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バークシャー・ハサウェイの現金保有高が1280億ドルと世界の企業の中で最大に:アップルやグーグルよりも多額の現金を保有

Warren Buffett

投資の神様ウォーレン・バフェットの会社であるバークシャー・ハサウェイは、2018年会計年度のGAAP収益がわずか40億ドルと、前年度の450億ドルから9割減となったと今年2月に同社が発表していた。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙は、この年が「バフェットにとって最悪の年の一つ」となったと報じていた。この大きな原因の一つは、クラフト・ハインツ株の評価損を計上する必要があったため。しかし今年度も、投資家たちは引き続きバークシャー・ハサウェイ株に慎重になっている。バフェット氏は来年8月で90歳になるということも、投資家たちが同社株への投資に慎重になる理由だろう。

バークシャーのクラスA株の株価は、年初来+5.7%の上昇であり、S&Pの+22.3%と比べるとかなり見劣りする。これはバークシャー株のパフォーマンスがS&Pのパフォーマンスを下回ったケースとして、2009年以来、最悪となっている。

しかしその一方で、バークシャーは先週末の土曜、今年第3四半期の同社の営業利益が14%急増し同社史上最高となったことを発表した。その主な理由は、バークシャーが投資している保険会社からの投資リターンがあり、また保有する鉄道関連企業BNSFが増益となったため。バークシャーの第3四半期の営業利益は78億6000万ドルで、クラスA株1株あたり4816ドル。前年同期の営業利益は68億8000万ドルで、クラスA株1株あたり4189ドルだった。アナリストたちの一致した予想では1株あたり4405.16ドルの営業利益と見積もっていたが、それを上回る結果となり、同社の四半期毎の営業利益として過去最高を記録している。

ここ数年の中で全体の経済成長は最も減速しているが、アメリカの消費者たちによる消費意欲は予想に反して旺盛だったため、企業投資が収縮した分を補う結果となり、バークシャーはその恩恵を受けた格好だ。バークシャーの最大事業の一つBNSF鉄道は、営業利益を5%上昇させ、14億7000万ドルを計上している。消費財、石炭、工業製品、農業製品への需要は低下したが、同鉄道事業のコスト削減策が効果を発揮した。

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バークシャーが四半期の営業利益として過去最高を記録した一方、同社は大きな難題に直面している。それは、株式市場が史上最高値をつけている状況では、「割安株」を探し投資しているバフェット氏にとって、新たな投資先を見つけることが困難になっていることだ。株価が高騰している状態でさらにプレミア価格をつけて企業買収を行うよりも、バークシャーは公開市場で株式の購入を行なっている。例えば、バフェット氏は総額500億5000万ドルをアップル株に投資しているほか、米石油企業のオキシデンタルが同業アナダルコを買収するのを支援するために今年4月、100億ドル投資することを確約している(この投資案件については異論も多い)。

しかしバフェット氏は、今年第3四半期、株式を売り越している。つまり、新たに株式に投資した金額よりも、売却した金額の方が上回っている。バークシャーが第3四半期に株式を売却して得られた実現利益は5億1300万ドル。(ただし前年同期の9億9500万ドルより減少。)

バフェット氏が、株式市場に対して懐疑的になっている兆候はこの他にもみられ、バークシャー株の自社株買いでも明らかとなっている。同社は、第3四半期に7億ドル分の自社株買いを実施した。第2四半期の4億ドルよりかは増加したものの、第1四半期の17億ドルよりかは低い金額となっている。

そしてバークシャーに関して最も目を引くデータは、バークシャーの第3四半期の現金保有高が1280億ドルであると発表したことである。これはアップルやグーグルを抜いて世界の企業の中で最高金額となっている。アップルもグーグルも、多額の現金を保有している企業として知られている。

ブルームバーグとのインタビューの中で、Edward Jonesのアナリスト、ジム・シャナハン氏は次のように語っている

(大規模な投資案件について)それほど多くの機会は存在していない。それだけに一層、疑問になるのは、株価が今の状態である場合に、同社はなぜもっと積極的に市場で自社株買いを行わないのかということだ。それは現時点で現金の最良の使い道であるし、彼らにとっても資本を展開するうえで最も簡単な方法だ。

しかしバークシャーが現金保有高を過去最高に高めている状況は、中央銀行による量的緩和であふれた資金が、行き場をなくしつつあることを体現しているように見える。もしくは、次に来る株式市場の修正局面に備えて、現金を積み増ししているのかもしれない。

Screenshot via CNBC

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