恒大集団の個人投資家らが経営陣をオフィスに監禁し「人質」に
恒大集団の破綻がチャイナ経済に波及する中、怒った個人投資家の集団が同社オフィスを襲撃し、経営陣を監禁するという事態に発展している。SNS上で話題になっている投稿を引用してThe Straits Times紙が9月16日(木曜)に報じている。
これまでにわかっていることは、7万人以上の個人投資家が、多額の資金を、場合によっては一生分の貯蓄を恒大集団のウェルスマネジメント商品(理財商品)に投じたということである。「大きすぎて潰せない」と言われてきた国内第2位の不動産開発会社の恒大集団は、年間10%以上の投資リターンを約束して理財商品を販売していた。実際、恒大集団は「大きすぎて潰せない」という理由から政府により救済される可能性は残っているが、北京の中央政府はまだ公式に何も発表していない。
約1兆9,700億元(約45兆円)の負債を抱えた恒大集団は、今週初め、最大400億元(約6800億円)の理財商品の支払い延期を余儀なくされたと発表し、全国で抗議活動が起きている。恒大集団は、国内最大の高利回りドル債発行会社でもある(発行済み債券の16%が高利回りドル債)。
関係者によると、恒大集団は、怒りに満ちた個人投資家たちをなだめるために、今月末、顧客や従業員に割引価格のマンション入札をさせる予定。これは、数千億円に上る未払いの投資商品の補償として、経営難に陥っている恒大集団が資金を確保するために行うもの。
ブルームバーグ通信によると、同社は、現金による返済の代わりに不動産を選択する投資家のために、9月30日までにオンライン不動産イベントを開催する予定。恒大集団は、返済を求める投資家のために、3つの選択肢のうちの1つとして、不動産の割引購入を推し進めている。
しかし、この計画は同社の目論見通りとはいかなかったようであり、100人近くの投資家が資金の返還を求めて恒大集団の本社に押しかける様子が撮影されている。
恒大集団のデフォルト(債務不履行)は混沌を招き、チャイナ経済に壊滅的なリスクをもたらしている。この悪夢のようなシナリオは、ブルームバーグ通信が詳細なグラフとともに報じている。そして個人投資家に対する何らかの救済はいずれ実現するだろうが、The Straits Times紙によると、激怒した個人投資家が本社に立てこもり、経営陣をオフィスで人質にしているという。
WeChatユーザーのヤン・チウェンさんは、「私は南昌の恒大集団トップであるチェンという名前の人を連れている」と、床に倒れている男性の写真を添えて投稿した(記事冒頭の写真)。南昌は、チャイナ南東部の江西省にある都市。
WeChatには、恒大集団の窮状を話し合う少なくとも3つのグループがあるが、そのうちの1つで「彼はオフィスを出ることができない。300人以上の我々(投資家)が彼を止めている」と、ヤンさんは投稿している。
The Straits Times紙によると、恒大集団は223の都市で700以上の不動産開発プロジェクトを展開しており、そのほとんどが国内の低開発地域にある。同社は、6月末までに約140万の物件を完成させることを約束していた。先週、広州では、これら開発プロジェクトで建設が停滞したため、恒大集団から住宅を購入した100人以上の人々が抗議行動を起こしている。
今週水曜、国営メディア「環球時報」は、同社の流動性の問題は「単独の出来事」とし、恒大集団の債務危機は「重大な金融リスクを防止し、持続可能な発展を確保するために住宅市場の規制を強化するチャイナの取り組みに影響を与えるものではない」と主張しており、投資家の信頼回復に努めている。
しかし、The Straits Times紙が伝えている通り、北京の中央政府はどのような行動をとるかについてまだ正式な声明を出していない。
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