独仏の首脳が“ウクライナはロシアに勝てない”ことを内々に認め、ゼレンスキーに和平交渉を促す=WSJ紙が独占報道
NATOの中で西ヨーロッパ最大の大国である独仏の首脳が、ウクライナのゼレンスキー大統領に対して、ウクライナはロシアとの戦争に勝つことはできないと内々に伝え、そのためNATOとの関係を緊密にする代わりに、ウクライナは今年中にロシアと和平交渉を開始すべきだと伝えている――ウォールストリートジャーナル(WSJ)紙が米国時間の2月24日に独占報道した。(有料記事)
WSJの見出しタイトル:
NATOの欧州最大加盟国がウクライナとの防衛協定を提案する
独仏の首脳は、ウクライナのゼレンスキー大統領に和平交渉を検討する必要があると告げた
欧米の指導者たちは、ウクライナが戦場で勝利を収めるまで、必要な限り支援を続けると繰り返し発言しているが、今回WSJが報じた内々の私的コミュニケーションは、強気な公的発言とは裏腹に、既に戦争の負けを認めている。
WSJは次のように伝えている:
英国、フランス、ドイツの政治家の間で個人的には疑念が深まっていることを、公の発言は隠している。その疑念とは、2014年以来ロシアが支配している東ウクライナとクリミアから、ウクライナがロシア人を追い出すことができるかということについてだ。また、西側諸国は、特に紛争が膠着状態に陥った場合、それほど長くは戦力の維持に貢献できないことを確信していることも、公の発言は隠している。3カ国の当局者はそのように述べている。
「我々はロシアが勝ってはいけないと繰り返していますが、それはどういう意味なのでしょうか?これほどの激しさで戦争が長く続けば、ウクライナの損失は耐えがたいものになるでしょう。それに、クリミアを取り戻せるとは誰も思っていません」と、あるフランスの高官は言う。
フランスのエマニュエル・マクロン大統領とドイツのオラフ・ショルツ首相は今月初め、エリゼ宮の晩餐会で、ロシアとの和平交渉を検討しなければならないとゼレンスキーに告げたと、WSJは報じている。
WSJは情報源からの話として、マクロンがゼレンスキーに「フランスとドイツのような宿敵でさえ、第二次世界大戦後に和平を結ばなければならなかった」と語ったことを引用している。
マクロンはゼレンスキーに対して、彼は「偉大な戦時下の指導者だったが、いずれは政治家としての活動にシフトし、難しい決断をしなければならないだろう」と語ったと同紙は伝えている。
一方、米国政府は、NATOとの防衛協定を結ぶ代わりにロシアとの和平交渉の提案が独仏首脳から行われているという報道について、コメントしていない。
ブリンケン米国務長官は先月、戦争終結後にウクライナを武装化することについてワシントンポスト紙に語ったが、ウクライナがロシアとの和平交渉を求めるべきとは語らなかった。
WSJの報道に対するロシア政府からの反応はまだないが、政治アナリストのアレクサンダー・マーキュリス氏は、2月25日(土曜)に配信した動画の中で、戦後ウクライナがNATOによって重武装化されることを知れば、ロシアは和平交渉に入るよりも今の戦闘を続ける方が良いというインセンティブ付けが行われるだろうと分析している。
さらにマーキュリス氏は次のように語っている:
ロシアはこのようなことには決して同意しないでしょう。
この(和平の)計画に同意する代わりに、この戦争を続ける方がより理にかなっていると、彼らは自分に言い聞かせているに違いありません・・・なぜなら、(ロシアの)目的の一つは、ウクライナの完全非武装化だからです。
西側諸国が提案しているのは、その真逆だとマーキュリス氏は言う。ロシアは戦争に勝っていると考えており、そして「西側諸国の政府の間では、ウクライナはこの戦争に勝てないという認識が一般的になっているようだ」ということを考慮すると、「ロシアがこの(和平)計画を検討するインセンティブはどこにあるのでしょうか?」と同氏は言う。
ロシアにとって、ウクライナの非武装化は「絶対的な生存に関わる問題」だとマーキュリス氏は言う。
もしウクライナが戦争後にNATOからさらに高度な武器を手に入れることになるなら、「戦争がまだ進行している間は、ロシアが戦争を止めてこの計画に同意する意味はさらにない」と話す。
ロシアは「今は弱っていっている敵」と対面しており、ロシアは明らかに「後で武装強化された敵」に直面するよりも今置かれた状況のほうを好む、とマーキュリス氏は分析している。
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