは、米国、カナダ、日本、そしてその他全てのアジア各国(インド、韓国、インドネシア、マレーシア、ベトナム等)に比べて、EUは中国のサプライ・チェーンからそれほど直接的な影響は受けないと結論づけている。
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