米司法省がコミー元FBI長官を捜査:トランプ大統領を捜査対象ではないと欺いた容疑
ジェームス・コミー元FBI長官が、米司法省の捜査を受けているとRealClearInvestigationsが報じた。容疑は、コミー氏がFBI長官としてトランプ大統領と個人的に会話をした際、大統領がFBIの継続中の捜査対象にはなっていないと欺く発言を行った点。コミー氏は、この事実を一般には認めていない。
RealClearInvestigationsのポール・スペリー記者によると、「司法省の監察長官(IG)であるマイケル・ホロウィッツ氏は、今年9月に報告書を発表する予定であり、その報告書にはコミー氏が(大統領に対する捜査を当時まだ行っていたにも関わらず)大統領を欺いた証拠が含まれている」という。
コミー氏はトランプ大統領に対して捜査対象ではないと何度も確約していたにも関わらず、当時FBI長官だったコミー氏は、自身も捜査員として活動しながら、極秘裏に大統領をおとしめる共謀罪をでっちあげようとしていた。–RCI
ホロウィッツ氏の報告書に詳しい2人の政府職員によると、コミー元FBI長官は、トランプ大統領に対する「秘密作戦を実行」していたという。この秘密作戦は、大統領就任直後に行われたプライベートな「防衛的ブリーフィング」から始まったという。この情報源の人物らによると、コミー元長官が2017年1月にニューヨークでトランプ大統領と面会した際、大統領に対して「対諜報活動アセスメント(counterintelligence assessment)」を行っていたという。FBIの元上層部やその他職員らの間でやりとりされたテキストメッセージがそのことを示しており、ホロウィッツ氏は報告書でそのテキストメッセージを暴露しているという。
さらに別の人物の話として、コミー元長官は、ホワイトハウスにFBI職員を一人潜り込ませ、トランプ大統領や彼のスタッフたちの行動を報告させていたという。
アンソニー・フェランテ元FBI職員はサイバー犯罪の専門家で、コミー元長官が解任されたのと同じ時期にホワイトハウスを去っている。その後すぐにセキュリティー系コンサルティング会社に就職し、そこでBuzzFeedと契約を結び、BuzzFeedのニュースサイトが行っていたスティール文書(訳者注:ロシア疑惑のきっかけとなった元MI6のスパイが作成したレポート)の事実確認を行うプロジェクトを主導した。–RCI
同報道によると、司法省のホロウィッツ氏のチームは、100万件以上の文書を精査し、100人以上の関係者にインタビューを行ったという。コミー元FBI長官や、その他のFBI職員や司法省の職員(元職員と現職の職員を含む)へもインタビューを行った。
コミー元FBI長官が行っていた秘密作戦は、2017年1月初旬から彼が解任される同年5月の間に行われていたと考えられている。コミー氏が解任された2日後、FBI長官代理としてアンドリュー・マケイブ氏が、トランプ大統領に対して、正式に対諜報活動及び司法妨害に関する捜査を開始している。
マケイブ氏の補佐役であるリサ・ペイジ氏は、昨年、非公開で行われた下院司法委員会で証言するよう呼ばれた。そこで、2017年5月にコミー元長官が解任される以前に、コミー元FBI長官とその他FBI高官らが、トランプ大統領に対して司法妨害に関する捜査を開始する検討を行っていたか証言を求められた。当初ペイジ氏は平然とそのことを否定し、「その期間に司法妨害は議題にあがっていなかった」と証言していた。しかし、FBIが彼女に選任した弁護士と話し合った後、彼女は「先ほど述べた内容を撤回する必要があります」と発言し、大統領が関与する「潜在的な犯罪活動に関する検討」が行われていたかもしれないと認めた。–RCI
スペリー記者は、コミー氏が単独でトランプ大統領への作戦を実行していたわけではないと注釈をつけている。特に、ホロウィッツ氏は、悪名高い「スティール文書」に関して2017年1月6日にFBI内部で行われたブリーフィング会議を調査した。リベラル系メディアであるBuzzFeedやCNNは、この会議を理由に、「スティール文書」が書き立てている証拠のない言いがかりがまるで証明された事実であるかのように報道している。
FBI長官を解任された後、コミー氏が執筆した書籍「A Higher Loyalty(訳:より高い忠誠心)」の中で、彼は「(トランプ大統領に対して)対諜報活動に関する捜査は開始されていなかった」と述べている。しかし、元連邦検事でNational Review のコラムニストであるアンドリュー・マッカーシー氏は、トランプ大統領の名前が正式な捜査ファイルや監視リストに載っていないからといって、彼が捜査対象ではなかったという意味にはならないと語る。
「彼ら(FBI)は、偶然、トランプ氏を監視することになる状況を望んでおり、実際にトランプ氏に関する容疑を立件しようと試みていた。コミー氏がトランプ大統領に対してプライベートに行った確約を、公に繰り返したくなかった本当の理由は、この確約が誤った情報だったからだ。FBIはトランプを騙し、彼は容疑者にはなっていないと伝えながら、実際は彼を主要ターゲットとして捜査を構築していた」とマッカーシー氏は言う。
さらに、FBIで対諜報活動弁護士であったマーク・ウォーク氏は、FBIがトランプ大統領を正式には容疑者として扱うことができなかったと指摘する。「『共謀』や『スパイ活動』をトランプ氏が行っていたとする相当な理由をFBIは持ち合わせていなかった。彼らは容疑を裏付ける情報を急いで寄せ集めようとしていたが、何も見つけることができなかった」とウォーク氏は語る。
残る疑問は、コミー元FBI長官はなぜ現職の大統領に対して、そのような異常な行動を取ったのかということだ。モラー報告書では、トランプ大統領とロシアが共謀していたという疑惑を証明するものは何もなかったと結論付けている。コミー氏自身が、スティール報告書を最初から疑っていた人物である。スティール報告書は、ヒラリー・クリントンの選挙チームが資金を払って対立する候補者について書かせた調査メモであり、(トランプとロシアの)共謀疑惑があるかのように示すロードマップの役割を果たすものだった。この調査メモに対して、コミー氏自身が「わいせつな内容で信ぴょう性がない」とはねつけていた。-RCI
下院情報特別委員会の副議長であるデビン・ニューネス議員(カリフォルニア州選出・共和党)によると、コミー元FBI長官やFBIの高官ら(ピーター・ストロック氏とリサ・ペイジ氏を含む)は、政治的な理由によりトランプ大統領の就任を「阻止」しようとしていたという。
ニューネス議員は最近のインタビューで次のように答えている:
これは究極のスパイ活動が行きついたものである。FBI長官が大統領をスパイし、メモを取り、機密情報に関するこれらメモを違法にリークしていたのだから。
Photo via AP
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