香港にいる30万人のカナダ人の「健康と安全」が危機にさらされてもいいのかと駐カナダのチャイナ大使が脅迫|トルドー首相は「我々を阻止することはできない」と抵抗
中共政府と立ち向かっている外国のリーダーは、トランプ大統領だけではない。カナダのジャスティン・トルドー首相は、チャイナ政府が行っている人権侵害(新疆における大規模収容の問題や、香港で導入された「国安法」など)を継続して批判している。カナダとチャイナの対立は、ファーウェイの孟晩舟CFOがカナダで拘束されたことが契機となっており、両国間の緊張関係は、中共政府が二人のカナダ人ビジネスマンをスパイ容疑で逮捕するという事態にまで発展している。
そして今週木曜(10月15日)、二国間の外交関係にさらに緊張が走っている。カナダに駐在するチャイナ大使が、ジャスティン・トルドー首相を直接脅すメッセージを伝えた。もしカナダが香港からの亡命者を受け入れ続けるならば、無実のカナダ国民を違法に標的にすると公に脅した。このニュースをガーディアン紙など複数のメディアが報じている。
香港が元英国領であったということもあり、身の危険を感じた反体制派の人たちを率先して受け入れたのは英国だった。そして英国は、香港との犯罪者引渡条約を正式に凍結している。
チャイナ政府は、英国がチャイナの国内問題に再び介入していると激しく非難したが、地政学的な力関係から、チャイナが脅迫するには英国はあまりに巨大すぎる相手である。しかしカナダは英国とは異なり、国土は広いが地政学的な力は弱い。二人のカナダ国民がチャイナで拘束されたことは、明らかにチャイナ政府が承認した誘拐であるにもかかわらず、カナダの首相は言葉による非難(いわゆる「遺憾砲」)でしか反撃していない。
強く押せばカナダ政府は屈するだろうと、チャイナ政府が確信しているのは明らかだ。そうでなければ、チャイナのコン・ペイウ(叢培武)大使が木曜に行ったような発言をすることはないだろう。
カナダのThe Globe and Mail紙によると、チャイナ政府はカナダが最近、民主化を求める2人の反体制派を香港から亡命者として受け入れたことは受け入れがたいと考えていると、「戦狼外交」を行っているコン・ペイウ大使が記者たちに伝えた。そしてもしカナダ政府がこれ以上の亡命者を受け入れる場合、チャイナ政府は香港にいるカナダ国民を標的にし始めると語った。
コン大使は次のように語っている:
「我々は、香港のこうした危険な犯罪者たちにいわゆる政治亡命を認めないことをカナダ側に強く要請する。その理由は、これがチャイナの国内問題への介入であり、こうした危険な犯罪者たちを確実につけあがらせることになるからだ」。
コン大使は、さらに反体制派たちを受け入れることは、香港に暮らす30万人のカナダ人たちの「健康と安全」を危機にさらすことにもなりえると語った。当然、チャイナ大陸に暮らすカナダ人もその標的にされるだろう。
コン大使は、60人近いカナダの議会議員(下院議員)および上院議員たちの呼びかけにも不快感を示した。これらカナダの議員たちは、チャイナ政府が導入した国安法から逃れようとする反体制派の人たちをさらに保護するよう声を上げている。国安法は、街頭で反体制派のデモ行進に参加するだけで罪になる。コン大使は、政治亡命者のことを「危険な犯罪者」と非難し、もしカナダ政府が亡命者の受け入れを停止しなければ、香港に住む30万人のカナダ人が迫害に直面することもあり得ると匂わせた。
カナダの保守党のエリン・オトゥール党首は、コン大使の発言は「ほとんど婉曲表現になっていない脅迫である」と語り、カナダ特使として「彼の役職にふさわしくない」と語った。
トルドー首相は金曜にコメントを発表し、カナダはチャイナ政府の脅迫に阻止されることはないと断言した。そして、チャイナによる数えきれない人権侵害に対して引き続き圧力をかけ続けることを約束した。
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