WeWorkの余波がゴールドマンサックスにも到達:直近数ヶ月で2億6000万ドル以上の損失を計上
今週初め、『崖っぷちに立たされたSoftBank』と弊紙でも報じたように、WeWorkを震源地にした大津波がSoftBankのビジョンファンド、そしてSoftBankそのものにも押し寄せている。この「大津波」が、ゴールドマンサックスにも巨額の損失をもたらしていることがわかった。
直近の数ヶ月間で、IT系ユニコーン企業のバリュエーションが軒並み急落していることを受け、ゴールドマンサックスは2億6000万ドルの損失を被っているとブルームバーグ紙が明らかにした。
ゴールドマンサックスは、2019年第3四半期、特にUber社への投資で巨額の損失を生んでいる。Uber社は直近100日間の取引で30%以上の企業価値を失っている。また、Avantor社も、直近62日間の取引で同様の株価下落を経験している。この2社だけで、ゴールドマンサックスは2億ドルの損失被害を受けている。
アナリストの1人は、ゴールドマンサックスの「投資および融資部門(Investing & Lending :I&L )」における第3四半期のボラティリティもまた、前四半期に損失が発生した要因であるとブルームバーグ紙に語っている:
「I&Lの投資部門は、依然として膨れ上がっている状態で予測が困難だ。当該四半期は明らかに向かい風となっている」とウェルズ・ファーゴ銀行のシニア銀行アナリストのマイク・マヨ氏は語った。
マヨ氏は、ゴールドマンサックスのI&L部門の第3四半期の売上が、第2四半期から30%下落する可能性があると予測している。ゴールドマンサックスの幹部らは、同行の自己資金投資業務部門を、ユニコーン企業やIPOへの投資業務から撤退させ、資産運用業務へと比重を移す計画であると語っている。
ゴールドマンサックスは、Uber、Avantor、Tradeweb、そしてHeadHunterへ貸出業務を行っており、そのおかげで第2四半期の業績を押し上げていた。これら企業がIPOを果たしていることで、通常とは異なる単発の業績向上となったと同行は発表していた。最も多額の収益をもたらしたのはTradewebであった。同社への投資により、ゴールドマンサックスは5億ドルの利益を上げていた。
しかし第2四半期以降、Uber、Avantor、Tradewebの株価は急落している。一方、HeadHunterの株価は、約102日前にIPOを達成してから25%上昇している。
今年6月30日時点で、ゴールドマンサックスがこれら4社へ行っている投資金額は、同行が保有する総額26億ドルの投資ポートフォリオのうち、少なくともその半分を占めていると、同行CFOであるスティーブン・シェアー氏が7月に語っている。
ゴールドマンサックスは、Uberがまだアーリーステージであった時に投資しており、1000万株近くを保有しているとブルームバーグは報じている。
Avantorが株式公開する以前にM&Aのアドバイザリー・サービスを提供していたことや、第2四半期にAvantorがIPOを達成したことで得られた売却益などから、ゴールドマンサックスは4億ドルを手にした。
ブルームバーグ紙は、ゴールドマンサックスが行っているWeWork投資のエクスポージャーがどれくらいの規模なのかについては言及していない。しかし、WeWorkの企業バリュエーションが急落していることを受けて、ゴールドマンサックスの今期の利益が圧迫されるであろうことは容易に予測できる。
WeWorkを震源とした余波は、SoftBankだけではなくゴールドマンサックスにまで及んでいる。
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